運行記録計、7トン以上に義務付け拡大
国土交通省は2014(平成26)年3月26日、「トラックにおける運行記録計の装着義務付け対象の拡大のための検討会」を開き、車両総重量7~8トン(最大積載量4~5トン)の事業用トラックに運行記録計の装備を義務付けることを決めました。トラックについては現在、車両総重量8トン以上の車両に運行記録計の装備が義務付けられていますが、同7トンクラスのカテゴリーにおいても、死亡事故や重傷・軽傷事故が多発しており、長距離・長時間輸送も比較的多い状況にあることが改めて確認されたことから、義務付け範囲を拡大することにしたものです。
事業用トラックへの運行記録計装着義務付け範囲の拡大を巡っては、国交省が2011(平成23)年11月に同検討会を立ち上げ、車両総重量3.5トン以上の車両にまで義務付け範囲を拡大し、デジタル式運行記録計を義務付ける方針案を提示しましたが、トラック運送業界がより現実的な対応を求め、翌2012(平成24)年8月の検討会で、同省は義務付け拡大案を白紙撤回していました。
総重量7~8トンへの拡大案は、同省が2009(平成21)年にまとめた「事業用自動車総合安全プラン2009」でも例示されていた案で、業界側もこれを受け入れ、国交省もデジタル式、アナログ式のいずれでも認める方針に転換しました。
2014年度中の早期に省令を改正・公布して義務付け範囲の拡大を決め、2015(平成27)年4月以降、まず新車に対して義務付け、その他の車両については2016(平成28)年4月以降、順次適用するとしています。
また、2014年度と2015年度の2年間をかけて、今後求められる運行管理・支援機能を統合・拡充した「次世代型運行記録計」の実用化・普及加速に向けた検討を行い、2016年度以降、普及促進を図ることにしています。
衝突被害軽減ブレーキも義務付け拡大
国土交通省は2014(平成26)年2月13日、同年11月から大型トラックへの装備義務付けが始まる衝突被害軽減ブレーキについて、義務付け範囲を車両総重量3.5トン超のトラックにまで拡大するとともに、性能基準を強化するための告示の改正を行い、施行しました。
新型車への適用時期は、総重量8トン超20トン以下が2018(平成30)年11月1日から、同3.5トン超8トン以下は2019(平成31)年11月1日からとなります。継続生産車は2021(平成33)年11月1日からです。
既に義務付けが決まっている車両総重量20トン超のトラックと、同13トン超のトラクタについては、2017(平成29)年11月1日以降、順次、強化された基準が適用されます。
健康起因事故が増加
国土交通省の集計によると、事業用自動車の運転者の健康状態に起因する事故が増加しています。2011(平成23)年の健康起因事故件数は143件となり、前年より43.0%増えています。業種別にみると、バスが前年比48.7%増の58件、ハイヤー・タクシーが同13.2%増の43件、トラックが82.6%増の42件となっています。
国交省は2013(平成25)年度、「自動車運送事業に係る交通事故要因分析検討会」の集中分析テーマとして、突発的な体調変化に起因した事故防止対策を追加し、実効性のある対策を検討しました。
悪質・危険運転、厳罰化で新法
悪質で危険な運転による死傷事故に対する罰則を強化する、自動車運転死傷行為処罰法が2013(平成25)年11月20日、国会で成立しました。危険運転致死傷罪と自動車運転過失致死傷罪を刑法から切り離して新法で規定し、新たに飲酒や薬物、発作を伴う病気などの影響で正常な運転が困難な状況で、人身事故を起こした場合の罰則を定めました。同法は2013年11月27日に公布、2014(平成26)年5月20日に施行されました。
道路交通法改正案が2013年6月7日、国会で成立しました。運転免許の受験時や更新時に、てんかんなど自動車の安全な運転に支障を及ぼすおそれがある病気に該当する者を把握するため、病状に関する質問票を交付し、虚偽の申告をした場合には罰則が科されます。この改正規定の施行は2014年6月1日です。
労災増加で対策徹底を要請
陸上貨物運送事業の労働災害が増加傾向にあることから、厚生労働省は2013(平成25)年11月14日、全日本トラック協会に対して通達文書を発出し、改めて対策の徹底を要請しました。
同年10月末現在で、全産業の死傷災害は減少していますが、陸上貨物運送事業においては1万560件となり、前年同月に比べ2.4%増加しているためです。このままの傾向が続くと、陸上貨物運送事業の死傷災害が4年連続増加という憂慮すべき事態になることが懸念されるため、全ト協に対して労災防止対策の徹底を求めたものです。