第8代会長に浅井隆氏が就任 ~「会員重視の協会」実現を掲げる
東京都トラック協会は2018(平成30)年6月 22日、同年度通常総会および第2回理事会を開催し、任期満了に伴う役員改選により、第8代会長に元副会長の浅井隆氏を選任しました。
浅井会長は就任に際して、深刻化する労働力不足や働き方改革への対応、運賃・料金の適正 収受、駐車規制問題など業界課題が山積する中、これら課題の克服に向けて、改めて会員事業者に対して協会運営への協力を呼びかけるととも に、協会運営の基軸に置く方針として「会員重視」「会員のための協会」の実現を目指すことを掲げました。
この方針に基づき、会員事業者の意見・要望を把握するため、浅井会長は就任後、25支部を順次訪問し、各支部長および支部役員などとの意見交換会を行いました。この意見交換会で提出された意見・要望などを踏まえ、会員事業者の事業経営に資するサポート施策の推進に努めました。
運賃問題への取り組み強化 ~改正標準運送約款への対応促す
東京都トラック協会物流政策委員会(原島藤壽委員長)は、2018(平成30)年8月に開催した第1回委員会で当面する政策課題について審議し、課題ごとに運賃・料金適正化、駐車問題、最低車両数問題の各検討小委員会を設置して取り組むことにしました。
このうち、運賃・料金適正化小委員会(下川悟委員長)では、適正収受に向けた取り組みとしてまず、国土交通省が改正・施行した標準貨物自動車運送約款に関して、事業者の適切な対応を促すことにしました。具体的には改正標準運送約款に基づき、運賃・料金の変更届出を行うなど速やかに所要の手続きを行うよう呼びかける啓発チラシを作製し、同年11月に全会員事業者に対して配布しました。
国交省は、適正運賃・料金収受に向けた施策として、2017(平成 29)年11月4日から改正標準運送約款を施行しました。改正標準運送約款では運送の対価である運賃と、運送以外の役務サービスなどの対価である料金を別建てで収受すべきことを明確化し、新たな運賃・料金の収受ルールを導入したものです。
ただ、改正標準運送約款の施行から1年を経過する中で、所要の手続きを行っていない事業者が少なくなく、東京運輸支局管内では手続きを行った事業者が半数強にとどまる状況でした。このため改正標準運送約款に基づき、運賃・料金の変更届出などを行うことが適正収受に向けたステップになるとの観点から、「重要なお知らせ」とする啓発チラシを配布し、改めて改正趣旨の周知とあわせ、適切な対応を促したものです。
なお、駐車問題検討小委員会(佐藤克典委員長)では検討結果を踏まえ、要望書を取りまとめ、警視庁に提出しました。
また、最低車両数問題検討小委員会(佐藤雄平小委員長)では、保有車両5台未満事業者の事業承継問題などを検討し、法人化などに際して受験する必要がある役員法令試験について、個別にサポートすることにしました。
警視庁へ駐車規制緩和を要望 ~具体的に122か所を示し実施求める
東京都トラック協会は2018(平成30)年12 月、警視庁交通部に対して、要望書「貨物集配中の車両に係る駐車規制の見直しの推進に関する要望について」(浅井隆会長と原島藤壽物流政策委員長の連名)を提出し、早期に駐車規制の見直しを実施するよう要請しました。
要望書には、これまでに実施した駐車取り締まり実態に関するアンケート調査結果などを踏まえ、警察署別に規制見直しを要望する地点、地域または区間(路線)122か所の一覧を添付して提出し、これら箇所を重点として緩和措置を講じるよう求めました。
東ト協ではかねて、集配業務に支障を来す問題として駐車規制の見直し・緩和を要望してきましたが、これまであまり改善は図られませんでした。こうした中で政府の働き方改革に向けた施策の一環として、警察庁が同年2月、各都道府県警察本部に対して交通局長通達「貨物集配中の車両に係る駐車規制の見直しの推進について」を発出し、業界団体などの要望を踏まえ規制見直しを行うよう求めました。
こうした行政の動きを踏まえ、東ト協物流政策委員会では駐車問題検討小委員会で対応策を検討し、その結果、具体的に規制見直しを求める箇所を提示し、これらを最重点として速やかな規制見直しの実施を要請したものです。
警視庁、緩和箇所を順次拡大へ
警視庁交通部では警察庁の駐車規制見直しに関する通達を踏まえ、2018(平成30)年度に都内3か所(港区新橋・品川区大崎・渋谷区代々木)で、集配貨物車に一定時間(20分以内)の駐車を認める措置を試行しました。その検証結果などを踏まえて今後、こうした緩和措置を順次拡大していく方針を示しています。ただ、その実施に当たっては一定の駐車時間の遵守を求めています。
そこで、東ト協物流政策委員会ではこうした緩和措置による駐車ルールの遵守を徹底するため、自主的な取り組みとして、独自に集配中の貨物車であることを示す駐車標章を作成・配布することを検討しており、認められた駐車時間の遵守徹底を図ることにしています。
交通安全対策を推進 ~会員一当死亡事故1件に抑止
東京都トラック協会は2018(平成30)年度も引き続き、最重要課題として交通安全対策を推進し事故防止の徹底に取り組みました。春・秋の全国交通安全運動期間には街頭指導活動の「統一実施日」を設定して、各支部が歩調を合わせて街頭活動を展開し、主要交差点や駅周辺で啓発チラシやノベルティを配布しながら交通安全を呼びかけました。また、千代田区の大型屋外ビジョンで警視庁と連名による交通安全運動の啓発映像も放映しました。
こうした活動に加えて、運転技能の向上と安全運転の推進を目的とした「東ト協ドライバー・コンテスト」や、ドライブレコーダーにより、日常の運転業務における運転操作・マナーを評価する「ベストドライバーコンテスト」などを実施したほか、各支部では継続的に運転者講習会などを行っています。また、交通安全意識の向上に効果があることから、警視庁交通部主催の「セーフティドライバー・コンテスト」にも積極的に参加しています。
さらに、健康起因事故防止に向けて定期健康診断の受診促進助成や睡眠時無呼吸症候群(SAS)検査助成、適性診断助成、安全運転支援機器の導入助成など各種対策を継続して実施しています。このほか、事業用トラック関与の死亡事故に関しては、全会員に「トラック事故速報」を送付し、継続的に注意喚起しています。
こうした各種対策の推進と会員の取り組み努力により、2018年における会員第一当事者の死亡事故はこれまでで最少の1件に抑止することができました。2017(平成29)年の会員第一当事者死亡事故は3件で過去最少でしたが、これをさらに更新し抑止したものです。
改めてGEP事業の拡大を推進へ
東京都トラック協会は2018(平成30)年度も引き続き、環境対策を交通安全対策とともに東ト協の最重点事業に位置付けて推進し、グリーン・エコプロジェクト(GEP)事業を中心として環境性能優良トラック導入補助や最新規制適合車への代替支援、さらに省エネのためのエコドライブ管理システム(EMS)とアイドリングストップ支援機器、環境タイヤの導入補助など各種施策を実施しました。
GEP事業は、走行管理表により燃費管理を行うことにより、燃費改善に向けてエコドライブを推進し、CO₂排出を削減する取り組みです。2006(平成18)年度の開始以来、これまでにCO₂削減とともに交通事故の減少で大きな成果を上げ、国内外で高く評価されています。
開始12年間(2006~2018年度まで)の活動実績として、参加事業者の燃費は平均16.6%向上し、燃料削減量は累計で約6.1万キロリットル(200リットルドラム缶で約30.4万本に相当)に達しています。これに伴うCO₂排出削減量はスギの木約1,134万本の植樹に相当します。また、交通事故の減少効果も大きく、減少率は平均で30%程度になります。
参加事業者数は、2019(平成31)年3月末時点で約600社で、その参加登録車両数は約1万 9,000台です。
このGEP事業については不断に推進体制の見直しを行い、参加事業者に対して、燃費データをはじめ各種の情報提供や活用支援を行うなどサービスの向上を図り、さらなる参加拡大を図っていく方針です。
また、経営者・管理者・ドライバーの従業員一人ひとりが、環境意識の向上による社会貢献・社会責任を主軸とした「環境CSR(環境から進める経営改善)」を目指すとともに、GEP事業が制度構築に大きな役割を果たした、東京都「貨物輸送評価制度」への取り組みも積極的に推進する方針です。2018年度の評価取得事業者301社のうち、GEP参加事業者が283社と大半を占めていますが、引き続き、GEPの取り組みを通じて参加事業者の評価取得をサポートし、取得促進を図っていく方針です。
「トラックフェスタ2018」開催 ~2万人超の都民が来場し賑わう
東京都トラック協会は2018年(平成30)年9 月22・23日の2日間、渋谷区・代々木公園の野外ステージ・イベント広場で、「トラックフェスタ TOKYO 2018~親子で体験! 安全と環境~」 を開催しました。
トラック輸送の役割や東ト協の安全・環境対 策の取り組みを広く一般都民に発信し、業界に対する理解促進と社会的地位の向上に役立てる目的で開催したものです。フェスタには子供たちを連れたファミリー層を中心として、2日間で延べ2万人を超える多くの人たちが来場し、大いに賑わいました。
フェスタは9月22日のプレオープンに続き、翌 23日にグランドオープンしました。同日はまず、野外ステージでオープニングセレモニーを実施し、 浅井隆会長と来賓のあいさつに続き、東ト協が最重要課題として取り組んでいる「安全宣言」や「エコドライブ『環境』宣言」を行い、業界の取り組みをアピールしました。また、「『トラックの日』 児童絵画コンテスト」や「ベストドライバーコンテスト」、グリーン・エコプロジェクト「トップランナー優秀賞」、および警視庁交通部主催の「セーフティドライバー・コンテスト」の各表彰式を行いました。
オープニングセレモニーの後、野外ステージでは終日、子供たちのダンスや警視庁音楽隊・カラーガード「MEC」によるステージ、交通安全ビンゴ大会など、親子で楽しめる様々なアトラクションが繰り広げられました。一方、イベント広場には東ト協各支部などがブース出展し、参加・体験型の各種イベントを展開し、子供たちを対象にした「運ぶ仕事の体験」なども実施しました。また、協賛のトラックメーカーによる車両の展示なども行われました。
「フェスタ2019」さらに拡充し開催へ
東ト協では引き続き、「トラックフェスタ TOKYO 2019~親子で体験 安全と環境~」を開催する計画です。開催日程は2019(令和元)年9月14・15日の2日間とし、会場は前年と同じ代々木公園で行う予定です。これに伴い、同年4月にフェスタ実行プロジェクト(リーダー・森本勝也副会長/運輸安全委員長)を開催し、実施概要などを承認しました。
今年のフェスタは会場を前年より拡大し、代々木公園の野外ステージ・イベント広場に加え、ケヤキ並木エリアも使用して開催する計画で、実施するイベントやアトラクションなどもさらに趣向を凝らし、拡充した内容で開催する方針です。具体的には、同プロジェクトにワーキンググループ(リーダー・中村克敏運輸安全副委員長)を設置し、開催に向けてイベント内容などの検討や準備を進めていくことにしています。
「トラックの日」児童絵画コンテスト実施
東京都トラック協会は、2018(平成30)年度 「『トラックの日』児童絵画コンテスト」を実施しました。業界が社会との共生を目指す取り組みの一環として、2017(平成29)年度から実施しているものです。
都内の小学生を対象に「安全なトラック」「環境にやさしいトラック」「働くトラック」「未来のトラック」をテーマにした作品を募集し、2018年度のコンテストでは329点の応募がありました。選考の結果、最優秀賞(東京運輸支局長賞/1点)、優秀賞(東ト協会長賞/高・中・低学年の合計 9点)、佳作(10点)の各表彰を行いました。表彰式は2018年9月に開催した「トラックフェスタ TOKYO 2018~親子で体験! 安全と環境~」 のオープニングセレモニーで、入賞の児童や保護者を招いて行いました。
また入賞作品は、会員事業者の車両にラッピングし、交通安全や環境保全などのPR活動に活用するとともに、東京都トラック総合会館1階ロビーに展示しました。
2019年度のコンテストは実施方法などを見直し、都内の小学校に配布されている「小学校壁新聞」を活用して作品募集を行い、より多くの作品を募集することにしています。なお、同コンテストはこれまで運輸安全委員会の所管事業として実施してきましたが、2019年度から広報・情報委員会(鎮目隆雄委員長)に移管し、広報事業の一環として実施することになりました。
人材確保へ「採用力スパイラルアップ事業 」
東京都トラック協会はマンパワーグループとの「東ト協コンソーシアム」として、東京都の外郭団体「東京しごと財団」から2018(平成30)年度から2か年にわたり、「団体別採用力スパイラルアップ事業」を受託し、人材の採用・確保に向けた各種支援策を実施しています。
同事業は、「働き方改革」や「女性の活躍促進」などに向けて、人材の採用・確保や定着・育成、雇用環境の改善などの取り組みを支援するものです。2018年8月以降、まず1次支援としてドライバーなど人材確保の実態や課題に関してアンケート調査を行うとともに、個別事業者に対するヒアリングを実施し、業界特有の課題などを把握・分析しました。また、ヒアリング結果などを踏まえ、同事業の対象事業者として、課題の改善・解決に向けて個別コンサルティングを行う15社を含めて25社を選定しました。
引き続き、2次支援として2019(平成31)年2月以降、これら事業者を対象として個別コンサルや合同セミナーを順次実施しているところです。具体的には、人材の採用・確保の上で必要となる働き方改革の推進や雇用環境の整備、女性の活躍促進の各課題について、個別コンサルやセミナーを行い支援します。また、資格取得支援として、大型・中型などの運転免許取得に対する助成も行います。
2020(令和2)年2月には採用力スパイラルアップ事業の好事例発表会を行い、取り組み成果を取りまとめる予定です。その成果を活用して、人材の採用・確保に有効な取り組み手法やノウハウなどを業界内に普及・展開し、これにより業界における「採用力」の底上げを図り、人材確保への取り組みを推進する方針です。
なお、東ト協コンソーシアムでは2016(平成 28)年度から2か年にわたり、東京しごと財団から「団体課題別人材力支援事業」を受託・実施しましたが、これに続き、業界における人材の採用・確保を推進するため、人材力スパイラルアップ事業を受託・実施しているものです。
働き方改革や人材確保へ各種研修
東京都トラック協会は、人材養成事業の一環として各種研修を行っていますが、2018(平成30)年度においては当面の大きな経営課題として働き方改革や深刻化する労働力不足への対応を迫られていることから、これら課題をテーマにした研修を多く実施しました。
具体的には、「今、トラック運送業界の人手不足対応について」(経営者セミナー)や「トラック運送事業における働き方改革」(経営者及び実務者セミナー)、「トラック運送業の労務管理のポイント~働き方改革が自動車運送事業者に及ぼす影響~」(ロジスティクス研究会・青年部・女性部の合同セミナー)などをテーマに開催し、会員事業者の対応をサポートしました。
取引環境・労働時間改善協議会に参画
東京都トラック協会は2018(平成30)年度も引き続き、「トラック輸送における取引環境・労働時間改善東京都地方協議会」に参画し、協議会による取り組みに対応しました。同年度は2016・2017(平成28・29)年度の改善に向けたパイロット事業(実証実験)に続き、具体的な事例に基づき課題解決に取り組むコンサルティング事業が行われ、その審議に参画しました。
国土交通省と厚生労働省による中央協議会がパイロット事業の実施結果を踏まえ、「荷主と運送事業者の協力による取引環境と長時間労働の改善に向けたガイドライン」などを策定したことから、今後、その普及・定着を図ることにより、長時間労働の是正や取引条件の見直しなど改善に向けた取り組みを進めていく方針です。
都議会各会派に対して要望活動 ~働き方改革推進へ支援措置など要請
東京都トラック協会は2018(平成30)年7月、東京都議会の都民ファーストの会と公明党に対して、引き続き同年9月、自由民主党と立憲民主党・民主クラブ各党会派に対して、それぞれ「2019年度特別要望書」を提出し、働き方改革 への支援をはじめ、高速道路料金の割引制度の拡充や駐車規制の緩和、東京オリンピック・パラリンピック競技大会開催時の物流対策など10項目について支援と協力を要請しました。
業界では特に労働力不足対策や働き方改革への対応が喫緊の課題となっていることから、要望書ではこれら対策の推進に係る補助・助成をはじめ、中小企業の労働時間短縮や女性・高齢者などの労働力活用、外国人を含む多様な人材の確保策の検討などを求めました。
あわせて長時間労働の抑制・改善の観点から、輸送時間の短縮に役立つ高速道路の利用促進に向けて料金割引制度の拡充を要請し、大口・多頻度割引最大割引率50%の恒久化をはじめ、輸送効率の高い営業車に対する割引制度の創設などを求めました。また、駐車規制についても、集配貨物車の駐車規制見直しの実施を要請するとともに、貨物車用パーキングメーターの増設など駐車場所の整備・確保を求めました。
さらに、東京五輪開催時の物流対策に関して、交通需要マネジメント(TDM)をはじめ、交通対策の実施に当たっては輸送活動への影響などに配慮するよう要請しました。
五輪TDMプロジェクトに協力 ~円滑な大会運営と輸送活動の両立へ
東京都トラック協会は2018(平成30)年8月、東京都や東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会などが、東京五輪開催の交通対策として「2020TDM(交通需要マネジメント)推進プロジェクト」を立ち上げたことから、直ちに協力団体として参加登録するとともに、会員事業者に対して参加登録を呼びかけています。
同プロジェクトは、東京五輪開催時に予想される交通混雑の緩和を図るため、企業や一般市民に交通量抑制への取り組みを呼びかけるもので、トラック運送業界には配送頻度や配送時間帯の変更など輸配送体制の見直しが求められています。その実施にはまず荷主や配送先の理解と協力が必要ですが、運送事業者として前向きに対応するよう呼びかけているものです。
これに先立ち、東ト協の浅井隆会長は2018年7月、NHK総合テレビのニュース番組「首都圏ネットワーク」の取材を受け、同番組でTDMなどの対策に円滑に対応するためには「お客さまと相談しながら準備を進めていかなければならない。早く方針を決めていただければ、いろいろな計画が立てられると思う」とコメントし、輸配送活動への影響に配慮した対策の策定・実施を求めました。
なお、東ト協は東京五輪開催時の交通対策に関して、都と大会組織委員会による「輸送連絡調整会議」や、政府(内閣府)の「2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会に係る交通輸送円滑化推進会議」に参画しています。2018年 11月に開催された交通輸送円滑化推進会議では、TDMの実施に向けて広報・PRを強化するよう要望するとともに、交通システムマネジメントによる規制的手法の対策実施については慎重な検討を求めました。
東京都・小池都知事に要望 ~五輪開催時の物流対策など要請
東京都トラック協会は2018(平成30)年11月 13日、東京都の小池百合子知事による2019(平成31/令和元)年度の都予算に関する要望ヒアリングで、東ト協の特別要望書(10項目)を提出し、業界の要望事項の実現を要請しました。ヒアリングには浅井隆会長をはじめ各副会長などが出席して要望したもので、浅井会長は要望事項のうち、特に働き方改革や労働力不足への対応と、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会開催時の物流対策を中心に要望しました。
働き方改革への対応に関しては、「自動車運転業務に対する時間外労働の上限規制の適用は5年間の猶予措置が講じられたが、現状の長時間労働にある実態などから対応が厳しい状況」と説明し、中小企業が取り組みを推進するための支援措置(補助・助成など)を講じるよう求めました。 また東京五輪開催時の物流対策に関しては、交通需要マネジメント(TDM)への協力を表明するとともに、規制的手法の対策実施については慎重な検討を求め、輸送活動への影響に配慮するよう要請しました。
その結果、都が2019(平成31)年1月に発表した同年度予算案には、東ト協の要望事項に関連した予算措置が盛り込まれ、働き方改革推進事業などに約10億円(前年度約8億円)、東京五輪の物流対策のうちTDM企業向け説明会や広報の拡充などに合計で約3.4億円(同約1.4億円)が計上されました。
さらに、貨物運送事業者の燃費管理の推進に向けて前年度と同じ約3.1億円が計上され、引き続き「貨物輸送評価制度」の運用を通じて、燃費改善の取り組みを促進する方針を示しました。
なお、関東トラック協会と東ト協は2018(平成30)年12月、東京都に対して「貨物自動車運送事業等に関する要望書」を提出しました。要望事項は税制や道路整備、規制見直し、環境対策の推進などの4項目で、この一環として東京五輪開催時の物流対策についても要望しました。
トラック輸送議員懇話会へ意見書 ~五輪TDMや追加対策案などで要請
東京都トラック協会は2019(平成31)年3月、自由民主党の東京都選出国会議員で構成する東京都トラック輸送議員懇話会(鴨下一郎会長= 自民党東京都支部連合会会長)に対して、「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会に伴うTDM(交通需要マネジメント)等の対応に係る意見書」を提出しました。引き続き、都議会自民党議員で構成する同懇話会(髙島なおき会長= 自民党都連幹事長)に対し、同様の意見書を提出しました。
意見書では、東京五輪開催時の交通対策について、TDMに加え、追加対策として首都高速道路でのロードプライシング(通行料金に上乗せ課金)、ナンバープレート規制など交通システムマネジメント(TSM)が検討されていることから、事業用貨物自動車(緑ナンバー)をその対象から除外することなど4項目を要望し、円滑な輸送活動の維持・確保に配慮するよう要請しました。
東京五輪開催時の交通対策に関しては、交通輸送技術検討会が同年2月、TDMの実施に加えて、ロードプライシングなどの検討案を示しました。TDMの実施だけでは交通量の抑制効果が十分でないとして、規制的手法の対策実施の必要性を提起したものです。検討案では、基本的には物流車両はロードプライシングなどの対象にしない方針ですが、規制的手法の対策は輸送活動への影響が懸念されるため、同議員懇話会に意見書を提出し理解を求めたものです。
東ト協「今後の行動方針」策定 ~ 5つの視点と取り組み施策を示す
東京都トラック協会は2019( 平成31)年3月28 日、2018(平成30)年度第6回理事会を開催し、2019年度事業計画や収支予算などを審議・承認しました。5月1日には新天皇陛下が即位され、改元により令和元年度の事業計画となるものです。この新時代を迎えての事業計画では、浅井会長が掲げる「会員重視の協会」「会員のための協会」の実現をはじめ、山積する業界課題の解決に向けて、その取り組みの方向性を示した「今後の行動方針」を策定しました。
今後の行動方針では、取り組みに当たっての5つの視点を明示し、これに基づき、より効果的に協会施策・事業を推進することにしています。
具体的には、▽視点①=東京2020大会を見据えた地域活動活性化の推進(支部補助金の創設、都などと連携・協力した「トラック時報」によるTDMなどの情報発信)▽視点②=新たな人材を確保・発掘するための東ト協働き方改革(女性ドライバーの確保推進、AIやIoT活用研究)▽ 視点③=安全(交通・労災)・環境対策事業の推進(第一当事者死亡事故ゼロへの挑戦やドライバーコンテストの充実、グリーン・エコプロジェクト事業の見直し、環境対策基金の造成)▽視点④=情報発信力の強化(「トラックフェスタ TOKYO 2019」の実施、東京2020応援プログラムへの申請)▽視点⑤=危機管理への対応(災害時の物流専門家・物流コーディネーターの育成と緊急輸送体制の整備などや、支部BCP策定支援)-です。
新たな支部助成金を創設
5つの視点の一環に掲げる、「東京2020大会を見据えた地域活動活性化の推進」では、東京五輪開催時の交通対策として行われるTDMへの対応を含めて、各支部の活動を支援するため、支部助成金を創設しました。これにより、今後2年間の措置として各支部に対して1年間当たり80万円を交付し支援する方針です。
女性ドライバー確保支援へ
「東ト協の働き方改革」推進に向けた施策としては、その一環として2019年度から5年間、新たに女性ドライバー確保推進運転免許取得費用助成事業を実施することにしました。業界では運転者をはじめ労働力不足が深刻な問題になっていますが、女性の就業割合が全体の2%台と低い状況があることから、女性ドライバーの就業促進を目的に実施するものです。
このため、2019年度予算では1,000万円(事業費1,500万円)を計上しました。これにより、大型・中型・準中型の運転免許取得費用(限定解除を含む)について、1事業者2人まで取得費用の3分の2を助成することにしました。
浅井会長、東商議員候補に推薦
東京都トラック協会は、2019(令和元)年10月に実施される東京商工会議所議員選挙の候補者として、現在、東商1号議員を務めている浅井隆会長を推薦し、上位当選を目指すことにしています。同年1月に開催した理事会で、業界代表の候補者として推薦することを承認したものです。これに伴い、2期目の当選に向けて水野功副会長を本部長、各副会長を副本部長、各支部長を委員とする選挙対策本部を設置し、支援することにしました。