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2020:制度・政策

●改正貨物自動車運送事業法が順次施行 ~トラック運転者の労働条件改善へ

 改正貨物自動車運送事業法が2018(平成30)年12月14日に公布され、翌2019(令和元)年に改正規定が順次施行されました。主な改正内容は4項目で、まず「荷主対策の深度化」規定が2019年7月1日、「規制の適正化」および「事業者が遵守すべき事項の明確化」規定が同年11月1日にそれぞれ施行されました。これらに続き、国土交通大臣による「標準的な運賃の告示制度」規定が同年12月14日に施行されました。
 なお、「荷主対策の深度化」のうち「国土交通大臣による荷主への働きかけ等」に関する規定と「標準的な運賃の告示制度」は、2024(令和6)年度から自動車運転業務に対する時間外労働の上限規制が適用されるまでの時限措置です。
 近年、トラック運転者が慢性的な不足状態にありますが、その大きな要因は、全産業平均より労働時間が長く、しかも賃金水準が低いなど労働条件が厳しい状況にあるからです。これに伴い近い将来、トラック運転者不足により、国民生活や経済活動に必要な物流機能の維持・確保が難しくなる事態が懸念されています。
 こうした中で、政府の「働き方改革」政策に基づき、自動車運転業務に対しても時間外労働の罰則付き上限規制が2024年度から適用されます。そこで、トラック運送事業がこうした規制に円滑に対応し、事業の健全な発展を図るとともに、物流が滞らないように必要な運転者を確保していくためには、その労働条件を緊急に改善する必要があるとして、事業法が改正されたものです。

≫法令遵守へ荷主の責務規定

 改正事業法では「荷主対策の深度化」として、国交大臣が荷主に対して取引適正化などの働きかけを行えるようにするため、「荷主はトラック運送事業者が法令を遵守できるよう、必要な配慮をしなければならない」とする荷主の責務規定を新設するとともに、荷主勧告を行った場合には「荷主名を公表する」ことが明記されました。
 これに先立ち、国交省は取引適正化の一環として、2019(令和元)年6月に附帯作業の時間・内容を乗務記録に記載することを義務付けました。車両総重量8トン以上または最大積載量5トン以上のトラックに乗務した場合が対象です。

≫不適正な事業者排除へ

 「規制の適正化」では不適正な事業者を排除するため、法令に違反して許可取消処分を受けた場合の欠格期間を2年から5年に延長するとともに、その親会社など密接関係者が5年以内に許可取消を受けている場合も欠格事由に追加しました。また新規参入の際の基準を強化し、申請前の行政処分歴を確認する期間を従来の3か月から6か月へ延長しました。一方、既存事業者による事業計画変更についても厳格化し、例えば、営業所に配置する車両数の変更は従来、事前届出制でしたが、最低車両台数(5台)未満となる場合や、逆に一定規模以上の増車などを行う場合は認可の対象としました。
 さらに「事業者が遵守すべき事項の明確化」では、法令遵守の徹底に向けて監査を強化し、厳格に対応することにしました。
 具体的には、適正化事業実施機関が行う巡回指導の結果、E判定(大変悪い)となった営業所で、かつ①点呼の実施が不適切、②過労運転防止への措置が不適切、③健康診断を2人以上未受診の指摘を受けたにもかかわらず、その後も 改善がみられない場合は「安全確保命令」を発令し、なおかつ改善されなければ「速やかに許可の取消を行う」ことが明記されました。運輸局が行う監査の結果も同様に、安全確保命令に従わない場合には再度の命令を出すことなく、許可取り消し処分とすることにしました。

≫行政処分基準・量定を改正

 国交省は「規制の適正化」関係規定などの施行にあわせ、行政処分等の基準を見直し、処分量定を新設・強化しました。社会保険料の未納があった場合、および保有車両台数100台以下の事業者に義務付けている任意保険(対人:無制限、対物:限度額200万円以上のもの)を締結しなかった場合は、いずれも20日車の停止処分を課すことにしました。
 営業所に配置する自動車の数、車庫の位置、車庫の規模の確保に関する事業計画変更違反は、これまでは届出違反として警告のみでしたが、10日車の処分を課すことにしました。違反行為を隠滅した場合、あるいは社会的影響のある場合は、処分量定の2倍を上回らない範囲で加重することにしました。その一方で、違反行為を防止するために、相当の注意や監督が尽くされたと証明された場合は、量定を軽減することにしました。

●「標準的な運賃」大臣告示

 国土交通省は改正貨物自動車運送事業法に基づき、2020(令和2)年2月26日付で運輸審議会に対して「標準的な運賃」の告示案(運賃表 案)を諮問し、これに伴い、運輸審議会は4月2日に公聴会を開催して審理を行い、同月14日に諮問通り答申しました。国交大臣は答申を受けて、同月24日付で「標準的な運賃」を告示しました。健全な事業経営を可能にし、運転者の労働条件などを改善する上で収受する必要がある運賃・料金の目安を示したものです。
 運輸審議会の公聴会では、国交省自動車局貨物課長が冒頭陳述を行い、「実勢運賃は平成2年告示のタリフ(運賃表)をベースにしており、投資できる収入が得られていない」状況にあり、このため「標準的な運賃」はそうした状況を改善し、「ドライバーが全産業並みの労働時間・賃金水準を得られることを目的としている」と述べました。
 また、全日本トラック協会の馬渡雅敏副会長が公述人として意見を述べました。
 同告示は貸切(チャーター)輸送について、運輸局別に距離制・時間制の運賃表を示したもので、距離制は10~200キロメートルまで10キロメートル刻みで車種別に2トン(小型車)・4トン(中型車)・10トン(大型車)・20トン(トレーラ車)の運賃を示しました。200キロメートル超は20キロメートル刻み、500キロメートル超は50キロメートル刻みで加算金額を示しています。また時間制は8時間制と4時間制を基礎額として、これに10キロメートルを増すごと、および作業時間が1時間増すごとに、それぞれ車種別の運賃を示しました。
 割増率については特殊車両、休日、深夜・早朝をそれぞれ2割増とし、待機時間料は30分を超えるごとに小型車1,670円、中型車1,750円、大型車1,870円、トレーラ2,220円と設定しました。
 標準的な運賃は、燃料費はサーチャージ導入を前提に一律1リットル100円、車両償却費は償却年数を5年、人件費は全産業の平均値などをもとに算出したものです。

≫運審、告示効果の検証求める

 運輸審議会は答申に際して、要望事項として①具体的な算出方法を早期に解説し、必要な助言を行うこと、②標準的な運賃による効果が下請事業者やドライバーに還元されるよう、定期的に評価・分析し、その結果を踏まえて必要な措置をとること、③持続可能な物流を実現するために、荷主の理解と協力が得られるよう関係省庁とも連携するなどあらゆる手段を講じて働きかけ、労働条件の改善に資する必要な取り組みを行うことを求めました。

●働き方改革関連法が施行 ~中小企業にも一般則など適用

 2018(平成30)年の働き方改革関連法制定により、時間外労働の上限規制・一般則(年720 時間以内)が翌2019(平成31)年4月から、まず大企業に対して適用され、続いて2020(令 和2)年4月からは中小企業に対しても適用されました(自動車運転業務などを除く)。また、年5日の年次有給休暇の取得義務に関しては2019年4月から、大企業・中小企業を問わず、すべての企業に適用されました。
 さらに、同一労働同一賃金は2020年4月から、まず大企業を対象に適用され、2021(令和3)年4月からは中小企業に対しても適用されることになっています。

≫中小企業も時間外割増率50%に

 働き方改革の一環として、長時間労働の是正を目的に2023(令和5)年4月から、中小企業に対しても月60時間を超える時間外労働の法定割増賃金率が50%以上に引き上げられます。これまで猶予措置により25%に据え置かれていましたが、働き方改革関連法により、この猶予措置が廃止され、引き上げられるものです。
 特にトラック運送業界では運転者の長時間労働が常態化しており、現状のまま割増賃金率が引き上げられれば、人件費などが大幅に増加し、事業経営に大きな影響を及ぼすことが懸念されています。このため、業界では時間外労働の上限規制への対応に加え、割増賃金率引き上げに対応する上でも、長時間労働の改善が求められています。

≫運転者の上限規制まであと4年

 時間外労働の罰則付き上限規制は、自動車運転業務に従事する運転者に対してはその長時間労働の実態などを考慮し、一般則より長い年960時間(月80時間)以内とされました。また、一般則の施行から5年間の猶予措置が講じられ、今年(令和2年)から4年後の2024(令和6)年4月から適用されます。
 ただ、トラック運転者の長時間労働は事業者による取り組みだけでは改善できず、利用者である荷主や国民の理解と協力が必要です。このため厚生労働省は2019(令和元)年9月、トラック運転者の仕事や長時間労働改善の必要性などを理解してもらうためのポータルサイトを開設しました。
 さらに、厚労省は同年10月から翌2020(令和2)年3月にかけて、全国で「荷主と運送事業者のためのトラック運転者の労働時間短縮に向けたセミナー」を開催し、荷主と運送事業者が協議・協力し、荷待ち時間の削減など長時間労働是正に必要な取引環境の改善や適正化に取り組むことを促しました。

●運転者の「改善基準告示」見直しへ

 内閣府の「自動車運送事業の働き方改革の実現に向けた関係省庁連絡会議」は2018(平成30)年5月、今後の行動計画を策定し、目標に「労働生産性向上、多様な人材の確保・育成、 取引環境の適正化を柱とした環境整備を行い、 2023(令和5)年度のできるだけ早い時期に、全事業者が改善基準告示(自動車運転者の労働時間等の改善のための基準)に規定する1カ月の拘束時間の限度などに関する基準を遵守」することを掲げました。
 これに伴い、自動車運転者への時間外労働の上限規制の適用に向けて改善基準告示を見直すため、厚生労働省は2019(令和元)年12月、労働政策審議会労働条件分科会自動車運転者労働時間等専門委員会を設置し、翌2020(令和2) 年1月には労働時間の実態を把握するための調査検討会を立ち上げました。今後、実態調査を行った上で、2021(令和3)年1月から改善基準告示の本格的な見直し審議を行い、同年末の告示改正を目指しています。
 見直しに当たり最大のテーマとなるのが、現行で年3,516時間(1か月293時間)までとしている拘束時間について、時間外労働の上限(年960時間)との関係でどうあるべきか、過労死防止の観点からどう見直すべきかなどです。拘束時間に関する議論を踏まえ、休息期間(いわゆるインターバル)や連続運転時間(現行4時間)をどう設定すべきかについても検討する方針です。

●国交省が「ホワイト物流」推進運動

 国土交通省は2019(平成31)年4月から、関係行政と連携して、「ホワイト物流」推進運動を展開しています。トラック運転者不足の深刻化により、現状のままでは必要な機能を維持・ 確保できず、荷主も事業活動に支障を来すおそれがあることから、「運転者の労働生産性を向上させ、負担が小さい形態での運送を実現するために過剰なサービスを見直す」ことなどを狙いとしたものです。
 同運動ではその趣旨に賛同する企業に自主行動宣言を提出してもらい、物流改善に向けて荷主と物流事業者などが連携してさまざまな取り組みを推進するものです。国交省では同運動を周知し参加促進を図るため、同年10月から全国10か所でセミナーを開催しました。
 こうした取り組みにより、自主行動宣言を提出した企業・組合・団体は2020(令和2)年3月末現在で924に達し、同運動の趣旨に賛同して取り組む企業などが増えています。

●運転者職場環境良好度認証制度が創設

 国土交通省は2019(令和元)年度、「運転者職場環境良好度認証制度」を創設し、現在、認証機関の日本海事協会が運用開始に向けて準備を進めており、遅くとも2020(令和2)年の夏頃に第1回の認証申請の募集を行う予定です。
 これは、慢性的な不足状態にある運転者(トラック・バス・タクシーなど)の労働条件や労働環境を改善するとともに、必要な運転者を確保・育成するため、長時間労働是正などの働き方改革に取り組む事業者を認証する制度です。働き方改革に積極的に取り組む企業を認証することで、求職者に対して働きやすい企業を見える化し、結果として認証を受けた企業が必要な人材を確保できるようにする狙いがあります。
 トラック関係の認証項目は83項目で、必須項目と加点項目があります。必須項目(基本的に1点で換算)としては「就業規則が制定・届出されている」など法令遵守に関するものが多く、それ以外にも「健康診断の記録・保存が適正にされている」「Gマーク認定を受けている」など健康や安全性に関するものも含まれます。 また、加点項目としては「運転者の時間外労働を一定時間までに制限している」など、労働時間に関するものが多く、時間外労働については 年960時間以内達成で2点、年840時間以内を達成すればさらに2点が加点されます。こうした評価点数により、一つ星(☆)、二つ星(☆☆)、 三つ星(☆☆☆)の3段階で評価されます(初年度は☆のみ)。

●輸送分野ごとに改善ガイドライン策定

 国土交通省と厚生労働省による「トラック輸送における取引環境・労働時間改善協議会」は、トラック運転者の長時間労働の要因となっている荷待ち時間の削減などに向けて、物流をめぐる取引環境の改善や効率化のためのパイロット事業、およびコンサルティング事業などを行い、その取り組み成果を踏まえ、2018(平成30)年11月に「荷主と運送事業者の協力による取引環境と長時間労働の改善に向けたガイドライン」を策定しました。
 そのガイドラインに基づく取り組みを推進するため現在、「ホワイト物流」推進運動が展開されていますが、あわせて個別の輸送分野ごとに改善の取り組みを推進するため、2020(令和2)年5月に「加工食品物流編」「建設資材物流編」 および「紙・パルプ(家庭紙)物流編」「紙・パルプ(洋紙・板紙)物流編」の各分野のガイドラインを策定しました。
 国交省などの調査により、荷待ち時間の発生件数の多い輸送分野(品目)を対象として、2018年にそれぞれ懇談会を設置し、改善に向けた課題と対応方策などについて検討し、取りまとめたものです。
 これに先立ち、「加工食品分野における物流標準化検討会」が2020年3月、今後の官民アクションプランを策定し、納品伝票や外装表示、パレット・外装サイズ、コード体系・物流用語の4項目について標準化するための手順を示しました。

●特車許可基準を見直し、審査日数を短縮へ

 国土交通省は特殊車両通行許可制度について、「2020(令和2)年までに平均審査日数を10 日程度に短縮する」目標を掲げ、審査日数の短縮に取り組んでいます。しかし現状、平均審査日数は28.5日を要しています。国による一括審査 については、自動審査システムにより平均8.5日まで短縮していますが、全体の約7割を占める個別審査は、平均35.7日もかかっています。
 国交省では、2019(平成31)年4月から優良事業者を対象に、許可の有効期間を最大4年間に延長しました。さらに、重要物流道路(約3万5,000 キロメートル)のうち、同年7月から国際海上コンテナ車(40フィート背高)が特車許可なく走行できる区間(約3万キロメートル)を設定しました。しかし、それでも目標達成は難しい状況です。

≫道路法改正で新特車制度創設へ

 国交省は、特車通行許可の「平均審査日数を10日程度に短縮」の達成時期について「2021(令和3)年度末まで」に変更するとともに、その達成に向けて、2020(令和2)年の通常国会に、新たな特車通行制度の創設を盛り込んだ道路法の一部改正案を提出しました。国交省に事前登録した車両が通行可能経路を通行する場合、許可を受けることなく通行できるようにするもので、同改正法は同年5月27日に公布されました。
 具体的には、電子化が遅れている地方道の情報をセンシング装置による計測や3次元データの収集を行い、これにより、事業者があらかじめ特車を登録すると貨物重量に応じて通行可能な経路を提示できるようにし、事業者はそれをもとに着地・貨物重量を入力して、通行可能な経路を確認すれば通行できるようになります。

●貨物車に対する駐車規制が緩和

 自動車運送事業の働き方改革に向けた施策の一環として、警察庁は2018(平成30)年2月に通達「貨物集配中の車両に係る駐車規制の見直しの推進について」を各都道府県警察に対して発出し、「駐車規制の対象からはずす具体的な場所(エリア)を検討し、2020(令和2)年度末までに選定する」ことを求めました。
 これを受け、警視庁は2019(令和元)年8月に、駐車禁止区間内であっても場所と時間帯を限定して駐車できる、都内の規制見直し場所 52か所を公表しました。駐車可能時間帯は原則9時~21時で、20分以内の駐車が前提です。警視庁は引き続き「集配中の貨物車に配慮したきめ細かな駐車規制見直しを推進していく」としています。

●東京五輪に向け交通対策

 2020(令和2)年夏に予定されていた東京オリンピック・パラリンピック競技大会は、新型コロナウイルス感染症の影響により、開催が1年延期されましたが、それまでの間、大会期間中の交通混雑を緩和し円滑な交通環境を確保するため、様々な交通対策の検討と実施準備が進められました。主な対策としては、企業や個人などに交通量抑制への取り組みを呼びかける交通需要マネジメント(TDM)の推進や、交通規制による交通システムマネジメント(TSM)などです。
 これら対策について、2019(令和元)年夏に総合的な交通対策テスト(試行)が実施されました。大会期間に合わせて「スムーズビズ推進期間」を設定して行われたもので、特に同期間中の「チャレンジウイーク」に集中的に実施されました。
 具体的には、TDMとして企業などに時差出勤やテレワークの実施、輸配送体制の見直しなどを呼びかけるとともに、TSMとして首都高速道路の入口閉鎖や料金所での流入調整、車線 規制、および一般道でも環状7号線内側への流入調整が行われました。
 しかし、対策テストの結果では交通量の抑制効果が小さいことから、追加対策として以前から検討されていた首都高速における料金施策を実施することにしました。その内容は、大会期間中、昼間(午前6時~午後10時)はマイカーを対象に通行料金を1,000円上乗せし、夜間(午前零時~4時)は全車種(ETC搭載の全車種)を対象に料金を5割引とするものです。
 また、大会期間中の交通混雑緩和には、物流車両の交通量をさらに削減する必要があるため、東京都と大会組織委員会、および国土交通・農林水産・経済産業各省は2019年11月、連名で荷主企業や物流事業者に対し、大会期間中の物 流TDMの取り組みを要請しました。特に荷主に対し、物流事業者と一体となって、交通量の抑制・分散化・平準化に取り組むよう求めました。
 一方、東京都は各企業などに対して輸配送体制の見直しなどを検討してもらうため、2020年1月に「大会時の遅延等を想定した所要時間・経路探索システム」を構築し、以前から公表している「大会輸送影響度マップ」とあわせて活用を呼びかけました。さらに、中小企業の物流対策促進を目的に、関係業界団体などで構成する「物流TDM実行協議会」を設置しました。

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