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2014:東京都トラック協会(東ト協)の活動

会員一当死亡事故が6件に減少

 東京都トラック協会では、2013(平成25)年の都内(警視庁管内)における会員事業者のトラックが第一当事者となった死亡事故が、前年より3件少ない6件にとどまり、再び減少に転じました。会員関与の死亡事故全体でも9件と前年より4件減少しました。
 東ト協は、会員一当死亡事故の「事故半減3か年計画」(目標9件以下)を推進し、2009(平成21)年には年間6件と目標を達成しました。その後も減少傾向を辿り、2011(平成23)年には年間3件まで減少していました。しかし、2012(平成24)年は一転、年間9件と大幅な増加となったため、事故防止緊急対策を策定・推進し、事故防止に取り組みました。

都内における東ト協会員の事業用貨物自動車が
関与した死亡事故発生状況〈平成19年~平成25年)〉

年 \ 項目 死 亡 事 故 件 数(死者数)
総件数 東ト協会員関与 うち会員関与の一当
平成19年 55 21 21
平成20年 41 11 11
平成21年 40 11
平成22年 39 10
平成23年 38
平成24年 35 13
平成25年 34

(注)東ト協が「トラック事故速報」の方法で会員に通知している件数を手集計したものである。

交差点での安全確認を徹底

 緊急対策としては、会員一当死亡事故の大半が交差点で発生しているため、会員事業者に「運転者注意喚起ステッカー」を作成・配布し、交差点通行時に左右の安全確認や、「ブレーキ足乗せ」による防衛運転の励行を呼びかけました。
 残念ながら、こうした取り組みにもかかわらず、2013(平成25)年は年明け早々から会員一当死亡事故が相次いで発生し、5月中旬までに累計5件と憂慮すべき事態となりました。この間、大髙一夫会長と事故防止委員会の江森東委員長(副会長)連名による要請文書を全会員に発出し、「運転者注意喚起ステッカー」を活用して事故防止の徹底に取り組むように呼びかけるなど、継続的に注意喚起しました。
 こうした取り組みが奏功し、結果的にはその後の半年間余、会員一当死亡事故は1件に抑止できました。引き続き2014(平成26)年もさらなる事故防止の徹底を期すため、年明け早々に大髙会長と江森事故防止委員長の連名による要請文書を発出し、事故抑止を呼びかけました。

初任運転者特別講習を拡充

 東京都トラック協会は2013(平成25)年度、「初任運転者特別講習」の開催回数を増やし拡充しました。2012(平成24)年度から新規事業として実施しているもので、初年度は本部会場(東京都トラック総合会館)で年間10回開催しましたが、2013年度は本部会場での年間12回に加えて、主に多摩地区の会員事業者を対象として多摩支部会場(三多摩自動車会館)で年間6回開催し、合計18回実施しました。
 同講習は、新たに採用した初任運転者などに対して法令で実施が義務付けられているものですが、規模の小さい事業者などを中心に実施に苦労しているのが実情であるため、協会本部が代行する形で行っているものです。あわせて同講習を通じて、プロの運転者としての知識やマナーを習得し安全意識の高揚を図ることにより、事故防止を図る狙いがあります。

SDコンテスト参加枠拡大

 交通事故の未然防止のためには、運転者に対する継続的な注意喚起と指導を行うとともに、安全意識の一層の高揚が重要なことから、東ト協では警視庁主催のセーフティドライバー・コンテストに積極的に参加しています。
 同コンテストは毎年10月から翌年3月にかけて実施されているもので、5人1チームで参加登録し、業務上はもちろん、プライベートな運転時を含めて無事故無違反を競うものです。同コンテストへの参加は安全意識の高揚に役立つことから、東ト協では参加登録料を助成し、会員事業者所属の運転者の積極的な参加を促しています。このため2013(平成25)年度は、助成枠を前年度より2,000人分増やして1万4,000人分に拡大し、2014(平成26)年度は、さらに1,000人分増やして1万5,000人分にしました。
 また、国土交通省が策定した「追突事故防止マニュアル」の活用セミナーなどを開催したほか、各支部では安全運転のスキルアップを図るため、各種の運転者講習会をそれぞれ継続的に実施しています。

事故防止大会のあり方を検討

 東京都トラック協会は、毎年2月に開催している事故防止大会のあり方について見直しを行い、2013(平成25)年度の大会では新しいスタイルで実施しました。見直しの第1段階として、新たに会員事業者と一般都民や荷主企業を交えたシンポジウムを開催したほか、著名人(元東京ヤクルトスワローズ内野手・宮本慎也氏)による講演を行いました。
 事故防止大会では従来、事故防止モデル支部の取り組みを水平展開する目的でその活動報告が行われていましたが、マンネリ化などの問題が指摘されていました。このため、事故防止委員会で各支部の意見・要望などを踏まえて1年間かけて大会のあり方について再検討し、大会内容を見直すことにしたものです。
 引き続き、大会のあり方について検討を行い、大会内容の充実・活性化を図っていく方針です。基本的には業界における事故防止の機運醸成とともに、対外的に業界の交通安全への取り組みを発信・PRする方向で見直しを検討していく方針です。会員事業者の従業員やその家族、さらには一般都民も参加するイベントにすることなども考えられています。

GEP事業をさらに推進

 東京都トラック協会は、地球温暖化防止対策(CO2削減)の先駆的な取り組みとして、引き続きグリーン・エコプロジェクト(GEP)事業の推進に力を入れています。
 2014(平成26)年3月末現在、GEPには会員事業者608社が参加し、その登録車両は約1.8万台(都外ナンバーを含む)に達しています。運転者自身が「走行管理表」により燃費管理を行い、燃費意識を高めることでエコドライブを推進し、CO2排出削減に努める取り組みです。これまでにスギの木約320万本分の植樹に相当するCO 2の排出削減を実現しました。あわせてエコドライブの推進に努めることが安全運転につながるため、交通事故の発生件数も実施7年間平均でそれ以前より30.3%減少しました。
 東ト協ではGEP参加事業者に対するインセンティブ措置として、ポスト新長期規制適合車の導入助成における優遇措置、グリーン経営認証の取得支援、環境対策の取り組みをPR・情報発信するためのホームページ作成支援などを実施し、参加促進を図っています。

全国に水平展開の動き

 GEPは、運転者自身が燃費管理を行うという簡便な取り組みにより、CO2削減と事故防止で大きな成果を上げていることから、国内外で高い評価を受けており、トラック運送業界では同様な活動を行う動きが広がりつつあります。
 滋賀県トラック協会が2012(平成24)年度から、同じGEP活動を開始したのを皮切りに、現在では大阪府ト協をはじめ6府県のトラック協会が実施し、その取り組みが全国的に水平展開されつつあります。

東京都「貨物輸送評価制度」本格運用

 東京都トラック協会のグリーン・エコプロジェクト(GEP)事業は、エコドライブ推進などでCO2削減に積極的に取り組むトラック運送事業者を評価し社会的に「見える化」する、東京都「貨物輸送評価制度」構築の上で先導的な役割を果たし、大きく貢献しました。
 これは、都環境局がGEP活動で蓄積した膨大な実走行燃費データを活用して構築した制度で、2012(平成24)年度から試行的に実施し、2013(平成25)年度から本格運用を開始しました。
 新たな自動車排出CO2削減対策として構築したもので、評価認定を受けた事業者を公表し、荷主企業などに対し積極的な利用を推奨しています。営業用トラックは自家用に比べて格段に燃費・輸送効率が高いことから、同制度により営業用トラック利用への転換を推進する狙いがあります。

GEP参加146社を評価認定

 都「貨物輸送評価制度」は、GEPの実走行燃費データをもとに車種などに応じた指標を作成し、これを用いて事業者が使用する全車両を対象に、事業者単位でその燃費水準を偏差値評価するものです。評価は3段階で行い、燃費水準に加えて、燃費改善のためのエコドライブ指導・教育や燃費管理体制などを含めて評価します。
 本格運用の2013(平成25)年度には149社が評価認定を受けましたが、このうちGEP参加事業者が146社とほとんどを占めました。2012(平成24)年度の試行実施でも、評価115社のうち、GEP参加事業者が111社を占め、参加事業者の取り組みレベルの高さを実証した形となりました。

GPNが輸配送契約ガイドライン
      ~GEP参加が要件の1つに

 わが国の主要企業や自治体などが加盟する「グリーン購入ネットワーク」(GPN)が2013(平成25)年8月に、日本初の「輸配送(貨物自動車)契約ガイドライン」を制定しました。GPNでは、CO2排出を削減し環境負荷低減に役立つ商品の購入やサービスの利用を促進するため、一定の要件をクリアする商品やサービスのガイドラインを制定していますが、新たに輸配送分野について制定したものです。
 東京都トラック協会のグリーン・エコプロジェクト(GEP)活動や、東京都の「貨物輸送評価制度」構築などを踏まえて制定したもので、ガイドラインに基づき、環境負荷低減に積極的に取り組む「環境優良」な運送事業者を、GPNが運営する環境情報サイト「エコ商品ねっと」に掲載・公開し、荷主企業に掲載事業者の積極的な利用を推奨しています。
 「環境優良」な運送事業者を社会的に「見える化」する制度で、環境負荷低減への取り組みとしてGEP活動への参加や、都「貨物輸送評価制度」をはじめ第三者評価を取得していることなどが掲載要件になっています。

燃料高騰対策で要望活動を展開

 2013(平成25)年は年明けから春先にかけて燃料価格が急騰し、燃料費の増大が事業経営を大きく圧迫する深刻な問題になったことから、東京都トラック協会は同年3月12日に経済産業省の茂木敏充大臣や菅原一秀副大臣(当時)に対して、燃料高騰対策を要望しました。
 さらに、全日本トラック協会が5月23日に自民党本部で開催した「燃料価格高騰経営危機突破全国総決起大会」に参画し、増大する燃料費を補填する補助金制度の創設など業界要望の実現を訴えました。この後、燃料価格の高止まりが続く中で、全ト協が同年11月5日に都内のホテルで開催した「トラック業界の要望を実現する会」に参画し、業界要望の早急な実現を求めました。

対策本部設置、転嫁を要請

 全ト協が2013(平成25)年9月13日付で燃料高騰対策本部を設置したことに対応し、東ト協では9月30日付で大髙一夫会長を本部長とする対策本部を立ち上げました。全ト協と連携して政府・与党に補助金制度の創設など燃料高騰対策の実現を求める要望活動を展開する一方、都内の荷主業界289団体に対して、燃料サーチャージ導入による運賃・料金への高騰分の転嫁を要請する文書を提出し、理解と協力を求めました。

運送取引の書面化問題に対応

 国土交通省自動車局が、トラック運送取引の適正化に向けて契約の書面化を推進する方針を打ち出したことから、東京都トラック協会では輸送委員会を中心に対応し、実効性ある対策措置を訴えました。さらに、2014(平成26)年1月22日付で書面化推進に関する省令改正やガイドラインなどが公布されたことを受け、書面化に関する研修会を開催しました。
 書面化問題に関しては、東ト協では2013(平成25)年6月4日に開催した輸送委員会で、国交省から書面化に関する方針の説明を受け、意見交換を行いました。同日は国交省自動車局の加賀至貨物課長(当時)が説明し、「取引の適正化へのステップになる」と推進の必要性を強調し、引き続き業界の意見・要望を踏まえ、普及・定着に取り組む考えを示しました。
 これに対して会員事業者からは取引関係上、荷主側に書面化への対応を求めるのは容易ではなく、実務上の問題なども指摘され、業界の取引実態を踏まえた対応を強く求める意見が相次いで出されました。
 こうした業界の意見・要望などを踏まえて、国交省は2014年1月22日付で貨物自動車運送事業輸送安全規則(省令)や標準貨物自動車運送約款の改正、および「書面化推進ガイドライン」などを公布し、当初の方針案の「義務」規定を見直し「努力義務」規定としました。
 省令改正により、輸送の安全確保を努力義務とし、その具体的な手段として事業者の「運送引受書」発出をルール化するとともに、標準運送約款改正により、荷主側に「運送状」発出を原則化したものです。

書面化推進へ講習会

 東ト協では書面化推進に関する省令改正などの公布を受け、2014(平成26)年2月25日に「トラック運送業における書面化推進」に関する研修会を開催し、これを皮切りに4月上旬にかけて研修会を実施しました。研修会では、関東運輸局の担当官が書面化の狙いや意義、ガイドラインに基づく具体的な書面化の進め方などについて説明しました。

荷主とのPS構築セミナー
  ~関運局・関ト協が書面化テーマに開催

 関東運輸局と東京都トラック協会をはじめとした関東トラック協会は2013(平成25)年11月5日、東商ビル(東京商工会議所)国際会議場で「トラック事業者と荷主とのパートナーシップ構築セミナー」を開催しました。
 トラック運送業界で当面の大きな課題になっている燃料高騰対策としての燃料サーチャージ導入促進とともに、運送取引の書面化推進などを主なテーマとして行われたものです。いずれの問題も荷主企業側の理解と協力が不可欠であることから、問題意識などを共有化する狙いから、事業者と荷主企業が一堂に会する形でセミナーを開催したものです。
 セミナーでは関運局の原喜信局長(当時)と、関ト協の大髙一夫会長(東ト協会長)が主催者あいさつしたのに続き、国土交通省自動車局の加賀至貨物課長(当時)が趣旨説明を行い、それぞれ荷主側に協力を呼びかけました。

健診受診率の向上へ実証事業

 国土交通省自動車局が運輸事業振興助成交付金による健康診断の受診費用の一部助成を認めたことに伴い、東京都トラック協会は2013(平成25)年度から、3か年計画で「定期健康診断受診率向上のための実証調査」事業を実施しています。
 トラック運送業界における健診受診率が他産業より低い現状や、近年、運転者の健康起因事故が増加傾向にあることなどを踏まえ、運転者の健康管理の前提となる健診受診率の向上を図ることを目的に、助成が行われることになったものです。これに先立ち、同年2月に関東トラック協会の会長を務める東ト協の大髙一夫会長らが国交省自動車局に要望し、さらに全日本トラック協会が3月に自民党トラック輸送振興議員連盟に要望したことなどにより、実現したものです。
 東ト協では、相対的に規模の小さい事業者における受診率が低いことなどを考慮し、保有車両30台以下の事業者を対象に1人当たり1,000円の助成を行いました。2014(平成26)年度はさらに受診率向上を図る観点から、この30台以下の要件を廃止して、全会員事業者を対象に助成を行うことにしています。
 加えて、受診率の向上を図るためには受診機会を増やす必要があることから、2014年度の新たな取り組みとして、これまでの各支部における集団健診に加えて、本部による集団健診を実施する計画です。運転者は日常の運転業務の都合により、各支部の集団健診を受診できない場合も少なくないことから、これを補完する形で本部健診を行い、受診促進を図ることにしたものです。

駐車規制の緩和へ精力的に要望活動

 東京都内では駐車規制の強化により、短時間で取り締まりを受ける場合が多いことから、円滑な集配業務に支障を来す状況が続いています。このため東京都トラック協会は東京都や警視庁および都議会に対し、駐車・荷捌き施設などの整備促進とともに、集配業務を行う営業用トラックに対する駐車規制の見直し・緩和を要望しています。
 2013(平成25)年には1月末に警視庁、続いて2月に東京都に対して要望書を提出しました。この後、6月7日には都議会の山加朱美警察・消防委員長(当時)に、さらに都議会選挙後の9月17日には新たに就任した崎山知尚警察・消防委員長、服部ゆくお同副委員長に対して、輸送委員長の天野智義副会長らが「取り締まりありき」の実態を説明して、規制の見直しを求めるなど、精力的に要望活動を展開しました。
 東ト協のアンケート調査結果によると、5分以内の短時間駐車でも取り締まりを受ける場合が多く、駐車取り締まりに絶えず注意を払いながら、集配業務を行わなければならない状況にあります。なかには年間60回以上も取り締まりを受けた事業者もあり、対応に苦労しているのが実情であるからです。このため、東ト協では引き続き、駐車取り締まり実態についての調査を継続実施し、駐車規制の見直し・緩和を関係方面に働きかけていく方針です。
 なお、東ト協および会員事業者の働きかけにより、東京商工会議所の2013年度「中小企業対策の重点要望」、および日本商工会議所の「規制・制度改革の意見50」に、駐車規制の見直しが盛り込まれました。

消費税増税で荷主団体に転嫁要請

 2014(平成26)年4月からの消費税増税に伴う運賃・料金への適正な転嫁のため、東京都トラック協会では、全日本トラック協会が公正取引委員会に「転嫁・表示カルテル」を届け出て作成した、要請文書「消費税率引上げに伴う転嫁のお願いについて」を都内の荷主業界281団体に送付し、理解と協力を要請しました。全ト協の星野良三会長と東ト協の大髙一夫会長の連名による要請文書で、適正な転嫁を働きかけたものです。
 また、全ト協の作成資料「消費税の転嫁・表示カルテルの独占禁止法適用除外」や、内閣府作成のパンフレット「消費税の円滑かつ適正な転嫁のために」、および公正取引委員会作成の消費税転嫁対策特別措置法の内容を紹介した資料などを会員事業者に配布しました。あわせて全ト協作成の要請文書をホームページからダウンロードして活用できるようにするなど、会員事業者による転嫁交渉の取り組みをサポートしました。

税制・高速料金見直しで要望活動

 東京都トラック協会は税制・予算関連をはじめ、業界が直面する諸課題の克服に向けて、2013(平成25)年度も活発に要望活動を展開しました。同年9月2日には東京都議会の自民・公明・民主各党に対して、軽油引取税の旧暫定税率廃止をはじめとした自動車関係諸税の簡素化・軽減や燃料価格高騰に対処するための補助金制度の創設、高速料金の終日半額化および大口・多頻度割引の拡充による70%割引の実現を求めました。あわせて駐車規制の緩和や運転免許制度の見直しなどを要望しました。
 その後、同年10月2日には自民党東京都支部連合会に対して要望書を提出し、特に燃料価格高騰対策として補助金制度の創設や軽油引取税の旧暫定税率の廃止などを強く訴えました。
 さらに関東トラック協会および東ト協は、2014(平成26)年2月25日付で東京都に対して「貨物自動車運送事業等に関する要望書」を提出し、燃料価格高騰対策や自動車関係諸税の簡素化・軽減を求めるとともに、首都高速道路の通行料金の引き下げおよび営業車特別割引の創設、さらに環境対策の推進に対する支援の継続・拡充などを求めました。また翌2月26日付で警視庁に対し、駐車規制の緩和をはじめとした要望書を提出しました。
 高速料金に関しては、2014(平成26)年度から新制度に移行することに伴い、東ト協および東京都トラック運送事業協同組合連合会は、同年2月下旬にかけて行われた新料金案に対するパブリックコメントに意見提出し、高速道路(NEXCO)各社に対して、1年間の限定措置とされた大口・多頻度割引の最大50%割引について2015(平成27)年度以降の継続や、深夜50%割引の継続などを求めました。
 また、首都高速道路会社に対しては2016(平成28)年度以降の現行料金の継続とともに、ETCクレジットカード利用による時間帯割引や「お得意様割引」の復活などを要望しました。

Gマーク認定取得を推進

 東京都トラック協会は、会員事業者の安全性優良事業所(Gマーク事業所)認定取得を推進しています。このため、適正化指導員による巡回指導の際に取得を働きかけるとともに、毎年度の申請受付に先立ち、説明会や個別の事前相談会を実施しています。
 2013(平成25)年度は会員の参加利便などを考慮し、本部会場(東ト総合会館)だけでなく、多摩支部会場でも説明会や事前相談会を開催しました。説明会は5月に本部会場で延べ6回、多摩支部会場では2回開催し、事前相談会は6月に本部会場で延べ3日間、多摩支部会場では2日間にわたり実施しました。
 2013年度認定においては、都内では新規・更新を合わせて365事業所が認定を受け、これにより都内全体の認定数(東ト協会員以外を含む)は1,085事業所、取得率は17.5%となりました(2013年度末時点)。東ト協では当面の目標として、会員の取得率25%を目標に取得促進に取り組んできましたが、ほぼ目標達成の水準にあります。

原価計算セミナーを継続実施

 東京都トラック協会は再生産可能な適正運賃収受対策の一環として、2013(平成25)年度も運送原価計算セミナーを継続実施し、4支部で2回開催しました。
 適正な運賃収受のためには、まず事業者自身が原価意識を高め、原価管理を徹底する必要があるからです。これにより、自社の輸送効率の向上など経営改善に役立てるとともに、取引先の荷主企業に対して運賃の見直し交渉を行う際にも、自社の原価データを具体的に示して交渉する必要があるためです。
 また、業界の経営指標として2012(平成24)年度決算に基づく「東ト協経営分析調査」を行い、トラック運送事業の損益状況や1車当たりの損益などを分析した調査結果を取りまとめ、経営情報として提供しました。

事業運営に役立つ講習会を拡充

 東京都トラック協会は、大髙一夫会長が掲げる「会員・支部重視」の方針に基づき、2012(平成24)年度から2か年にわたって会員サポート事業を実施し、主に小規模な事業者を対象に巡回訪問し、協会事業などに対する意見や要望を聞くとともに、各種の事業経営上の相談に対応しました。
 こうした活動を通じて寄せられた意見や要望を踏まえ、2013(平成25)年度には新たな試みとして運行管理者試験の事前講習会を開催したほか、労働基準監督署の監査指導に関するセミナーや「なんでも相談会」などを行いました。
 運管試験の事前講習会は、近年、試験合格率が低下していることに加えて、保有車両5台未満の事業者に対して運行管理者選任が義務付けられたことに対応して実施したもので、2014(平成26)年度は同講習会を本格実施し、年間で6回開催する計画です。

常任委員会体制を見直す

 東京都トラック協会は2013(平成25)年12月に開催した理事会で、常任委員会体制の改正案を承認し、新体制に移行することを決めました。2014(平成26)年4月1日付でこのための委員会規程を改正しました(6月16日開催の2014年度通常総会後に実施)。
 2013年4月から一般社団法人に移行したことを契機として、従来の委員会体制が2002(平成14)年の改正後10年以上経過し、この間の業界を取り巻く環境変化などに的確に対応するため、見直すことにしたものです。また、2012(平成24)年度に発展的に解散した東京都トラック運送事業人材養成等財団から人材養成事業を継承したことも要因の1つです。
 見直しに当たっては①政策機能の強化、②外部に向けて発信する協会運営への転換、③次世代の育成を重視した協会運営――の3つの視点から検討し、見直したものです。
 具体的には新たに「物流政策委員会」を設置し、これまで輸送委員会で担当していた運賃問題や輸送の改善に関する事項、および資材燃料委員会で担当していた燃料対策といった制度・政策的な課題への対応を一元化し、政策機能の強化を図ることにしました。
 また事故防止委員会は「運輸安全委員会」、経営情報委員会は「経営教育委員会」、広報委員会は「広報・情報委員会」にそれぞれ名称変更し、所管事項も一部変更になりました。なお、総務・労務厚生・税制金融・環境の各委員会については従来通りです。

各支部を内部組織化へ

 東京都トラック協会は2013(平成25)年4月から一般社団法人に移行したことに伴い、外部組織となった各支部を定款で「地域会員」に位置付けるとともに、各支部の運営を支援するため、2か年の措置として「地域会員交付金制度」を創設しました。
 さらに、同年12月の理事会で各支部を内部組織化する方針を承認し、2014(平成26)年5月14日に開催した理事会では、各支部がこれまで通り自主的な運営が可能な「東京方式」による内部組織化を決定しました。2015(平成27)年4月1日に実施する予定です。

警視庁と協定締結
   ~ドライブレコーダー映像情報提供へ

 東京都トラック協会は2014(平成26)年4月17日、警視庁と「ドライブレコーダ等の映像情報の円滑な提供に関する協定書」に調印しました。同日、警視庁で運輸業界団体(東ト協および東京都個人タクシー協会)との協定締結式が行われ、東ト協の大髙一夫会長と警視庁の交通部・刑事部・生活安全部各部長が協定書に調印したものです。
 従来から、事件・事故に関する情報提供に協力していますが、協力関係をより強固なものにするためです。
 営業用トラックは業務上、昼夜・地域を問わず走行するため、車両に搭載されたドライブレコーダー(DR)には犯罪事件や交通事故の現場状況が記録される可能性があり、その記録映像は事件・事故の捜査や早期解決に向けた客観的な証拠収集に役立つことから、警視庁からDR記録映像の提供について協力要請を受けていたものです。
 東ト協では事件・事故の早期解決にとどまらず、DRが「動く防犯カメラ」としての役割を果たし、都民の「安全・安心」につながる防犯面の効果も期待できることから、社会貢献の一環として協力することにしたものです。

災害備蓄倉庫の荷役体制整備へ運用訓練

 東京都トラック協会は、2012(平成24)年10月31日付で東京都と締結した「災害時における東京都災害備蓄倉庫での荷役作業等に関する協定」に基づき、円滑かつ効率的な荷役作業体制の整備・構築に取り組んでおり、この一環として2013(平成25)年12月7日に、東京都と合同で白髭東備蓄倉庫で運用訓練を実施しました。
 万一の災害発生時に備え、備蓄倉庫における荷捌き業務などについて習熟するとともに、荷役作業体制や設備などを検証し、改善を図ることを目的に行ったものです。
 また、2012年度に実施した備蓄倉庫の現地視察や荷役作業体制に関する運用訓練なども踏まえ、比較的に短期間で改善が可能な対策について「東京都災害用備蓄倉庫の改善に関する提言」を取りまとめ、都に提出しました。

広報・PR活動を積極的に展開

 東京都トラック協会は、2013(平成25)年度も10月9日の「トラックの日」イベント活動を中心に、一般紙をはじめとした紙媒体やテレビ・ラジオなど複数のメディアを活用して積極的に広報・PR活動を展開しました。トラック輸送が社会のライフラインとしての役割を担っていることや、業界の安全・環境対策の取り組みを広く一般都民に知ってもらい、業界に対する社会的な認知度を高めるとともに、イメージの向上を図っていくためです。
 「トラックの日」を中心としたPR活動は、各支部による地域に密着したPRイベントに加え、協会本部イベントとして防災・交通安全関連のイベント「BO-SAIEXPO 2013inTOYOSU」に協賛し、10月5・6日の2日間、会場の江東区「アーバンドック ららぽーと豊洲」にブース出展してPR活動を行いました。本部のPRイベントについては、TBSラジオの生放送番組で紹介され、東京MXテレビの取材も受けました。
 はじめ5紙に広告を掲載するとともに、新たな試みとして「ゆりかもめ」などの電車内広告や「シネアド」(映画館でのCM上映)により、「トラックの日」をアピールしました。このほか、渋谷センター街の屋外ビジョンによるPRも行いました。
 なお、協会の事業活動を紹介したPRパネルをリニューアルし、各支部のイベント活動などで活用されました。

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