中央環境審議会大気環境部会は2010(平成22)年7月28日、ディーゼル重量車の排出ガス規制をさらに強化することなどを内容とする「今後の自動車排出ガス低減対策のあり方について」(第十次答申)をまとめ、環境大臣に答申しました。強化する排出ガス規制は、窒素酸化物(NOx)だけで、規制値は現行のポスト新長期規制(2009年規制)よりさらに43%削減したレベルとし、2016(平成28)年末までに適用するとしています。粒子状物質(PM)については、欧米と並んで世界最高水準の規制となっているため、据え置くことにしました。
大都市を中心とした大気汚染は、数次にわたる排出ガス規制や自動車NOx・PM法によるディーゼル車の保有規制により改善傾向にありますが、なお2020年時点においても大都市の一部の測定局で二酸化窒素(NO2)の環境基準非達成局が残ると見込まれています。また、わが国自動車メーカーの環境技術に関する国際競争力を確保する観点からも、さらなる規制強化が必要と判断したものです。
今回の排出ガス規制強化に当たっては、CO2対策の観点から燃費の伸びしろを確保すること、後処理装置への過度な依存は避けることに留意しました。新たな規制値を達成するための技術としては、2段過給(排気ガスの圧力で大小2つのタービンを回し、より多くの空気をシリンダーに送る技術)と2段過給導入によるエンジンのダウンサイジング、EGR(排気ガス再循環装置)率の向上、EGR制御の高度化、燃料噴射圧力の向上などを見込みました。
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2011:環境改善
2011.03.31