
会長 浅井 隆
明けましておめでとうございます。会員事業者の皆様をはじめ関係各位には、平素から格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。令和3年の新春を迎え、謹んでご挨拶を申し上げます。
さて、昨年は、新型コロナウイルス感染症の拡大により日常生活や社会活動が激変した一年でありました。
新型コロナウイルス感染症でお亡くなりになられた皆様に哀悼の意を捧げますとともに、現在も感染リスクを抱えながら働かれております医療従事者の皆様や「エッセンシャルワーカー」であるドライバーをはじめトラック運送従事者の皆様に感謝申し上げます。
こうした厳しい環境下においても、トラック運送事業は、生活と経済のライフラインとして、都民生活や産業活動に不可欠な存在であり、ひとときも公共的物流サービスを止めることは許されず、更には、地震や大型台風などの自然災害の際には、トラックの機動力を発揮し、必要な緊急支援物資を被災地に輸送するなど、公共的な役割も担っております。
このため、東ト協は、新型コロナウイルス感染症対策本部を設置するとともに、感染防止や金融支援策に関する情報提供、東ト協独自の利子補給制度などを実施し、会員サポートに努めるとともに、理事会、各種委員会などをWEB会議併用で開催し、支部に対してもWEB会議活用を推進するための助成やWEBソフト操作研修を行いました。
一方において、新型コロナウイルス感染症の発生と感染拡大は、トラック運送業界においても大きな影響を及ぼしております。政府による緊急事態宣言の発令を境に、国民生活が一変したことで輸送量が大きく減少し、経営計画の見直しを迫られている会員事業者も多く、今後の安定的な事業経営が大きな課題となっています。
この様なことから、関係機関などへ経営安定化に向けた要望、事業継続や雇用維持に関する支援策などを求めるとともに、業務を遂行するドライバーを確保し、守る観点からの緊急支援制度などの経済的支援や働き方改革への支援、高速道路料金の割引制度の拡充、駐車規制の緩和などの物流対策について要望しました。
また、収束の見通しが立たず予定していた各種行事の実施が困難な状況から、残念ながら「東ト協ドライバー・コンテスト」や「トラックフェスタTOKYO2020」などの主要なイベントを見送るなど、苦渋の決断を下しました。
4月には本部事務局の組織改正を実施し、組織機能の強化と会員サービスの向上を図るため、これまで以上に「会員重視の協会」「会員のための協会」の実現に向けた体制に移行しました。
トラック業界は、平成30年に成立した「働き方改革関連法」により、時間外労働について罰則付きの上限規制が導入されることとなり、自動車運転業務の時間外労働は、令和6年度から年960時間(月平均80時間)以内の上限規制が適用されます。労働生産性の向上には、物流のデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進し、課題であります労働力不足、長時間労働改善のほか、事故防止対策、適正運賃・料金収受、環境対策、駐車問題等の多くの山積する課題の克服を目指し、業界の更なる発展に向け全力で尽くしてまいります。
働き方改革に関連し、平成30年に議員立法で成立した「貨物自動車運送事業法」により、一昨年7月には「荷主対策の深度化」として、荷主の配慮義務、荷主勧告制度の強化、国土交通大臣の荷主への働きかけ等、同年11月には「規制の適正化」として、許可基準の明確化、参入制限、遵守すべき事項の明確化などが図られました。
時限措置(令和5年度末)である国土交通大臣による「標準的な運賃」が昨年4月に告示され、東ト協では普及セミナーの開催や荷主への周知を行っており、本年も引き続き、持続可能な物流を実現するため会員への周知・浸透を図るとともに荷主の皆様への更なるご理解と周知に取り組んでまいります。
本年は、昨年延期となった東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会が開催される予定です。東ト協として、あらゆる機会をとらえ「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会開催時の交通円滑化・渋滞緩和対策」について意見を発出してまいります。特に一般道路の渋滞が懸念されるため、その渋滞緩和対策を要望するとともに会員の皆様への交通規制情報等速やかな情報発信に努めてまいります。
本年も引き続き、新型コロナウイルス感染症関連の対策を最重点に取り組むとともに、協会運営を円滑に行い、「会員重視の協会」、「会員のための協会」を実現するには、会員の皆様のご理解とご協力が必要不可欠でございますので、更なるお力添えをお願い申し上げます。
結びになりますが、関係各位の一層のご支援・ご指導・ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げますとともに、本年の皆々様のご事業のご隆盛とご健勝・ご多幸を心よりお祈り申し上げ、新年のご挨拶とさせていただきます。
令和3年 元旦
一般社団法人 東京都トラック協会
会長 浅井 隆