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2020:東京都トラック協会(東ト協)の活動

●浅井会長再任、2期目がスタート

 東京都トラック協会は2020(令和2)年6月15日、2020年度通常総会を開催し、任期満了に伴う役員の改選を行い、理事・監事を選任しました。この後、同月26日に新任理事による理事会を開催し、2020・2021(令和2・3)年度の執行部役員として浅井隆会長をはじめ副会長10氏、専務・常務理事、25支部長などを選任しました。
 2期目を迎えた浅井会長は就任のあいさつで、新型コロナウイルス感染症が事業経営に大きな影響を及ぼしつつあることから、「協会としてお手伝いできることはしっかりバックアップしていきたい」と強調しました。また、会員サービスのさらなる向上に向けて、「2020年4月に本部事務局の組織改正を行いましたが、あわせてこれからの支部の体制も考え、新しい本部・支部の体制を構築していきたい」と述べました。

●『会員重視の協会』実現へ施策推進  ~「5つの視点」に加え、新型感染症対策

 東京都トラック協会は、2019(令和元)年度事業計画に続き、2020(令和2)年度事業計画において、直面する課題解決に向けた取り組みの方向性として「今後の行動方針」を策定するとともに、これに沿った「5つの視点」(別掲)を明示して、「会員重視の協会」「会員のための協会」実現を目指して、各種施策を推進する方針です。
 具体的には、人材確保など働き方改革の推進や安全・環境対策の推進、新型コロナウイルス感染症の影響により、1年延期となった東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた交通対策などを推進するほか、緊急問題として新型感染症対策に取り組み、会員事業者の対応をサポートする方針です。

❖5つの視点❖

【視点①】東京2020大会を見据えた地域活動活性化の推進
  ○東京2020大会TDM等対応機能の充実
  ○支部の地域活動に対する支援体制の確立
【視点②】新たな人材を確保・発掘するための東ト協働き方改革
  ○男女共同参画社会の実現
  ○革新技術を活用した新たな働き方
【視点③】安全(交通・労災)・環境対策事業の推進
  ○環境対策事業の新たな位置付け
  ○既存事業の見直し
【視点④】情報発信力の強化
  ○行政等との協働による情報提供・発信
  ○トラック業界への意義ある広報PR展開
  ○会員増強、組織率の向上
【視点⑤】危機管理への対応
  ○首都直下地震対策
  ○テロ対策、感染症対策

《新型コロナウイルス感染症対策(検討事項)》

○感染拡大防止策に関する各種情報の提供
○関係行政庁・関係団体等に対する会員の経営安定化に係る要望の実施

≫新たに脳MRI健診助成など施策拡充

 2020(令和2)年度事業計画では、既存事業の見直しを行うとともに、会員サービス向上に向けた新規・拡充施策を推進します。
 まず、慢性的な不足状態にある運転者の確保・育成に向けて運転免許取得助成を拡充し、前年度から実施している女性ドライバーを対象とした免許取得助成に加え、新たに男性ドライバーの免許取得に対しても助成します。また、近年増加している運転者の健康起因事故防止対策の一環として、新たに脳MRI健診受診助成を実施します。さらに支部に対する支援策を拡充し、共同の事務局展開などに取り組む支部を対象として、業務執行体制の強化・効率化費用を助成するほか、支部で実施する交通安全教室についても、その活動費用を助成し支援します。

≫会長候補者選出規程を改正

 東ト協では2020(令和2)年度が役員改選期に当たることから、2019(令和元)年11月の理事会で「会長候補者の選出に関する規程」を改正し、同規程に基づき、会長候補者選出・管理委員会(委員長・水野功副会長)を設置して選出手続きを進めました。その結果、2020年3月に開催した理事会で、同委員会推薦の会長候補者に浅井会長が選定されたことが報告されました。その後、理事推薦(20人以上の推薦)会長候補者の届出がなかったことに伴い、浅井会長が唯一の会長候補者となり、6月15日開催の通常総会で役員の改選を行った後、同26日に新任理事による理事会を開催し、浅井会長を再任しました。

●新型感染症拡大に伴う緊急事態に対応  ~相談窓口開設や支援策一覧作成

 東京都トラック協会は2020(令和2)年2月、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、本部事務局の役職員に対して感染防止のための留意事項を示し、感染予防に万全を期すよう指示しました。引き続き3月には会員向けの新型感染症予防・拡散防止対策を取りまとめ、従業員の感染予防に努めるよう呼びかけました。こうした新型感染症の拡大に伴い、東ト協は2月下旬以降、感染防止の観点から、各種会議や研修・セミナーなどを相次いで中止・延期しました。
 さらに政府が4月7日、改正新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づき、東京都をはじめ7都府県を対象に「緊急事態宣言」を発令したことに伴い、浅井隆会長が対応策を講じて全力で会員事業者をサポートする旨の声明を発表し、支援する方針を表明しました。
 対応策としては、①新型インフルエンザ等対策本部の設置、②相談窓口の設置、③新型感染症に対する「金融支援策一覧」の作成・配布、④新型感染症の拡大防止対策―などです。これらの対策措置に加え、改めて全会員に対して感染予防対策に万全を期すよう呼びかけるとともに、社内で感染者が出た場合についてBCP(事業継続計画)も検討するよう求めました。
 これに先立ち、東ト協では3月に開催された東京都議会自由民主党議員で構成する東京都トラック輸送議員懇話会(髙島直樹会長)の総会に浅井隆会長らが出席し、緊急問題として新型感染症への対応策を要請しました。浅井会長はトラック運送業の事業経営にも大きな影響が出ている状況を説明し、補助金の導入などの支援策を求めました。あわせて、感染防止のためのマスクや消毒薬などが不足状態に陥っていることから、早期に供給されるよう要請しました。
 新型感染症に伴う緊急事態宣言はその後、全国に拡大され、適用期間が5月末まで延長されたものの、5月中旬以降、段階的に解除され、5月25日には最後まで継続されていた東京都なども解除となりました。この間、東ト協はホームぺージや機関紙「東京都トラック時報」などを通じて、政府の緊急経済対策による支援策や感染防止対策に関する各種情報などを発信し、周知に努めました。

≫本部役職員は隔日出勤で対応

 東ト協は2020(令和2)年4月6日から、役職員への新型感染症の感染防止と協会業務の維持・継続を図るため、本部役職員の勤務体制を変更し、2班編制で隔日勤務としました。こうした勤務体制は、東京都などに対する緊急事態宣言の解除後も5月末まで継続しました。この後、6月2日から2班体制による時差出勤体制に切り替え、同月23日から通常の勤務体制に戻しました。

●独自に上乗せ利子補給の支援策

 全日本トラック協会は2020(令和2)年3月から、新型コロナウイルス感染症に伴う事業経営への影響が顕在化してきていることから、その影響を激甚災害に準ずる事象として「激甚災害融資(運転資金)」の推薦融資申し込みを公募しました。これに対し、東ト協は独自の支援策として0.6%の上乗せ利子補給を行うことにしました。
 全ト協の激甚災害融資では、個別企業・共同体とも融資に対する利子補給率は年0.3%ですが、これに加えて東ト協が年0.6%の上乗せ利子補給を行い、合わせて年0.9%の利子補給が受けられるようにしました。ただし、より企業規模の小さい事業者を支援する観点から、融資申込額3,000万円以下を上乗せ利子補給の対象としました。
 東ト協は3月に近代化基金運営委員会(委員長・佐藤雄平副会長)を開催し、緊急措置として独自の利子補給の実施を決め、迅速に対応したものです。

●本部事務局の機能強化へ組織改正

 東京都トラック協会は新型コロナウイルス感染症という緊急事態への対応に追われる中でしたが、2020(令和2)年4月1日にかねて予定していた本部事務局の組織改正を行い、従来の1室10部17課制を4部9グループ制の新体制に 移行しました。
 協会運営の基軸に置く方針である「会員重視の協会」「会員のための協会」の実現に向けて、今後さらなる会員サービスの向上を図っていくため、本部事務局の組織機能を強化し、より効率的で高品質な業務運営体制を構築することを目的に実施したものです。
 東ト協では新体制移行に伴い同日、辞令交付式を行い、浅井隆会長は本部役職員に対して「各部が一体となり、有機的に連携して業務を行い、業界が抱える諸問題の解決に取り組んでほしい」と訓示しました。
 組織改正により、従来の総務・広報・支部連絡各部を総務部に、経理・交付金会計各部を財務部に、環境・運行管理・事業振興・教育研修各部を業務部に大括り化するとともに、所掌業務を明確化しました。また、各部では従来の課制を廃止し、担当業務ごとに9グループを新設しました。
 さらに、組織改正にあわせて新たな人事制度を導入しました。役職制度は部長・次長・グループ長・グループ長代理の4段階とし、それぞれの役割と権限を明確化しました。等級制度は、職務遂行能力レベルに応じて8段階(1~5等 級が一般職、6~8等級が管理職)としました。
 東ト協では2016(平成28)年に組織整備特別委員会を設置し、本部事務局の賃金体系などの整備を行ったのに続き、今回、組織改正や新たな人事制度を導入したものです。なお、これに伴う関連規程の改正は2019(令和元)年11月の 理事会で審議・承認されました。

●五輪開催時のTDMなど交通対策に対応

 2020(令和2)年夏に開催される予定だった東京オリンピック・パラリンピック競技大会は、 新型コロナウイルス感染症の影響により1年延期されましたが、それまでの間、東京都トラック協会は交通需要マネジメント(TDM)や交 通システムマネジメント(TSM)などの交通対策に関して、円滑な輸送活動の確保の観点から、物流政策委員会(委員長・原島藤壽副会長)などで対応策を検討し、その実現に向けて要望活動を展開しました。
 大会期間中は、大会関連交通量の増加が予想され、なかでも物流施設や関係車両の交通が多い臨海エリアは大会関連施設が多く立地するため、その影響により、特に交通混雑が深刻化し、輸送活動への影響が懸念されるからです。
 一方、東ト協では、2018(平成30)年8月に東京都や国、大会組織委員会が立ち上げた「2020TDM推進プロジェクト」にいち早く参加登録し、会員事業者に対しても参加を呼びかけるなど、開催時の交通対策に協力しています。あわせて、TDMをはじめとした交通対策に関して、ホームページや機関紙などを通じて周知・情報提供を行うとともに、東京商工会議所作成の「2020交通対策ハンドマップ」(五輪開催時の交通対策情報を紹介したもの)を配布するなど、 会員の対応をサポートしています。
 さらに、東京都などが2019(令和元)年夏に「スムーズビズ推進期間」を設定し、総合的な交通対策テスト(試行)を実施したことから、これに協力しました。期間中、特に集中的に取り組みを実施する「チャレンジウイーク」を中心としてTDMやTSMなどの交通対策テストが行われ、東ト協では会員に対してTDMの取り組みを促すとともに、本部役職員の時差出勤なども行いました。
 また、各支部におけるTDMへの対応機能の強化などを目的として、新たな助成金を設けて取り組みを支援し、個別または複数支部合同によるTDM説明会も実施されました。

≫都知事や都議会へ対応策を相次ぎ要望

 東ト協は、2019(令和元)年7月に東京都議会の都民ファーストの会と都議会公明党、翌8月に都議会自由民主党と立憲民主党・民主クラブの各会派に対して、それぞれ2020(令和2)年度に向けた「東京都への特別要望」を提出し、五輪開催時の物流対策を中心として要望を行いました。
 浅井隆会長は要望に当たり、「輸送業務は荷主など発注者の指示で行われ、運送事業者だけの判断で配送時間やルートの変更ができない」などと説明し、さらに発着荷主に対してTDMのPRや協力要請などを行い、理解促進を図るよう求めました。あわせて、TSMとして交通規制を実施する場合には、早期にその規制情報などを提供するよう要請しました。
 引き続き、同年10月には自民党東京都支部連合会に対して、同様の五輪開催時の交通対策などを中心として対応策を要望しました。加えて、都と大会組織委員会が同年8月に開催した第9回輸送連絡調整会議で、追加対策として首都高 速道路の料金施策(一般車に対する料金1,000円上乗せなど)の実施が打ち出されたことに伴い、その影響により一般道路において深刻な交通混雑が懸念されることから、一般車両に対するナンバー規制(末尾規制)などを検討するよう要請しました。また、首都高速における料金施策のうち、夜間5割引の適用時間(午前零時~4時)について、午後10時~午前5時に拡大するよう求めました。
 さらに、同年12月に行われた東京都の小池百合子知事による2020(令和2)年度都予算に関するヒアリングに浅井会長らが出席し、「東京都への特別要望」と「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会開催に伴う渋滞緩和対 策等への対応に係る要望書」、および関東トラック協会海上コンテナ部会による「東京臨海部における交通量抑制・物流効率化対策に関する要望書」を提出し、対応を要請しました。
 浅井会長は「自家用車などの対策を具体的に進めなければ、目標の交通量30%削減は難しい。特に物流施設が多く立地する臨海部では深刻な事態が危惧される」と説明し、対策の必要性を訴えました。
 この後、2020年3月に行われた「東京都トラック輸送議員懇話会」(都議会自民党議員で構成)総会でも、同様の要望を行いました。

●会員一当死亡事故が2年連続最少に

 東京都トラック協会は2019(令和元)年度も引き続き、最重点課題として交通安全対策を推進し、その結果、会員事業者の取り組み努力と相まって、会員第一当事者の死亡事故件数を1件に抑止し、前年に続き過去最少となりました。
 東ト協では春・秋の全国交通安全運動期間中に、街頭指導活動「統一実施日」を設定して活動を展開しています。各支部がそれぞれ地域の主要交差点や駅周辺で啓発チラシやノベルティなどを配布しながら交通安全の呼びかけを行って おり、なかには「トラックストップ作戦」として、トラックに停車を求め、安全運転を呼びかける活動を行っている支部もあります。
 あわせて、有楽町駅前の大型屋外ビジョンや新宿駅西口駅前広場のマルチビジョンを活用して、警視庁と連名による交通安全運動の啓発映像を放映し、広く都民に交通ルールの遵守などをアピールしました。
 こうした活動に加えて、運転技能の向上と安全運転の推進を目的とした東ト協ドライバー・ コンテストを行うとともに、各支部では継続的に運転者講習会などを実施しています。また交通安全意識の向上に効果があることから、毎年、 警視庁交通部主催のセーフティドライブ・コンテストにも積極的に参加しています。
 なお、新型コロナウイルス感染症の影響により、2020(令和2)年春の全国交通安全運動の統一街頭活動や東ト協ドラコンは中止しました。
 さらに、近年、増加している運転者の健康起因事故を防止するための対策として、定期健康診断の受診促進助成や睡眠時無呼吸症候群(SAS)検査助成、適性診断助成、血圧計導入促進事業を継続して実施しており、2020年度は新規 施策として脳MRI健診受診助成を行います。
 このほか、安全運転支援機器の導入助成も引き続き行うとともに、全会員に対して、事業用トラック関与の死亡事故の「トラック事故速報」を送付し、継続的に注意喚起しています。

●GEP活動が新たな展開へ

 東京都トラック協会では、交通安全対策と同様、環境対策を業界の最重点課題に位置付けて積極的に推進し、2019(令和元)年度もグリーン・エコプロジェクト(GEP)事業をはじめ、環境性能優良トラック導入補助や省エネ対策用機器等導入補助など、環境対策関連の各種施策を実施しました。
 特にGEP事業は東ト協の先進的な取り組みとして高い評価を受けており、エコドライブの推進により、地球温暖化防止のためのCO2(二酸化炭素)削減で大きな成果を上げています。 東京都は、運送事業者のCO2削減への取り組み努力を燃費水準で評価する貨物輸送評価制度を実施していますが、2019年度評価においても、全評価事業者344社のうち、GEP参加事業者が304社と大半を占め、その取り組みレベルの高さを実証しています。
 また、GEP事業はCO2削減ばかりでなく、エコドライブの推進が安全運転の励行につながることから、事故削減の上でも成果を上げています。
 なお、GEP参加事業者数は2020(令和2)年3月末現在で581社、参加登録車両台数は1万9,045台に達しています。

≫参加負担の見直しでさらに拡大へ

 東ト協では2019(令和元)年度、GEP事業のさらなる拡大を図るため、前年度に一部有料化した参加費用負担のあり方を見直し、参加・運用費用、およびセミナー参加費用を含めて補助し、再び費用負担なしで参加できるようにしました。また、GEP事業への参加インセンティブ措置として、グリーン経営認証取得促進補助やホームページ新規作成補助を継続実施するとともに、新たに環境性能優良トラック導入補助(小型車3万円、中型車5万円、大型車10万円)を行いました。

≫経営戦略化やSDGs達成に貢献

 GEP事業は開始以来、2020(令和2)年度で14年目を迎えたことから、新たなステージでの展開に取り組むことにしています。これまで「環境CSR(企業の社会的責任)から進める経営改善」を掲げて取り組んできましたが、次のステージとして企業基盤を確立するための経営戦略として推進し、企業価値向上を支援するとともに、国連のSDGs(持続可能な開発目標)達成に貢献する取り組みとして位置付け、展開していく方針です。

●駐車規制緩和へ要望活動  ~警視庁が都内52か所で緩和措置

 東京都トラック協会はかねて駐車規制問題の改善に向けて要望活動を展開していましたが、2019(令和元)年度には緩和措置が一部で実現しました。警視庁は2019(令和元)年8月、貨物集配中の車両を対象として一定時間(20分以 内)の駐車を認める規制見直し場所を都内52か所(78枠)に設置し、順次、運用を開始しました。これは、警察庁が2018(平成30)年2月に貨物集配中の車両に対する駐車規制の見直しに関して通達したことを踏まえ、緩和措置を講じたものです。
 警視庁では、規制見直し場所をさらに増設する方針を示しており、このため東ト協では2019年12月、改めて警視庁交通部長に対して、要望書「貨物集配中の車両に係る駐車規制の見直しの推進に関する要望について」を提出し、規制 見直しの早期実施などを要請しました。
 具体的には、①可能な限り早期にさらなる駐車箇所・駐車枠数などを拡充、②規制見直しの実施場所に集配車両以外の一般車両などが駐車しないよう駐車指導・取り締まりを強化、③貨物車を除外した駐車禁止規制または貨物車を対象とした時間制限駐車区間規制などの規制見直し―などを要望しました。
 東ト協では、物流政策委員会(委員長・原島藤壽副会長)に駐車問題対策小委員会(佐藤克典委員長)を設置し、改善に向けて取り組んでいますが、都内の広範な集配エリアからすると、規制見直し場所の設置は一部にとどまっており、依然として、取り締まりを受けずに駐車可能な場所が不足している状況にあるからです。

●業界の「働き方改革」推進へ  ~東運支局・東労局と共催セミナー

 東京都トラック協会は、関東運輸局・東京運輸支局および東京労働局の関係行政と共催により、2019(令和元)年9・10・11月に3回にわたり、「トラック輸送における取引環境・労働時間改善推進セミナー」を開催し、運送事業者や荷主企業などから合計で約600人が参加しました。東ト協と関係行政が事務局を務める「トラック輸送における取引環境・労働時間改善東京都地方協議会」として、トラック運転者の長時間労働の是正など「働き方改革」を推進する目的で開催したものです。
 セミナーでは、国土交通省が策定した「荷主とトラック運送事業者の協力による取引環境と労働時間の改善に向けたガイドライン」や、トラック運転者の労働環境改善に向けた「ホワイト物流」推進運動、時間外労働の上限規制など改正労働基準法について説明し、取り組みを促しました。

●人材確保へ採用力スパイラルアップ事業

 東京都トラック協会とマンパワーグループで構成する「東ト協コンソーシアム」は2018(平成30)・2019(令和元)の2年度にわたり、東京都の外郭団体「東京しごと財団」から「団体別採用力スパイラルアップ事業」を受託し実施しました。
 同事業は、中小企業の大きな課題となっている労働力確保に向けて、各種支援策を通じて生産性の向上や人材確保のための働きやすい職場環境整備などを推進し、採用力向上を目指すものです。
 具体的には、1次支援として働き方改革や女性活躍推進に関する調査を行って課題を抽出し、課題解決のための支援内容を決定しました。その上で2次支援として、個別コンサルティングなどを行う対象企業25社を選定し、課題解決 のための各種支援プログラムを実施しました。このほか、合同セミナーや従業員コンサルティング、女性活躍推進イベント、働き方改革推進セミナーなども行いました。
 取り組み成果は2020(令和2)年3月、WEB上で報告会を行うとともに、「好事例集」を取りまとめるなど、共有化を図っています。なお、報告会は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のため、WEB上で行ったものです。

●「トラックフェスタ2019」が盛況  ~東ト協の取り組みを広く発信

 東京都トラック協会は2019(令和元)年9月14・15日の2日間、渋谷区・代々木公園の野外ステージ・イベント広場・ケヤキ並木で、「トラックフェスタ TOKYO 2019~親子で体験!環境と安全」を開催しました。東ト協の安全・環境対策の取り組みや、トラック輸送が社会を支える重要な役割を果たしていることを広く発信・アピールするために実施したものです。
 会場は前年に引き続き、代々木公園で開催しましたが、会場エリアを拡大し、イベントやアトラクションなども一層趣向を凝らして実施しました。その結果、来場者数はファミリー層を中心として2日間で約3万2,000人に達し、前年より約1万人も多く来場し、大盛況でした。
 9月14日のプレオープンに続き、翌15日にグランドオープンし、野外ステージではオープニングセレモニーが行われ、業界の最重要課題として取り組む「安全宣言」「『エコドライブ』環境 宣言」を行い、引き続き、様々なアトラクションが繰り広げられました。一方、イベント広場やケヤキ並木では、東ト協各支部が出展するブースをはじめ、トラック運送の職業体験をはじめ、親子で楽しめる参加・体験型のイベントやゲームなどが行われ、順番待ちの行列ができるブースも多くありました。

≫新型感染症で「フェスタ2020」開催断念

 東ト協では「トラックフェスタ TOKYO 2020」開催に向けて、フェスタ実行プロジェクト(リーダー・森本勝也副会長)およびワーキンググループ(リーダー・中村克敏運輸安全委員会副委員長)で検討・準備を進めていましたが、 新型コロナウイルス感染症が収束の見通しがつかない状況にあることから、2020(令和2)年5月の理事会で、開催を断念し中止することを決定しました。

●新たな形式で児童絵画コンテスト

 東京都トラック協会では、業界が社会との共生を目指す取り組みの一環として、2019(令和元)年度も都内の小学生を対象に「10/9トラックの日 児童絵画作品コンテスト」を実施しました。2019年度からは広報・情報委員会に同事業を移管し、広報事業の一環として実施するとともに、より多くの児童に参加してもらうため、募集方法も工夫して行いました。
 具体的には、都内小学校に配布・掲示されている壁新聞「フォトニュース」(6月増刊号)に、トラック輸送の役割をアピールする企画記事とともに、コンテストの募集案内などを掲載し、告知・PRを行いました。また付録として、ト ラック輸送の現況や役割を紹介した教員向けの副読本を作成・配布し、社会科の授業などでトラック輸送に対する理解を深める資料として役立ててもらうことにしました。
 同コンテストには都内の小学校など71校から304作品の応募があり、審査の結果、最優秀賞(東京運輸支局長賞)をはじめ、優秀賞(東ト協会長賞、運輸安全委員長賞、広報・情報委員長賞)、佳作入賞の児童たちを表彰しました。表彰式についても新たな試みとして、同年12月に港区の文化放送メディアプラスホールで行い、表彰式後、児童たちはラジオ局の収録スタジオを見学しました。なお、2020(令和2)年度のコンテストは、5月から応募作品の募集を行っています。

●台風・豪雨災害で緊急輸送

 東京都トラック協会は2019(令和元)年9・10月、首都圏に襲来した台風15・19号などによる災害に伴い、関東地方整備局や東京都などからの要請を受け、本部と中野・文京・板橋・ 練馬・江戸川・足立・多摩の各支部がトラック延べ50台以上出動させ、飲料水やブルーシートなどの緊急輸送を行いました。10月の台風19号では、東京都からの要請を受けて救援物資輸送を実施したほか、これに先立って襲来した台風15号による、島しょ部における被害発生を教訓として、台風接近前に補修物資を輸送するなど、迅速に対応しました。

≫都の広域輸送基地開設で協定

 東ト協は2020(令和2)年3月、東京都と「災害時における広域輸送基地からの物資輸送等に関する協定」を締結し、広域輸送基地から各区市町村への緊急輸送を担当することになりました。東ト協は都との協定に基づき、従来から緊急輸送や備蓄倉庫での荷役作業などを行っていますが、都が2020年度から、広域輸送基地として多摩広域防災倉庫の運用を開始することに伴い、新たな協定を締結したものです。
 あわせて、都では大手運送事業者5社(佐川急便・西濃運輸・日本通運・福山通運・ヤマト運輸)と「災害時における広域輸送基地の運営等に関する協定」を締結しました。

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