会員サポート事業を新規展開
東京都トラック協会(大髙一夫会長)は、2012(平成24)年度事業計画で「再生産可能な適正運賃の収受」「安全・安心の確保」「環境問題への対応」の3つを重点施策の柱に位置付け、積極的に各種施策を推進するとともに、新規施策として「会員サポート事業」の展開に乗り出しました。
東ト協の大髙会長は2011(平成23)年7月の就任以来、協会運営の基本スタンスとして「会員重視」「支部重視」の方針を掲げていますが、この方針を具体化する新規施策として実施したものです。会員事業者が抱える経営上の問題や協会事業に対する意見・要望などを聞き、それを今後の協会施策に反映し、各会員が抱える問題解決などをサポートするのが目的です
2012年度においては、協会職員が相対的に事業規模の小さい会員事業者を対象に巡回訪問し、協会事業や施策に対する意見・要望などを聞くとともに、各種の相談対応に当たりました。
初任運転者特別講習を開催
東ト協ではこの「会員サポート事業」の一環として、2012年度から「初任運転者特別講習事業」を実施しました。新たに採用した初任運転者に対しては、事業法「輸送安全規則」で初めてトラックに乗務する前(ただし、やむを得ない場合は乗務開始後1か月以内)に6時間以上の指導(講習など)の実施が義務付けられています。しかし、業界はほとんどが中小企業のため、個別に実施するのは難しい面があり、その実施に苦労しているのが実情です。そこで協会が代行実施機関となり、講習会を行うことにしたものです。
2012年度は6月から2か月ごとに各2回、合計で10回の講習会を開催し、年間では合計で655人が受講しました。講習は1日講習として行い、トラックを運転する心構えや安全運転のために遵守すべき事項、トラックの構造上の特性、貨物の正しい積載方法と過積載の危険性、危険の予測と回避の方法などについて、テキストや資料映像(DVD)を使い、プロのトラック運転者としての運転技術やマナー、心構えなどについて研修しました。講習会ではまた、事故防止の上で重要となる健康管理面に関して、安眠のコツや睡眠時無呼吸症候群の危険性、職業病ともいえる腰痛予防などについての研修も行いました。
2013(平成25)年度は、東京都トラック総合会館での開催回数を12回に増やすとともに、管轄エリアが広く事業者が多い多摩支部管内でも6回開催し、参加促進を図っていく方針です。
会員一当事故増加で緊急対策
東京都トラック協会は、引き続き最重要課題として交通事故防止に取り組んでいますが、2012(平成24)年は会員第一当事者の死亡事故が年間9件と前年より6件も増加してしまいました。2009(平成21)年に会員一当死亡事故の「事故半減3か年計画」目標(9件以下)を達成し、その後も減少傾向が続いていただけに、残念な結果となりました。
2012年は6月中旬まで会員一当死亡事故が1件も起きていませんでしたが、6月20日に1件目が発生し、その後、8月以降、毎月発生し憂慮すべき事態となりました。この間、6、9、11月に大髙一夫会長と江森東事故防止委員長(副会長)の連名で全会員に事故防止の徹底を求める文書を発し、注意喚起しました。その後、11月27日に開催した事故防止委員会で対応策を協議し、12月初めに同委員会の正副委員長会議などで緊急対策を決定し、死亡事故抑止に全力を挙げました。
事業用貨物自動車が関与した死亡事故発生状況
〈平成19年~平成24年)〉
年 \ 項目 | 死 亡 事 故 件 数(死者数) | ||
総件数 | 東ト協会員関与 | うち会員関与の一当 | |
平成19年 | 55 | 21 | 21 |
平成20年 | 41 | 11 | 11 |
平成21年 | 40 | 11 | 6 |
平成22年 | 39 | 10 | 4 |
平成23年 | 38 | 6 | 3 |
平成24年 | 35 | 13 | 9 |
(注)東ト協が「トラック事故速報」の方法で会員に通知している件数を手集計したものである。
注意喚起ステッカー作成・配布
緊急対策としてはまず、全会員に送付している会員一当死亡事故の「事故速報」をカラー用紙(ウグイス色)に印刷して、機関紙「東京都トラック時報」(12月10日号)に同封して再送付しました。カラー印刷することでより目立つようにして、改めて注意喚起したものです。
さらに、年末までに安全運転講習用のDVDを全25支部に配備するとともに、新たに「運転者注意喚起ステッカー」を製作・配布しました。ステッカーは、会員一当死亡事故のほとんどが交差点で発生していることから、交差点における左右の安全確認の励行を呼びかけるデザインのもので、咄嗟の場合でも停止できるように「ブレーキ足乗せ」を求めるロゴを記したものです。このステッカーは年明けの1月に各支部を通じて全会員に配布し、運転者に直接、注意を促す形で安全確認の励行運動を展開しています。
こうした緊急対策とあわせ、初任運転者特別講習や警視庁主催のセーフティドライバー・コンテストなどへの積極的な参加を呼びかけ、これにより一層の安全意識の向上を図り、事故防止の徹底を期していく方針です。
過去5年間のデータで交差点事故分析
東京都トラック協会事故防止委員会は2012(平成24)年4月、東京都内の交通死亡事故の多くを占める交差点死亡事故について、2011(平成23)年までの5年間のデータをもとに冊子「交差点での事故防止について」をとりまとめました。過去5年間の事故事例をもとに傾向や発生原因などを分析し、事故防止のための対策について提言したものです。
冊子では、交差点での一時停止の励行や「指差し呼称」による安全確認の徹底、さらに万一の場合にも迅速に対応できるように「ブレーキ足乗せ」の励行など8項目を提言しています。
関ト協、交付金による健診助成を要望
関東トラック協会(会長・大髙一夫東京都トラック協会長)は2013(平成25)年2月25日、国土交通省の武藤浩自動車局長に要望書「運輸事業振興助成交付金によるトラック運転者の健康診断受診料の助成について」を提出し、健康起因事故防止の観点から、交付金による助成を認めるよう求めました。
近年、運転者の健康状態に起因した交通事故が増加傾向にあり、大きな社会問題になっています。その未然防止には、定期的な健康診断の受診など運転者の健康管理を徹底する必要がありますが、トラック運送業界では健康診断の受診率が30%程度と低いのが実情です。このため、業界ではかねてから受診率向上が課題となっています。
定期健康診断の受診料に対する助成は「福利厚生事業」にかかる支出として、交付金による助成が認められていませんでしたが、関ト協および全日本トラック協会の要望を受け、国交省自動車局は同年4月1日付で貨物課長通達を発出し、交付金による健診助成を認めることにしました。
Gマーク認定取得を推進
東京都トラック協会は、2011(平成23)年度から会員の「Gマーク(安全性優良事業所)取得率25%2ケ年計画」を推進し、この計画に基づき2012(平成24)年度も引き続きGマーク認定取得の促進に取り組みました。
2012年度認定により、東京都内の認定数(有効期間中のところを合わせた全体数、非会員を含む)は997事業所、取得率は15.8%となりました。Gマーク認定は10回目となりますが、当面、取得可能な事業所の認定取得が一巡しつつあることから、認定数の増加は頭打ち傾向にあります。東ト協会員の取得状況も同様な傾向にあり、目標に掲げる取得率25%には届きませんでしたが、目標達成まで残すところ約130事業所となっています。
東ト協では会員の認定取得促進に向けて、適正化事業の巡回指導などにおいて積極的な取り組みを呼びかけるとともに、申請のための事前説明会や個別相談会を実施し、会員をサポートしました。2013(平成25)年度は、事前説明会や相談会を東京都トラック総合会館だけでなく、管轄エリアが広い多摩支部管内でも実施する予定です。
運行記録計義務付け拡大反対へ要望活動
東京都トラック協会はじめ関東トラック協会は、国土交通省自動車局が打ち出した運行記録計義務付け対象範囲の拡大方針に対して、2012(平成24)年の年明けにかけて1都7県の会員事業者から義務付け拡大の「見合わせ」を求める署名を集め、要望活動を展開しました。
国交省自動車局は2011(平成23)年11月に第1回運行記録計の装着義務付け対象拡大のための検討会を開催し、最大積載量1トン(車両総重量3.5トン)以上に対象範囲を拡大する方針を示し、翌2012年1月の第2回検討会では範囲拡大に加え、デジタル式運行記録計を義務付ける検討案を示しました。この検討案では営業用トラックのほとんどが義務付け対象になる上、デジタル式運行記録計は価格が高く導入コストが嵩むため、厳しい経営環境が続く業界は、極めて対応が困難な状況にあるからです。
関ト協では既に2011年12月に国交大臣および自動車局長、関東運輸局長に拡大「見合わせ」を要望していますが、翌2012年1月20日に関東1都7県から集まった6,000人余の署名とあわせ、改めて要望書を提出し、業界の実情を考慮した対応を訴えました。
こうした要望活動の結果、2012年3月に予定されていた3回目の検討会は繰り延べとなり、その後、同年8月9日に開催された第3回検討会では、当面デジタル式運行記録計の普及促進など環境整備に取り組むとの方針が示され、これまでの検討案は「白紙還元」された形になりました。
中型免許問題で要件緩和を継続要望
改正運転免許制度が施行後5年目を迎える中で、東京都トラック協会では輸送委員会が2011(平成23)年度事業として改正制度の影響や要件緩和の必要性などについて調査研究を行い、この結果を踏まえて2012(平成24)年の年明けに改めて要件緩和を求める要望活動を展開しました。中型免許制度が若年運転者採用の制約要因になっているためで、これにより、近い将来、深刻な運転者不足が懸念されるからです。
全日本トラック協会は東ト協の調査研究に基づく提言や要望を受け、2012年2月8日に当時の政府与党の民主党に対して普通免許範囲を車両総重量6.5トン未満まで引き上げるよう要望し、あわせて各都道府県トラック協会に連携した要望活動の展開を呼びかけました。
東ト協ではこれを受け、2012年1月31日に国家公安委員会の松原仁委員長(当時)に「普通自動車免許に係る要件緩和に関する要請──中型自動車免許制度関係の要件見直し」を提出し、これに続き、2月10日に民主党東京都連、同13日に東京都公安委員会にそれぞれ同様の要望書を提出し、普通免許の要件緩和を働きかけました。
駐車問題で調査、規制緩和を要望
放置車両の駐車取り締まりが強化されて6年を経過する中、東京都トラック協会では輸送委員会が2012(平成24)年10月から11月にかけて再度、取り締まり実態に関するアンケート調査を行い、この結果を踏まえ2013(平成25)年1月31日に警視庁、2月12日に東京都に対してそれぞれ「駐車対策に関する要望について」を提出し、駐車規制の緩和や営業用トラックの駐車・荷捌き施設の整備・拡充などを求めました。
実態調査の結果、5分以内など短時間の駐車で取り締まりを受けるケースが依然として多く、集配運転者にかかる負担が増大している上、事業者も駐車料金負担や2人乗務に伴うコストなどが増大し、さらには輸送効率の悪化など円滑な集配業務の遂行に支障を来す状況が続いているからです。
具体的には、警視庁に対して①20分100円パーキング・メーター増設や、営業用トラック、特に2トンロング車にも対応したパーキング・メーターなどの整備・拡充②荷捌き作業などを伴う営業用トラックの業務実態を踏まえ、これに応じた駐車許可制度の要件などの緩和③駐車規制緩和区間の都心部や商業繁華街地域における拡大④集荷・配達中の営業用トラックは、交通に支障がない限り放置車両の適用除外とすること⑤放置車両の確認に当たって、運転者不在で直ちに確認するのではなく、一定時間経過後に確認するなど営業用トラックに配慮した確認ルールを駐車監視員活動ガイドラインに盛り込むこと──の5項目を要望しました。
東京都に対しては①都所有地を活用した荷捌き用駐車施設の整備・拡充②営業用トラック専用の駐車スペースの整備促進について、各区市町村などに働きかけること③地域住民や商店街などに対する集配トラックの駐車場所確保の必要性の周知や、駐車規制の緩和に関する協議の場の設置④荷主企業や荷受者などに対する駐車スペース確保についての協力要請⑤歩道やバスレーン、駅前ロータリーへの荷捌きベイ・スペース設置の検討――の5項目を求めました。
燃料高騰危機で関東ブロック総決起大会
2012(平成24)年の年明けから4月にかけて燃料価格が急騰する中、関東トラック協会は5月15日、東京都千代田区の日比谷公会堂で関東ブロック総決起大会を開催し、引き続き国会への請願や街頭デモ行進を行い、緊急対策の実施を訴えました。あわせて大髙一夫会長をはじめとした陳情団が関係行政への要望活動を展開しました。
同日は全日本トラック協会の呼びかけで「燃料価格高騰による経営危機突破全国統一行動」が行われ、その中央行動として関ト協と全ト協およびバス、ハイヤー・タクシー業界団体、運輸関係労働組合などが合同で実施したもので、関東1都7県のトラック運送事業者はじめ約2,500人が参加しました(全国的には約2万人が参加)。
中央行動の当日はあいにくの雨天でしたが、総決起大会では緊急対策として①軽油引取税を緊急減税せよ②トリガー条項を凍結解除せよ③燃料サーチャージ制を導入促進せよ④燃料価格監視を徹底強化せよ⑤燃料費を補填する補助金を創設せよ⑥ガソリン税を緊急減税せよ――の6項目を決議し、その実現を訴えました。
茂木経産大臣に燃料高騰対策を要望
東京都トラック協会と東京都トラック運送事業協同組合連合会は2013(平成25)年3月12日、経済産業省の茂木敏充大臣と菅原一秀副大臣に「軽油価格高騰に対する要望について」を提出し、緊急対策を講じるよう要望しました。同日は東ト協の大髙一夫会長、東ト協連の古屋芳彦会長(東ト協副会長)らが茂木経産大臣を訪れ、直接、業界の窮状を訴え、旧暫定税率の廃止あるいは一次凍結、高騰に伴う補助金制度の創設などを求めました。
2012(平成24)年秋以降、原油価格の高止まりと急激な円安傾向により、軽油価格の値上がりが続き、これに伴う燃料コスト増がトラック運送事業経営を圧迫しつつあるからです。史上最高値を更新した2008(平成20)年当時、1次・2次の補正予算で「中小トラック事業者構造改善実証実験事業」による補助措置が講じられた経緯があることを踏まえ、緊急対策を要望したものです。
要望では、業界は中小零細事業者がほとんどを占めるため、燃料サーチャージなどによる高騰分の運賃転嫁は「困難な状況」と説明し、このまま価格高騰・高止まりが続けば、多くの事業者は「経営収支悪化の一途を辿り、破綻に至ることは必定」と訴え、要望実現に理解を求めました。
グリーン・エコプロジェクトの新たな展開
東京都トラック協会は環境対策のメーン事業として、引き続きグリーン・エコプロジェクト(GEP)事業を積極的に推進し、参加促進を図りました。2013(平成25)年2月末時点の参加事業者は590社に増加し、その参加登録車両(都外ナンバーを含む)は1万6,000台を超えています。
参加促進のためのインセンティブとして、グリーン経営認証取得補助やホームページの新規作成促進補助などの措置を講じ、参加費用(車両登録やセミナー受講費)についても助成措置により費用負担なしで参加できるようにしました。さらに2012(平成24)年度においては、各支部における参加説明会の開催などを支援する「活動資金助成金」制度を創設しました。
GEPは、エコドライブの推進により燃費改善とCO2(二酸化炭素)削減、さらに交通事故の防止で大きな成果を上げていますが、こうした成果について、広く業界内外に情報発信しアピールしていくための取り組みも進めています。既に2011(平成23)年9月にGEP専用のホームページを開設しましたが、さらに現在、GEPの取り組みや成果などに関する情報を共有化するクラウドシステムの構築を進めており、これにより、参加事業者が自社のPRなどに活用できるようにする方針です。
GEP事業は、国内外で高い評価を受けており、国内ではこれまでに「地球温暖化防止活動環境大臣賞」や「東京都環境賞」知事賞などを受賞していますが、2012年2月に開催された「低炭素杯2012」では、企画・審査員特別賞「最優秀イノベーション賞」を受賞しました。
GEP事業は2012年度で開始7年度目となりましたが、この間に燃費が年平均4.61%向上し、CO2削減量はスギの木約195万本分の植樹に相当します。さらに、交通事故の抑止効果も大きく、参加事業者の事故減少率は年平均30.0%にもなります。
なお、こうした成果は業界内でも評価・注目されており、滋賀県トラック協会に続き、2013年度から埼玉・千葉・愛知の各県協会が同様の取り組みを開始する予定です。
東京都の燃費評価制度構築に貢献
東京都トラック協会のグリーン・エコプロジェクト(GEP)事業が、2012(平成24)年度から東京都環境局が試行した世界初の「貨物輸送評価制度」構築に大きく貢献しました。これは、運送事業者の燃料水準を評価する制度ですが、東ト協がGEPで蓄積した実走行燃費データを提供し、都はこれを活用し評価制度を構築したものです。
この評価制度は、都が新たな自動車排出CO2削減対策として構築・試行したもので、その狙いは燃費効率の劣る自家用トラックから燃費効率の高い営業用トラック利用の推進、つまり「自営転換」を進めることにあります。都は2020(平成32)年までにCO2排出25%削減(2000年比)の目標を掲げていますが、自動車の燃費向上など単体対策だけでは限界があるため、この評価制度により、燃費効率の高い営業用トラック利用を政策的に推進することにしたものです。
都は2012年度における試行を経て、2013(平成25)年度から本格的に運用を開始します。特に、この制度が注目されるのは単に運送事業者の燃費水準を評価するだけでなく、評価を受けた事業者を公表し、その利用を推奨することです。具体的には、わが国の主要企業・自治体などで構成する「グリーン購入ネットワーク」の協力を得て、これら事業者を燃費効率の高い優良な事業者として、その積極的な利用を促していく方針です。
これにより、運送事業者には受注機会の拡大が図れるという、大きなメリットが期待できます。GEPの取り組みや成果がこうした評価制度の構築につながったわけで、その意味で、GEPの新たな、大きな成果と言えます。
GEP参加111 社が評価受ける
この貨物輸送評価制度の仕組みは、都が東ト協が提供した燃費データなど約42万台分のデータを分析し、車種・車両総重量などに応じた39区分の指標(ベンチマーク)を作成し、これを用いて運送事業者ごとにその燃費水準およびエコドライブの推進体制などを含めて評価するものです。評価は「☆」(1つ星)~「☆☆☆」(3つ星)の3ランクで行われます。
まだ試行段階ですが、東京都は2012年8月27日に初の評価結果を公表し、各事業者に評価証明書を交付しました。全体では126社から申請があり、審査の上、115社を評価認定しました。このうち東ト協GEP参加事業者が111社とほとんどを占め、「☆」評価が65社、「☆☆」は41社、最もレベルの高い「☆☆☆」は5社でした。
原価計算システム活用に向けセミナー
東京都トラック協会は、安全・環境対策の推進とともに再生産可能な適正運賃収受を3大テーマの1つに位置付けており、その取り組みの一環として2012(平成24)年度においても運送原価計算セミナーを継続実施しました。原価計算セミナー第4弾となる「経営イノベーションセミナー」を実施したもので、2013(平成25)年1月30日の葛飾支部を皮切りに順次、各支部で開催しました。
セミナーでは「武田式運送原価計算システム2012年版」を使用し、具体的に各原価を入力しながら操作方法などについて分かりやすく説明するとともに、把握した運送原価や損益をもとに配車の見直し・効率化など経営改善に向けた活用方法についての研修を行いました。
運賃水準の低迷が続く中、業界では再生産可能な適正運賃の収受が引き続き大きな課題です。取引先の荷主企業などに運賃の見直し・改善を求めていくためには、まず自社の運送原価を的確に把握し、原価意識を高めて経営の効率化を推進するとともに、詳細な原価データを提示して運賃水準の改善を要請する必要があるからです。このため、東ト協では引き続き原価計算セミナーを実施し、その普及活用に取り組んでいく方針です。
標準引越運送約款改正を要望
東京都トラック協会は2012(平成24)年3月5日、引越専門部会で取りまとめた標準引越運送約款の改正に関する要望書を全日本トラック協会に提出し、国土交通省に標準約款の見直しを働きかけるよう求めました。現行の標準約款が既に制定後20年以上になり、近年の引越事業の実態とかけ離れた状況になっているためです。特に近年、引越の前日または当日に、一方的に解約・延期するケースが少なくありません。
このため、要望ではこの解約・延期手数料について、解約・延期が「前々日」の場合は見積書に記載した運賃と作業員料の合計額の10%以内、「前日」の場合は合計額の30%以内、さらに「当日」の場合は合計額の50%以内に引き上げるよう求めたものです。また見積料や内金・手付金などの請求に関する規定の見直しや、全ト協が実施している引越管理者講習の受講義務化などを要望しました。
首都高速の割引制度拡充などを要望
東京都トラック協会と東京都トラック運送事業協同組合連合会は2012(平成24)年12月5日、首都高速道路会社に対して通行料金の割引制度に関する要望書を提出し、なかでも距離別料金制度の導入に伴い廃止されたクレジットカード利用割引の復活などを求めました。
具体的な要望事項は、営業用トラックに対する特別割引制度導入の検討やトラックの利用実態(平均利用距離24km)を考慮した距離別料金体系の設定、協同組合によるコーポレートカード契約に対する大口・多頻度割引制度の維持・拡充、およびETCクレジットカード利用による時間帯割引、お得意様割引の復活などです。
首都高速などを主に利用するトラック運送事業者は、その多くがETCクレジットカードを利用していますが、その利用割引の廃止により大幅な負担増を強いられていることから、改めて割引制度の復活を要望したものです。
また、国が利便増進事業として実施している現行割引制度が2013(平成25)年度末でその割引財源が枯渇し、今後の割引制度のあり方が問題になっていることから、これ以降についても現行の大口・多頻度割引の継続をあわせて要望しました。
アクアライン、料金引下げ恒久化を要望
関東トラック協会(会長・大髙一夫東京都トラック協会長)および千葉県トラック協会(西郷隆好会長)は2013(平成25)年2月7日、国土交通省に対して「東京湾アクアラインの料金に関する要望」および「首都高速道路小松川ジャンクションの早期完成と料金体系の見直しについて」の要望書を提出しました。同日は関ト協の大髙会長や千葉ト協の西郷会長らが国交省の前川秀和道路局長に要望書を手渡し、理解を求めました。
アクアラインでは現在、料金引き下げの社会実験が行われていますが、これにより千葉県を含む首都圏の物流事業者の約2割が湾岸ルート利用からアクアライン利用に転換し、利用促進が図られています。さらに、アクアラインルートを利用することにより、運行時間の短縮で輸送活動の効率化が図られ、輸送コストの減少など事業経営にも寄与していることから、通行料金の引き下げ措置の恒久化を要望したものです。
また、首都高速7号小松川線と中央環状線の接続のため設置工事が進められている、小松川ジャンクションの早期完成について要望しました。実現すれば、京葉道路から埼玉方面に向かう利用者は都心部の渋滞を回避でき、走行距離や運行時間が短縮できるからです。
あわせて、距離別料金制度の導入に伴い、神奈川・埼玉各料金圏から東京料金圏への乗り継ぎが値下げになりましたが、京葉道路から東京料金圏への乗り継ぎは実質的に値上げになっていることから、小松川ジャンクションの供用開始までの間、7号小松川線と中央環状線が接続されたと見なす料金体系の適用を要望しました。
災害時対応で東京都と新協定締結
東京都トラック協会は2012(平成24)年10月31日付で、東京都と「災害時における東京都災害備蓄倉庫での荷役作業等に関する協定」を新たに締結しました。東日本大震災発生時を教訓に、東京都の要請を受けて新たな協定を結んだもので、11月1日には東ト協の大髙一夫会長らが都庁を訪れ、都の川澄俊文福祉保健局長との間で協定書を取り交わしたものです。
東ト協は従来から、都と「災害対策用貨物自動車供給契約」を締結し救援物資の緊急輸送に協力しています。今回の協定では都庁第二本庁舎や立川地域防災センター、テレコムセンターなど17か所の都備蓄倉庫における物資の搬出入・仕分けなど荷役作業を含めて一括して引き受けることになったものです。
これまで備蓄倉庫における荷役作業などは、都職員が対応していましたが、緊急輸送とあわせて東ト協が一括して対応する方が円滑・迅速に緊急輸送が行えるからです。この協定締結を受け、17か所の備蓄倉庫における具体的な対応体制について、都と協議・調整を進めています。
広報・PR活動を強化、ネット広告も
東京都トラック協会は、2012(平成24)年度も引き続き10月9日の「トラックの日」を中心に広報・PR活動を積極的に展開し、新たな試みとしてインターネット上に「トラックの日」の周知を兼ねて動画広告を掲載しました。
2012年の「トラックの日」本部イベントとして、第29回「全国都市緑化フェアTOKYO」に協賛し、メーン会場の上野恩賜公園にブース出展(10月6~9日)しましたが、これにあわせインターネットのポータルサイト「goo」の地図情報のページに掲載(10月3~9日)したものです。一般紙に掲載した広告を動画CMとして流すとともに「トラックの日」まで「あと○日」とカウントダウン形式で周知・PRを行いました。また、協会ホームページともリンクさせ、安全・環境対策の取り組みや営業用トラックの役割について広報・PRしました。
この結果、期間中、協会HPに目標の2倍以上の約2万1,000人からアクセスがありました。2011(平成23)年の同時期の10倍以上ものアクセスがあり、PR効果がありました。
また、9月下旬から11月上旬にかけて朝日・読売・毎日新聞の各紙に、安全・環境・社会貢献篇の3パターンのカラー広告を掲載しました。掲載後に読者アンケートした結果、業界の認知度向上に一定の効果があったことが裏付けられています。
東ト協キャッチコピーを制定
東ト協では広報・PR活動を効果的に行うため、新たに「キャッチコピー」を制定することを決め、会員事業者および会員事業所の従業員やその家族を対象に募集しました。選考の結果、応募作品の中から『「いま」を支える。「みらい」をつくる。』を東ト協キャッチコピーに選定しました。
応募数は623作品(117社・266人)に達し、多数の応募の中から最優秀賞に選ばれたもので、10月15日に開催された東ト協の臨時総会終了後に表彰式を行いました。また、最優秀賞はじめ優秀賞・入選の各入賞作品は「全国都市緑化フェア」に出展したブースで展示・紹介しました。
東ト協、一般社団法人に移行
公益法人制度改革に伴い、東京都トラック協会は2012(平成24)年5月22日に開催した通常総会で「一般社団法人」移行のための定款変更案および移行認可申請について審議・決定しました。東ト協は既に2011(平成23)年12月7日に開催した常任理事会・理事会合同会議で一般社団法人に移行する方針を決定し、定款変更など具体的に準備作業を進めていたものです。
定款変更案では「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」(法人法)に基づき、総会を最高の意思決定機関、理事会を業務執行の決定機関と規定。大髙一夫会長が掲げる「会員重視」「支部重視」の協会運営方針を踏まえて、現行の各支部を「地域会員」とし、その位置付けを明確化しました。
その後、東ト協は2012年10月15日に臨時総会を開催し、この定款変更案の一部変更を行うとともに、東京都トラック運送事業人材養成等財団の解散に伴う残余財産の受け入れと、これに伴う2012年度収支予算の補正について審議・決定しました。
これを受け、東ト協は10月30日付で東京都に対して一般社団法人への移行認可申請を行いました。移行認可申請に関しては、東京都公益認定等審議会が12月25日に認可の基準に適合する旨答申しました。
なお、東京都トラック交通遺児等助成財団の公益財団法人移行についても、認定基準に適合する旨答申しました。
これにより、東ト協は2013(平成25)年3月25日に東京都から一般社団法人としての認可を受け、3月26日に臨時総会を開催して新法人としての事業計画・予算、規程などを承認しました(4月1日付で一般社団法人として登記)。
関ト協、厚生年金基金問題で要望
関東トラック協会(会長・大髙一夫東京都トラック協会長)と関東トラック年金基金連合会(中西英一郎会長)は2012(平成24)年10月5日、存続が危ぶまれている厚生年金基金制度に関する要望書を、自民党政務調査会AIJ問題に関するプロジェクトチーム事務局長(当時)の佐藤ゆかり参議院議員に提出し、持続可能な方向での見直しを要望しました。
世界的な金融危機の影響などで厳しい財政運営状態にある厚生年金基金が多く、厚生労働省の対策本部が将来的に廃止する方針を示していることから、財政運営制度の根本的な見直しにより、同制度を維持・存続するよう要望したものです。具体的には最低責任準備金制度の計算方法の見直しや代行給付現価負担金の適正化、非継続基準の廃止、給付減額要件の緩和などを求めました。あわせて見直しに際して、中小企業の保険料負担が現在以上に増えないように要請しました。
さらに、関ト協と関ト年金基金連合会は2013(平成25)年3月8日、東京都トラック総合会館で厚労省の丸川珠代大臣政務官との「年金問題等についての懇談会」を開催し、席上、同制度を存続する方向で財政運営制度を見直すよう要望しました。