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2021:経営環境

コロナ禍で運賃水準が低調に

 新型コロナウイルス感染症に伴う経済活動の停滞により、荷動きも低調に推移し、運賃水準も前年を下回る状況が続いています。
 求荷求車情報ネットワーク「WebKIT」の成約運賃指数によると、2013(平成25)年度以降、運転者不足などを要因として運賃水準は上昇傾向を辿り、2018(平成30)年12月には過去最高の137まで上がりました。その後も高止まりで推移していましたが、2019(令和元)年8月以降、前年を下回って推移し、さらに新型感染症に伴う「緊急事態宣言」発令などの影響が加わり、2020(令和2)年5月からは前年を大きく下回る状況となっています。2021(令和3)年に入っても1月119、2月117、3月121で、前年同月を5~7ポイント下回る水準で推移しています。
 また、日通総合研究所の「2020・2021年度国内貨物輸送量の見通し」によると、2020年度の総輸送量は43億9,710万トンで前年度比6.7%減となる見込みです。2021年度見通しは45億390万トン(同2.4%増)と4年ぶりの増加を予測していますが、前年度の落ち込みに伴う反動増の側面が強く、感染症の再拡大により下振れする可能性が高いとしています。このうち営業用トラックの輸送量も同様に、2020年度が28億4,680万トンで前年度比6.8%減となり、2021年度は29億3,890万トンで同3.2%増と予測していますが、やはり反動増の側面が強いようです。

全ト協が就職氷河期世代の就業支援

 厚生労働省は就職氷河期世代(35~54歳)の正社員就職を支援するため、2020(令和2)年度から「短期資格等習得コース事業」を新たに開始しました。実施団体の1つに全日本トラック協会が指定され、正社員就職につながる資格の取得に向けたプログラムの実施を委託しました。
 全ト協では不足状態にある運転者確保の観点から、同事業を受託・実施しているもので、トラックの運転に必要な準中型・中型・大型免許の取得から、業界知識の習得(座学講座など)、職場見学、職場体験を組み合わせた「出口一体型」プログラムを作成し、参加登録を行っています。
 具体的には説明会を受けた後、登録申し込みをすると、国家資格を持ったキャリアコンサルタントによるコンサル(無料)や、教習所で取得希望免許の訓練を受けることになります。運転免許取得後には物流業界や安全運転の知識を深める講習を受講し、その後、職場見学や職場体験などを行い、トラック運転者の仕事・魅力を理解してもらうことにしています。

高速料金の大口・多頻度割引50%継続

 政府は、2020(令和2)年度の補正予算により、新型コロナウイルス感染症の影響に対する支援策として77億円余を計上し、同年度末で期限を迎える高速道路料金の大口・多頻度割引最大50%(原則は最大40%)を再度、2022(令和4)年3月末まで1年延長しました。
 大口割引(契約者単位割引)は、契約者の1か月の高速道路利用額の合計が500万円を超え、かつ自動車1台当たりの1か月平均利用額が3万円を超える場合に10%の割引が適用されます。また多頻度割引(車両単位割引)は、1台ごとの月間利用額は5,000円超1万円以下の場合に20%(ETC2.0非搭載車は10%)、1万円超3万円以下は30%(同20%)、3万円超は40%(同30%)となります。
 このほか、2020年度補正予算では、中小トラック事業者に対するテールゲートリフターなどの導入支援に2億円を計上しました。

国交省が首都圏の新たな高速料金案 ~首都高速の激変緩和措置を1年延長

 国土交通省は、首都圏の新たな高速道路料金について具体的な方針案を決定しました。今後、自治体からの同意を取り付けた上で首都高速道路などに事業許可を行い、2022(令和4)年4月から新たな料金がスタートする予定です。
 首都高速の車種間料金比率については2016(平成28)年に変更され、それまで普通車と同額だった中型車を普通車の1.2倍、普通車の2倍だった特大車を同2.75倍に設定しましたが、2021(令和3)年3月末まで中型車は1.07倍、特大車は2.14倍とする激変緩和措置が講じられました。その期限を迎えましたが、新型コロナウイルス感染症の状況を踏まえ、もう1年延長することにしました。
 また、首都圏の高速道路の料金水準は、対距離制を基本に首都高速の1キロメートル当たり36.6円に統一されましたが、これによって、料上げられる第三京浜や京葉道路、千葉東金道路などは物流への影響を考慮し、上限料金を設定するなど激変緩和措置が講じられ、高速ネットワークの概成後に整理する予定です。
 首都高速の大口・多頻度割引は現在、最大35%(車両単位割引25%、契約者単位割引10%)となっていますが、東日本・中日本・西日本高速道路(NEXCO3社)による車両単位割引が最大40%となっていることを踏まえ、今後、割引率の拡充を検討する方針です。
 また現在、適用のない深夜割引についても都心部の渋滞解消を目的として、交通量が少ない深夜利用を促進するため、新たに午前零時から午前4時までの間に首都高速に流入する利用について20%割引を導入する方針です。

自賠責保険料率が2年連続で引き下げ

 金融庁は、2021(令和3)年1月に開催した自動車賠償責任保険審議会で、2021年度からの自賠責保険料を平均6.7%引き下げることを決定しました。交通事故死者数の減少を反映したもので、2年連続の引き下げとなりました。
 営業用貨物自動車(普通貨物自動車・けん引普通貨物自動車)の基準料率(契約期間1年)は、最大積載量2トン超の場合、3万530円が2万8,380円(改定率7.0%)へ、同2トン以下の場合は2万1,970円が2万580円(同6.3%)へ引き下げられました(沖縄県を除く)。

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