燃料高騰対策訴え207万人の署名集める
全日本トラック協会は2014(平成26)年8月から、燃料高騰対策を実現するための署名活動を展開しました。軽油引取税の旧暫定税率廃止など税負担の軽減を訴えて、9月末までに100万人の署名を集めることを目指して取り組んだ結果、業界以外の一般の人からも多くの賛同を得て、最終的には目標を大きく上回る約207万人の署名が集まりました。
全ト協と道路運送経営研究会では、こうした声を直接、国政に訴えるため、同年11月13日に「平成26年度トラック業界の要望を実現する会」を開催し、自民党トラック輸送振興議員連盟と公明党トラック問題議員懇話会の所属国会議員に対して燃料高騰対策の実現を求めました。「実現する会」では自民・公明両党の議員連盟が、軽油引取税の旧暫定税率廃止など税負担軽減と、大口・多頻度割引の継続を決議しました。
未執行補助予算、環境対応車導入に転用
国土交通省は2014年11月、2013(平成25)年度補正予算で実施したエコタイヤ補助金の未執行分の約20億円を、燃料高騰緊急対策として車両購入補助に転用することを決めました。補助対象を保有車両台数5台以上30台以下の小規模事業者に限定し、一定の環境性能を満たしたディーゼルトラックの導入に対して大型車で100万円、中型車で70万円、小型車で40万円を補助するものです。執行団体である全ト協は同年12月5日から申請受付を行い、2015(平成27)年2月2日に受付を終了しました。
経済対策に中小トラック燃料費対策
~高速割引507億円、燃料対策35億円
政府は2014(平成26)年12月27日、「地方への好循環拡大に向けた緊急経済対策」を閣議決定し、これに基づき2015(平成27)年1月9日、2014年度補正予算案を決定しました。
トラック運送事業関係では、高速道路の大口・多頻度割引の最大割引率50%を1年延長するための費用として507億円が計上されたほか、中小トラック事業者の燃料費対策に35億円を充てることになりました。
燃料費対策としては環境対応車導入補助に30億円、自家用燃料タンク整備補助に5億円が充てられました。車両の導入補助は、保有車両台数100台以下の事業者に対象を拡充し、車両総重量3.5トン超の事業用ディーゼルトラックのうち「2015年度燃費基準達成かつ2009年排ガス基準10%以上低減車」、あるいは「2015年度燃費基準5%以上超過達成かつ2009年排ガス基準適合車」を導入する事業者に対し、1台当たり大型車で100万円、中型車で70万円、小型車で40万円を補助することになりました。
執行団体の全日本トラック協会が2015年3月6日から10日まで、予定枠の申し込み受付を行い、この結果、予算の30億円を13億円上回る申し込みがあったため、抽選により補助金交付事業者を決定しました。
消費税引き上げで転嫁対策
2014(平成26)年4月に消費税率が5%から8%に引き上げられました。これに先立って2013(平成25)年10月から、「消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保のための消費税の転嫁を阻害する行為の是正等に関する特別措置法」が施行され、これに基づき消費税の転嫁カルテルや表示カルテルが独占禁止法の適用除外となりました。
同法に基づき、全日本トラック協会は同年12月9日、消費税の転嫁および表示の方法の決定に係る共同行為(転嫁カルテルおよび表示カルテル)の実施について、各都道府県トラック協会を含めて一括して届け出を行い、消費税増税分の円滑かつ適正な転嫁に取り組みました。
転嫁カルテルにより、本体価格に消費税額分を上乗せする旨の決定などを行うことができるようになったほか、荷主団体・企業に対して、増税分の転嫁に関する要請文やチラシの発出・配布、新聞広告などの掲載も可能になりました。また表示カルテルでは、見積書や請求書で消費税額を別枠表示するなどの帳票類の統一様式を作成することが可能になりました。
自動車取得税の廃止が先送りに
与党は2014(平成26)年12月30日、2015(平成27)年度税制改正大綱を決定しました。自動車関係では、消費税10%への再増税が2017(平成29)年4月実施へ1年半延期されたことに伴い、自動車取得税の廃止が先送りされました。また自動車税への環境性能課税の創設についても、議論が先送りされました。
2014年度税制改正大綱では、消費税率10%への引き上げ時に自動車取得税を廃止することを明記する一方、廃止による地方の税収減に配慮し、自動車税について燃費に応じた環境性能課税を初年度課税として導入することが盛り込まれていたものです。これに対して、全日本トラック協会では営業用トラックに対する税率軽減を求めたほか、エコカー減税と同様に、燃費基準達成度に応じた軽減措置を講じるよう要望しました。
エネルギーコスト増大で転嫁要請・指導
経済産業省は2014(平成26)年10月2日、急激な円安による原材料・エネルギーコストの増大が中小企業や小規模企業の収益を強く圧迫していることが懸念されるため、同省関連の業界団体431団体に対して、経産大臣名で適正な価格転嫁を要請する文書を発出しました。その後、他省庁関連の業界団体を含めて計745団体に対して要請文書を発出しました。
経産省ではあわせて、同日付で財務・厚生労働・農林水産各省および内閣府とともに、公的金融機関に対して、中小企業・小規模企業の債務返済条件の変更などに配慮するよう文書で要請したほか、立ち入り検査で下請法違反行為が認められた場合、厳正に対処する方針を示しました。また公正取引委員会と経産省は同年10月31日、親事業者約19万4,000社と関係事業者団体約640団体に対して、連名の文書で下請法の遵守を徹底するよう要請しました。
国交省が「適正取引推進強化月間」
国土交通省は2014年10月24日、11月を「適正取引推進(サーチャージ導入・価格転嫁)強化月間」に設定し、荷主とトラック運送事業者間の適正取引を強力に推進すると発表しました。各地方運輸局・運輸支局による適正取引推進(サーチャージ導入・価格転嫁)の説明会開催や、トラック事業者と荷主の交渉の場における適正取引推進に関する説明、さらにトラック協会による原価計算など価格転嫁交渉に必要な知識の周知――などの取り組みを展開しました。
国交省、高速料金体系で基本方針
国土交通省は2015(平成27)年1月27日から、「高速道路を中心とした『道路を賢く使う取組』の基本方針」に対するパブリックコメント(意見募集)を行いました。首都圏では、首都圏中央連絡自動車道路(圏央道)をはじめ環状道路の整備により、複数の経路選択が可能になってきていることから、2016(平成28)年度から、経路によらず起終点間の距離を基本として、首都圏の高速料金体系を整理・統一する方針を示しました。
また首都圏の高速道路では、通過交通を圏央道などに誘導しにくい料金体系となっているため、圏央道より内側の料金水準を同一にし、どの経路を選んでも同じ料金とすべきだと提言しました。その際、現在、割安となっている区間はいずれも値上げになるため、段階的な見直しや激変緩和措置を導入する必要があるとしています。
さらに料金水準の統一後、曜日や時間帯を区切って、都心経由と環状道路経由の料金に格差を設けるなど混雑状況に応じた料金を導入し、将来的に混雑状況に応じて一定時間ごとに変動する、機動的な料金を目指すべきだとしました。
大型車の料金施策については、圏央道など環状道路の料金低減や、都心部の通過交通に対する料金施策について検討するよう求めています。また、今後の幹線道路の維持修繕・更新のための財源確保として、償還満了後も料金を徴収し続けるべきとしたほか、一般道路での大型車対距離課金の導入など、将来の維持管理費の負担のあり方などについても検討すべきだと提言しました。
全ト協、大型車課金に反対
全日本トラック協会と日本貨物運送協同組合連合会は2015年2月26日、国交省がまとめた今後の高速料金体系に関する基本方針に対して、意見提出しました。この中で将来の高速道路の利用者負担のあり方に関して、一般道路における「大型車対距離課金」導入の検討が提起されたことから、「大型車は普通車より自動車重量税など過重な税負担を強いられており、二重の負担になる」として、断固反対を表明しました。
トラック運賃の上昇圧力続く
トラック運賃水準は引き続き、強含みで推移しています。日通総合研究所の「企業物流短期動向調査」によると、トラック運賃の動向指数は依然として上昇圧力が強い状況にあります。2014(平成26)年10~12月期の一般トラックの運賃動向指数はプラス35で、前期(7~9月期)より2ポイント上昇し、2015(平成27)年1~3月期見通しでは、3ポイント低下してプラス32と増勢が弱まるものの、底堅く推移しています。
全日本トラック協会と日本貨物運送協同組合連合会が発表している、求荷求車情報ネットワークWebKIT成約運賃指数によると、2014年3月は消費税増税前の駆け込み需要もあり、126と調査開始以来の最高値を記録しました。2015年3月の指数は前年の反動もあり120でしたが、これは、調査開始以来3番目に高い指数です。運賃指数は引き続き、底堅い状況が続いています。
事業者数2年連続で減少
国土交通省が2015(平成27)年3月10日に発表した、2013(平成25)年度末現在の貨物自動車運送事業者数は、前年度比0.05%減の6万2,905社(者)となり、2年連続で減少しました。新規許可などにより1,097社増加しましたが、廃止・合併等により1,128社減少したため、差し引きで31社の減少となりました。新規許可などは前年度に比べ14%の減少です。物流二法施行の1990(平成2)年度以降、貨物自動車運送事業者数は増加の一途にありましたが、参入時基準の強化などにより、近年、頭打ち傾向にあります。
車両規模別にみると、10台以下の事業者数は3万5,773社で、全体に占める割合は56.9%です。2012(平成24)年度は3万5,922社で全体の57.1%、2011(平成23)年度が3万6,697社で同58.1%でしたから、小規模化に歯止めがかかりつあるといえます。
初の引越優良認定301事業者
全日本トラック協会は2014(平成26)年12月18日、初の「引越事業者優良認定制度」(引越安心マーク)の認定事業者を発表しました。初年度の認定数は、引越サービス名称単位で301事業者(申請数324事業者)、事業所数は1,739事業所(申請数1,763事業所)でした。制度創設の目的は①安全・安心な事業者の「見える化」、②引越業界全体のコンプライアンス向上、③引越における苦情やトラブルの防止――の3点です。消費者に安全・安心な引越サービスを提供する事業者の情報を提供することで、サービス品質により消費者から選択される環境を創出することが狙いです。
認定申請の要件は、安全性優良事業所(Gマーク事業所)の認定取得と引越管理者講習修了者が1人以上在籍していることに加え、苦情対応体制と責任の所在を明確化していること、適切な従業員教育を行っていることなどです。認定の有効期間は3年間で、自社車両に「引越安心マーク」のステッカー貼付などが認められます。
Gマーク取得率が25%以上に
全日本トラック協会は2014(平成26)年12月19日、2014年度の安全性優良事業所(Gマーク事業所)として、7,455事業所を認定したと発表しました。これにより、全認定事業所数は前年度比9.8%増の2万1,125事業所となり、初めて2万事業所を突破しました。
取得率は、全国のトラック運送事業所(8万3,608事業所)の25.3%と、約4分の1がGマーク事業所となりました。事業者数では、全体の15.2%に当たる9,570社が認定を受け、その所属車両台数は全営業用トラックの40.4%を占めるまでになりました。