新型コロナウイルス感染症対応に注力
2020(令和2)年1月に新型コロナウイルス感染症の感染者が日本国内で初めて確認され、その後の感染拡大に伴い、同年4月に東京都などを対象に1回目の「緊急事態宣言」が発令されました。こうした中で東京都トラック協会は、感染防止対策とあわせて事業者への支援策を講じ対応に努めてきました。同年3月に会員事業者向けの新型感染症予防・拡散防止対策を取りまとめ、1回目の「緊急事態宣言」の発令に際しても、東ト協では浅井隆会長が声明を発表し、感染対策や支援策を講じて全力で会員事業者をサポートする方針を表明しました。
具体的には、①新型コロナウイルス感染症対策本部の設置、②相談窓口の設置、③新型感染症に対する「金融支援策一覧」の作成・配布、④新型感染症の拡大防止対策――などです。これらの対策措置に加え、全会員に「緊急事態措置」に基づく感染予防対策に万全を期すよう呼びかけるとともに、各事業所で感染者が出た場合に備え、BCP(事業継続計画)も検討するよう求めました。
同年5月下旬に「緊急事態宣言」が解除された後も、新型感染症が会員の事業経営に大きな影響を及ぼしていることを踏まえ、協会ホームページや機関紙『東京都トラック時報』などを通じて、政府の緊急経済対策による支援策や感染防止対策に関する各種情報を発信し、周知に努めました。
≫東ト総合会館にサーモカメラなど設置
東ト協では感染予防対策として、東京都トラック総合会館入口にサーモカメラや消毒液を設置し、来館者の検温や手指消毒を徹底しています。あわせて協会業務と会員サービスを維持・継続するため、「緊急事態宣言」の発令に対応し、本部役職員の時差出勤や隔日出勤などを実施しました。また、役職員のデスクや会議室にアクリル板のパーティションを設置するなどの感染防止対策を講じました。
≫Web会議などの環境整備
新型感染症拡大に伴い、当初は各種会議や研修・セミナーなどの多くを中止・延期し、開催する場合には参加人数を制限して行い、受付時に検温や手指の消毒やマスクの着用を呼びかけるなど、感染防止に努めて実施しました。さらに、協会の事業活動を維持・継続するため、協会では3密回避や接触機会の削減などに資するWeb会議システムを導入し、理事会をはじめ各種会議をWeb併用により行いました。あわせて、各支部に対しても導入費用の一部助成や機器操作の研修なども行い、環境整備を図りました。
また適正化事業に関して、「緊急事態宣言」発令下では指導員による巡回指導を自粛し、宣言解除以降、感染防止対策を徹底した上で再開しました。こうした状況の中で、貨物自動車運送事業安全性評価事業(Gマーク)の申請受付は窓口申請を見合わせ、郵送による受付を行いました。
≫ドラコンなどの行事も相次ぎ中止
新型感染症の拡大に伴い、2020(令和2)年7月下旬から開幕するはずだった東京オリンピック・パラリンピック競技大会が1年延期されましたが、東ト協でも多くの行事やイベントなどの中止を余儀なくされ、同年度の第41回「東ト協ドライバー・コンテスト」を中止しました。なお、全日本トラック協会主催の第51回「全国トラックドライバー・コンテスト」も中止となりました。また、同年9月に世田谷区の駒沢オリンピック公園・中央広場で実施する予定だった「トラックフェスタ TOKYO 2020」も、来場者への感染リスクが懸念されることから、開催を中止しました。
独自に上乗せ利子補給を実施
東京都トラック協会は、2020(令和2)年3月に開催した2019(令和元)年度第3回近代化基金運営委員会(委員長・佐藤雄平副会長)で、全日本トラック協会の中央近代化基金「激甚災害融資」(新型感染症による企業への影響)について審議し、全ト協による利子補給率年0.3%に加え、東ト協が独自に年0.6%の上乗せ利子補給を行うこととしました。
具体的には、融資申込額3,000万円以下を上乗せ利子補給の対象とし、より企業規模の小さい事業者を支援することにしたもので、これにより、対象となる事業者は合わせて年0.9%の利子補給が受けられるようになりました。
2期目の浅井会長、会員支援を強調
東京都トラック協会は2020(令和2)年6月26日、同年度通常総会を開催し、任期満了に伴う役員の改選により、浅井隆会長を再任しました。浅井会長は新型コロナウイルス感染症が続く中での2期目のスタートに当たり、「協会としてお手伝いできることは全力でしっかりバックアップしていきたい」と述べ、改めて『会員重視の協会』『会員のための協会』を強調しました。
新型感染症は夏場に再拡大し、その後一旦は沈静化しましたが、同年12月に入ると再び感染者数は急速に増加し、年明けの2021(令和3)年1月には2回の「緊急事態宣言」が発令される事態となりました。これに伴い、東ト協では新年の理事会と賀詞交歓会の開催を見合わせ、浅井会長の新年あいさつを初めてWeb配信しました。この中で浅井会長は、新型感染症が続く中で「会員事業者の安定的な事業経営の確保が大きな課題となっている」と改めて指摘し、このため「本年は感染拡大防止対策を最重点事項として、『会員重視の協会』『会員のための協会』の実現に向けて取り組んでいく」とのメッセージを伝えました。
都議会各党や自民党都連へ支援策要望
東京都トラック協会は2020(令和2)年8月、都議会立憲民主党・民主クラブと都民ファーストの会、引き続き同年9月には都議会公明党・自由民主党の各党会派に対して、2021(令和3)年度「東京都への特別要望」を提出し、特に新型コロナウイルス感染症の影響に対する支援策などを要望しました。感染拡大に伴う「緊急事態宣言」発令などにより経済活動が停滞し、これにより輸送量が減少し、事業経営に大きな影響を及ぼしていることから、感染症対策に関する支援の拡充などを求めたものです。
具体的には、事業経営の維持・確保に向けて車庫・駐車場維持のための補助制度など支援制度の創設をはじめ、「エッセンシャルワーカー」であるトラック運転者を確保し、都内の輸送を守るための緊急援助制度など経済的な支援や、ワクチンが開発された場合のトラック運転者や物流センター要員などに対する優先接種などを働きかけました。あわせて、国土交通大臣告示「標準的な運賃」への対応や高速道路料金の割引拡充などについても要望しました。
その後、同年10月には自由民主党東京都支部連合会に対して要望書を提出し、新型感染症の影響に伴う厳しい経営環境に対処するため、事業継続や雇用維持に関する支援策として税負担の軽減措置の延長や資金繰り支援、支援制度などの要件緩和、各種助成金による雇用維持に関する支援などを働きかけました。
本部事務局組織が新体制に
東京都トラック協会は2020年(令和2)年4月、本部事務局の組織改正を行い、従来の1室10部17課体制を4部9グループの新体制に移行しました。従来の総務・広報・支部連絡の各部を総務部に、経理・交付金会計各部を財務部に、環境・運行管理・事業振興・教育研修の各部を業務部に再編しました。各部では従来の課制を廃止し、担当業務ごとに9グループを新設しました。
これは、浅井隆会長が協会運営の基軸に置く方針である「会員重視の協会」「会員のための協会」実現に向けて、会員サービスのさらなる向上を図るため、本部事務局の組織機能を強化するとともに、より効率的で高品質な業務運営体制を構築することを目的に実施したものです。
組織改正により、新たに導入した役職は部長・次長・グループ長・グループ長代理の4段階とし、それぞれの役割と権限を明確化させました。また等級制度は職務遂行能力に応じて8段階とし、このうち一般職は1~5等級、管理職は6~8等級です。
本部事務局の組織改正については、2016(平成28)年に設置した組織整備特別委員会で検討を進めてきたもので、既に実施した事務局職員の賃金体系などの整備に続き、新たな組織体制や人事制度を検討しました。これに伴う関連規程の改正が2019(令和元)年11月の理事会で審議・承認され、2020年度から新体制に移行したものです。
「標準的な運賃」普及・活用へ施策推進
東京都トラック協会は、改正貨物自動車運送事業法に基づき、国土交通省が2020(令和2)年4月24日付で「標準的な運賃」を大臣告示したことに伴い、その周知を図るとともに、荷主企業との運賃交渉などに活用するための取り組みを展開しました。まず全日本トラック協会が「標準的な運賃」告示および「荷主対策の深度化」規定について、荷主企業などに対して周知・浸透を図るための活動を行うに当たり、取引先の荷主企業名の提供を会員に呼びかけました。これにより、全ト協では新たに作成した荷主企業向けのパンフレット・リーフレットとあわせ、要請文書「安定した輸送力確保に向けた取り組みのお願い」を荷主企業などに送付しました。
さらに、東ト協は全ト協との共催により、2020年9月に「標準的な運賃」普及セミナーを開催しました。新型コロナウイルス感染症対策のため参加人数を制限して実施し、参加できなかった事業者も多かったことから、同年10月には同セミナーを追加開催しました。さらに全会員事業者に対して、全ト協が作成した解説書テキスト『一般貨物自動車運送事業に係る標準的な運賃の届出に向けて』や、「標準的な運賃」普及セミナーの解説動画を収録したDVDを配布しました。
また同年12月と翌2021(令和3)年1月、全ト協との共催により「原価計算活用セミナー~標準的な運賃を踏まえた荷主との取引条件見直しへの対応」を開催しました。「標準的な運賃」を活用して荷主企業と運賃交渉などを行う上で必要となる、原価計算の基礎・実践、「標準的な運賃」の考え方を用いた原価計算結果の活用などに関して解説し、会員による取り組みを促しました。
あわせて、会員にさらなる周知・浸透を図る観点から、全ト協が荷主企業に送付した要請文書「安定した輸送力確保に向けた取り組みのお願い」と、改正事業法で設けられた荷主の配慮義務や国交大臣による荷主への働きかけ規定のリーフレット、および「標準的な運賃」パンフレットを配布し、取り組みを呼びかけました。
新型感染症の影響により、荷主業界も厳しい経営環境にあるため、「標準的な運賃」の普及・活用が難しい状況にあることから、全ト協では2020年11月から2021年2月にかけて荷主業界専門新聞などに周知広告を掲載しました。東ト協においても東京商工会議所のメールマガジンで「標準的な運賃」を紹介するなど、事業者の取り組みを支援する広報活動を展開しました。
トラック運転者確保へ免許取得助成
東京都トラック協会は、業界における労働力不足への対応を推進するため、2019(平成31・令和元)年度から会員の中小企業を対象として、女性のトラック運転者を対象にした運転免許取得助成事業を実施し、免許取得費用の3分の2を助成しています。東ト協では同年度から2023(令和5)年度までの5年間で、都内事業者における女性運転者数を225人増員することを目標とし、この助成制度を活用して積極的に女性運転者の採用・確保に取り組むよう呼びかけています。
さらに、2020(令和2)年度からは新たに会員の中小企業に所属する男性トラック運転者を対象とした免許取得助成事業を開始しました。大型・中型免許の新規取得(限定解除を含む)に1人当たり5万円、準中型免許(限定解除を含む)に1人当たり3万円を助成するものです。助成人数については会員1社当たり1人としていましたが、2020年10月から1社2人に拡充しました。
≫「東京しごと財団」人材確保事業を受託
東ト協は、東京都の外郭団体「東京しごと財団」から、2020(令和2)年度「業界別人材確保支援事業(団体別独自取組支援)」の助成対象団体として選定され、同年10月から2022(令和4)年3末まで、人材確保に向けて運転免許取得助成事業を受託・実施しています。同財団から助成金(1団体当たり上限3,000万円)を受け、会員の中小企業を対象として、トラック運転者に必要な大型・中型・準中型(いずれも限定解除を含む)・大型特殊免許、けん引免許取得の教習費用について助成する事業です。
都内の会員事業所で営業用貨物自動車の運転に従事する者だけでなく、高等学校新卒者などで入社前の在学中に準中型免許を取得した場合も対象となります。助成上限額は、教習費用(税抜き)の2分の1です。ただし、国などの補助金が交付された場合には助成金は交付されません。
同財団から受託・実施している助成事業は、東ト協が実施している男性・女性トラック運転者の免許取得助成事業と併用して利用できるため、女性の場合は自己負担なし(消費税などを除く)で免許を取得でき、男性も費用の大半について助成を受けることができます。なお、全日本トラック協会が実施している準中型運転免許取得助成事業とは、2021(令和3)年度から制度変更により併用することができなくなりました。
なお、同財団による支援事業は、業界団体が構成員である中小企業を対象に実施する、人材確保に資する自主的な取り組みに係る経費を助成し、業界全体の人材確保力向上を目的としたものです。東ト協ではこれまでに、同財団から団体課題別人材力支援事業・採用力スパイラルアップ事業を受託・実施し、業界の労働力確保問題に取り組んでいることなどが考慮され、助成団体に選定されました
「働きやすい職場認証」取得促進へ助成
国土交通省が2020(令和2)年度から、トラックなど自動車運送事業における労働条件や職場環境の改善などを図ることを目的に「働きやすい職場認証制度」(正式名称:運転者職場環境良好度認証制度)を創設したことに伴い、東京都トラック協会は同年10月から、その認証取得助成事業を開始しました。同年9月に認証実施機関の日本海事協会が初の申請受付を開始したことから、新たに実施することにしたものです。
同助成事業は、会員事業者が認証申請を行い、認証機関の審査に合格し、登録証書の交付を受けた場合、初回審査・登録料の合計金額のうち5万円を助成するものです。都内に複数の事業所を有する場合は1事業所当たり5,000円を加算(本社事業所を含め11事業所を上限)して助成します。
東ト協では、認証取得の促進を図ることにより、業界における労働条件や職場環境の改善などが図られ、必要な運転者確保に資することから、会員事業者の積極的な取り組みを呼びかけています。このため、東ト協ロジスティクス研究会は同年10月に「働きやすい職場認証制度」の概要を解説するセミナーを開催したほか、ロジ研として同制度への取り組みを推進するための研修や勉強会も行いました。一方、国交省などに対して同制度のさらなる周知や活用を働きかけていくことにしています。
健康管理強化へ脳MRI健診助成
東京都トラック協会は2020(令和2)年度から、都内の会員事業所に所属する45歳以上のトラック運転者を対象に脳MRI健診助成事業を行っています。重大事故の要因の1つとされる脳血管異常の早期発見、早期治療を促進するためです。助成額は運転者1人当たり1万円(1事業者につき5人まで)です。国や健康保険組合、関係団体などから助成金が交付された場合などには助成金は交付されません。
東ト協では、事業用トラック運転者の健康状態に起因した交通事故が増加傾向にあることから、トラック運転者の健康管理を徹底し事故防止を図る取り組みの一環として、会員事業者の従業員を対象に健康診断に係る受診費用助成、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の検査費用助成を実施しており、さらに対策を拡充したものです。
また、トラック運転者の健康診断の受診率向上を図るためには受診機会を増やす必要があるため、各支部による集団健診に加え、これを補完する形で東ト協本部での集団健診も実施しています。なお、新型コロナウイルス感染症に伴い、本部集団健診では時間帯ごとの受診人数を制限するなど感染防止対策を講じた上で実施しています。
全会員に事故防止を再徹底 ~会員一当の死亡事故が増加
東京都トラック協会は2020(令和2)年12月、全会員事業者に対して運輸安全委員長(委員長・森本勝也副会長)名で要請文書「年末年始の事故防止の徹底について」を発出し、改めて運転者に対する指導・監督を徹底するとともに、適正な点呼の確実な実施などにより、事故防止に取り組むよう呼びかけました。
警視庁管内(都内)では同年12月に入って事業用貨物自動車関与の死亡事故が4件発生し、累計で19件と前年同期比4件増加し、会員関与の死亡事故も前年より多い状況でした。東ト協ではこうした事態を重く受け止め、「非常事態と言わざるを得ない状況」にあるとして、改めて事故防止への取り組み強化を求めたものです。
なお、2020年中における会員関与の死亡事故は9件で前年比6件も多く、なかでも会員第一当事者の事故が5件と同4件増加しました。
東ト協は、交通事故・労働災害防止対策を重点課題の一つに掲げて取り組んでいますが、同年は新型コロナウイルス感染症に伴い、春・秋の全国交通安全運動においてはほとんどの支部が「統一実施日」の街頭指導活動を見合わせました。ただ、2021(令和3)年春の交通安全運動では多くの支部が「統一実施日」に街頭活動を行い、交通安全を呼びかけました。
≫警視庁交通部長から感謝状信
東ト協は、2020(令和2)年「秋の交通功労者等表彰」の特別優良団体として警視庁交通部長から感謝状を贈られました。新型感染症の感染拡大防止のため、表彰式が中止となったことに伴い、同年11月に東ト総合会館で感謝状贈呈式
が行われ、浅井隆会長が警視庁交通部交通総務課の㓛刀正樹管理官から感謝状を受領しました。
感謝状は、春・秋の全国交通安全運動期間中に警視庁交通部と連携し、街頭ビジョンを活用した広報活動により安全意識高揚に貢献したことをはじめ、会員事業者に対する「トラック事故速報」発出による事故防止への取り組みなどが評価され、贈られたものです。なお、東ト協は2017(平成29)年「秋の交通功労者等表彰」に続き、今回で2回目の感謝状受領となりました。
GEP中心に環境対策を継続推進
東京都トラック協会は2020(令和2)年度においても、引き続きグリーン・エコプロジェクト(GEP)活動を中心として環境対策を推進しました。GEP活動はエコドライブの推進によりCO₂排出削減を図ることを目的としたもので
すが、それだけにとどまらず、活動を通じて参加事業者が経営基盤を確立し、企業価値向上を図る取り組みとして推進しているものです。さらに国連のSDGs(持続可能な開発目標)達成に貢献する活動と位置付け、事業者の取り組みを促しています。
ただ、新型コロナウイルス感染症の拡大により、2020年4月に1回目の「緊急事態宣言」が発令されたことに伴い、同年4、5月は協会本部で実施している継続セミナーやステップアップセミナーの中止を余儀なくされました。しかし、解除後にはWeb会議システムを併用して開催するなど、感染防止対策を講じながら再開しました。
引き続き、GEP活動の拡大に向けて参加促進に努めており、2020年度末時点の参加事業者は577社、参加登録車両台数は1万8,766台(都内外ナンバー含む)となっています。
また、同年度は新型感染症の影響で環境関連の展示会も中止されましたが、オンライン展示会の「エコプロonline2020」「エコライフ・フェアonline2020」に参加し、インターネットを通じてGEPや東京都「貨物輸送評価制度」など、業界の環境対策への取り組みをPRしました。
2021(令和3)年度は新たな展開として、東京都の支援により、GEP参加事業者を対象として、輸配送の効率化に資するシステムなどデジタルトランスフォーメーション(DX)導入を推進し、エコドライブとあわせて業務の効率化を進めることにより、さらなるCO₂排出削減に取り組む方針です。
≫都「評価制度」取得をサポート
東ト協は、東京都が自動車排出CO₂削減対策として実施している「貨物輸送評価制度」について、申請説明会や申請受付を担当していますが、2020(令和2)年度は新型感染症対策のため、Webによる申請説明会を実施するとともに郵送やメールによる申請書類の提出を呼びかけました。
あわせて、GEP参加事業者の評価取得に取り組んでおり、申請に必要な燃費データを提供するなど評価取得をサポートしています。同年度の評価事業者数は過去最高の346社ですが、このうち東ト協会員が306社で、なかでもGEP参加事業者が298社とほとんどを占めました。
集配車専用の駐車場所増設を要望へ
警視庁は2021(令和3)年4月、2020(令和2)年度の駐車規制見直し分として、貨物集配中の車両専用駐車スペースを都内49か所・67枠を追加設置し、2019(平成31・令和元)年度の見直し分と合わせ、計101か所・145枠に拡大しました。しかし、依然として集配車両の駐車場所が不足している状況にあることから、東京都トラック協会では引き続き、さらなる増設を要望していく方針です。
具体的には、①可能な限り早期の駐車箇所・駐車枠数などの拡充、②集配車両以外の一般車両が駐車しないよう駐車指導・取り締まりの強化、③貨物自動車を除外した駐車禁止規制、または貨物自動車を対象とした時間制限駐車区間規制など規制見直し――などです。
要望に当たっては、会員事業者を対象にしたアンケート結果などを踏まえ、重点的な要望場所の一覧を添付して、設置実現を要請する方針です。
会長の諮問機関を設置 ~GEP検証と東ト協の今後のあり方検討
東京都トラック協会は、浅井隆会長の諮問機関として、2020(令和2)年6月に「グリーン・エコプロジェクト(GEP)検証・検討委員会」(委員長・佐藤雄平副会長)と、同年7月に「東京都トラック協会の今後のあり方検討委員会」(委員長・中田信哉神奈川大学名誉教授)を設置し、それぞれ第1回委員会を開催しました。
GEP検証・検討委員会は事業費用の妥当性や事業の改善点、今後の予測などを検証・検討し、今後の対応や方向性などを決定することを目的に設置したものです。全9回にわたり、議論を重ね、次世代型のGEP推進が必要との結論に至りました。
一方、今後のあり方検討委員会は運輸事業振興助成交付金や会員数が減少し、各種事業の継続や新規事業の実施が厳しくなりつつあることから、今後の事業の方向性や将来を見据えた協会のあり方を検討することを目的としたものです。
≫会員サービス利用状況を調査
東ト協の今後のあり方検討委員会は2021(令和3)年1月、会員サービスの利用状況などに関するアンケート調査を行いました。会員の意見や要望などを聞き、協会運営に反映する観点から実施したものです。
その結果(回答数966社、回答率28.9%)によると、運転者適性診断補助や健康診断に係る助成など「人(社員・運転者)に関する助成」、および初任運転者特別講習など「教育支援」は利用率が6割以上と活用されています。
各助成・支援事業によって利用状況には格差がありますが、利用したことがある会員の大多数が「今後も利用したい」と回答しています。このため利用促進に向けて、各助成・支援事業に関する情報提供や周知に努めていくことにしています。
災害時緊急輸送体制を強化
東京都トラック協会は2020(令和2)年3月、東京都と新たに「災害時における広域輸送基地からの物資輸送等に関する協定」を締結しました。都が「多摩広域防災倉庫」の運用を開始することに伴い、災害時における物資供給体制を強化するため、新たな協定を締結したもので、東ト協が広域輸送基地から区市町村施設への緊急物資輸送を担うことになります。
東ト協では従来から、「災害応急対策用貨物自動車供給契約」などを締結しており、災害時の緊急輸送に協力しています。
≫災害時の貨物自動車供給契約を改定
東ト協は2021(令和3)年3月、東京都との「災害応急対策用貨物自動車供給契約」を一部改定し、運賃などの基準について、国土交通省が2020(令和2)年4月に大臣告示した「標準的な運賃(その適用方を含む)」に準拠したものとし、同年4月から適用されました。これまでは1999(平成11)年告示の運賃・料金に準拠した内容だったため、改定を申し入れた結果、「標準的な運賃」の適用が認められたものです。
「児童絵画コンテスト」応募数が増加
東京都トラック協会は、2020(令和2)年度の「10/9トラックの日 児童絵画作品コンテスト」を実施し、都内小学校に在籍または都内に居住する小学生から、これまでで最も多い458点の応募作品が寄せられました。
同年度は新型コロナウイルス感染症に伴う1回目の「緊急事態宣言」が発令され、小学校などが休校となったことから、その影響が懸念されましたが、各支部の協力をはじめ、都内の小学校に配布されている壁新聞などで告知・PRを行ったことにより、応募数は2019(平成31・令和元)年度より増加する結果となりました。
表彰式については、新型感染症が続く中で開催を断念し、代わりに文化放送のラジオ番組で実施報告と入賞者名の発表などを行いました。また、入賞作品は東ト総合会館1階ロビーで展示しています。
同コンテストは広報事業の一環として、トラック運送事業の役割や安全・環境対策の取り組みなどについて理解促進を図るため、東京都トラック交通遺児等助成財団との共催、東京運輸支局の後援により行っているもので、2017(平成29)年度から毎年開催しています。
≫会館デジタルサイネージでPR
東ト協は2020(令和2)年度から、東ト総合会館1階のショーウインドを一部リニューアルし、デジタルサイネージによる広報・PRを行っています。東ト協が春・秋の全国交通安全運動期間中に放映している街頭ビジョン映像や「10/9トラックの日 児童絵画作品コンテスト」の入賞作品の紹介、全日本トラック協会制作のテレビCMなどを大型モニターで放映しているものです。
≫東ト協公式Facebook開設定
東ト協は2021(令和3)年4月から、代表的なSNSのFacebookに公式アカウントを開設しました。これまで東ト協ホームページで各種情報を発信していましたが、同アカウントが会員などからのフォローを受けることで、継続的にプッシュ型の情報提供を行うことができるとともに、協会活動について広く一般都民にPRすることにつながることから、公式アカウントを開設し活用することにしたものです。
本部事務局各部の投稿担当者が会議・セミナー・行事などの開催案内、各助成事業の実施内容などを記事として投稿し、情報を配信しています。
さらなる会員サービス向上を推進
東京都トラック協会は、2021(令和3)年3月に開催した2020(令和2)年度第4回理事会(Web併用)で、令和3年度事業計画を決定しました。新型コロナウイルス感染症が続く中で、感染拡大防止を最重要課題と位置付けて対応に努めるとともに、「会員重視の協会」「会員のための協会」の実現に向けて労働力不足、長時間労働、事故防止、適正な運賃・料金の収受、環境保護、駐車問題など、様々な業界課題の克服に取り組む方針です。
具体的には、2020年10月から開始した「働きやすい職場認証制度」取得促進助成事業について、当初計画に盛り込んで実施するとともに、改正貨物自動車運送事業法の周知、および「標準的な運賃」の浸透による適正な運賃・料金収受の推進などに取り組む方針です。このため、会員事業者の「標準的な運賃」の届出促進に向けて、全日本トラック協会が新たに作成した解説パンフレットを配布するとともに、普及・活用に向けたセミナーを開催する予定です。
また、1年延期で開催予定の東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会に向けて、交通需要マネジメント(TDM)など交通対策への対応に資するため、全会員事業者に東京商工会議所作成の「2020交通対策ハンドマップ」を配布しました。
≫トラックフェスタをオンライン開催へ
新型感染症拡大に伴う3回目の「緊急事態宣言」が発令される中で、2021(令和3)年度のトラックフェスタについては、予定していた駒沢オリンピック公園での開催を断念しましたが、開催方式を変更し、「トラックフェスタ TOKYO
2021 Online」として開催することが決定しました。トラック運送業界の役割、および過去のフェスタの模様などを紹介した動画を制作し、YouTubeなどで配信する予定です。