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2012:交通安全・事故防止


営業用トラックの死亡事故再び減少

 警察庁は2012(平成24)年1月26日、2011(平成23)年中の交通死亡事故の特徴と道路交通法違反取り締まり状況をまとめ、発表しました。それによると、交通事故による死者数は前年比5.2%減の4,612人で11年連続の減少となり、ピーク時〈1970(昭和45)年=1万6,765人〉の3割以下にまで減少しました。事故発生件数は前年比4.7%減の69万1,937件、負傷者数も同4.7%減の85万4,493人となり、いずれも7年連続で減少するとともに、発生件数は1992(平成4)年以来19年ぶりに70万件以下となりました。
 2011年に営業用トラック(軽貨物除く)が第1当事者となった死亡事故件数は344件となり、前年より8.8%減少しました。営業用トラックの死亡事故は、ここ数年減少傾向にありましたが、2010(平成22)年に増加に転じ、2011年は再び減少しました。
 こうした死亡事故の減少傾向を背景に、トラック運送事業の労災保険料率は2009(平成21)年度に続き、2012年度も引き下げられることになっています。厚生労働大臣の諮問機関である労働政策審議会が2011年12月15日、2012年4月からの労災保険料率引き下げを妥当と答申したもので、トラック運送事業は1,000分の11から1,000分の9へと引き下げられます。全日本トラック協会の試算によると、業界全体で約120億円の負担減になる見込みです。

海コン安全確保法案、国会再提出

 国土交通省が第180国会に提出を予定していた「国際海陸一貫運送コンテナの自動車運送の安全確保に関する法律案」について、政府は2012(平成24)年3月6日に閣議決定し国会に提出しました。2010(平成22)年末の臨時国会で廃案となり、一部修正のうえで再提出されたものです。
 法案は、海上コンテナの自動車運送の安全を確保するため、国内の受荷主等に対し、コンテナに詰められた貨物の品目や重量などの情報を、トラック運送事業者等に伝達することなどを義務付けるほか、重量情報などを取得できない場合には、荷主にコンテナ重量の測定を義務付ける内容です。2010年の法案提出当初は、経済界が「港が大混乱に陥る」などとして反発していたこともあり、法案審議が進みませんでしたが、ここへ来てコンテナ輸送の安全確保に向けた国際ルール作りが進展していることを踏まえ、法案の再提出に踏み切ることにしたものです。
 国際ルール作りとしては、国際海事機関(IMO)で、「海上における人命の安全のための国際条約(SOLAS条約)」を改正して、発荷主にコンテナ重量の測定と重量証明の交付、船会社への伝達を義務付ける方向での議論が開始されたほか、IMO、国際労働機関(ILO)、国連欧州経済委員会(UNECE)の3団体が「貨物輸送ユニットの収納のためのガイドライン」改正作業を進めているもので、国際ルール作りの動向と連動して国内での法整備が進むことが期待されています。

運行記録計の義務付け範囲拡大を検討

 国土交通省は2011(平成23)年11月21日、営業用トラックへの運行記録計装着義務付け対象の拡大のための検討会(座長=永井正夫東京農工大学大学院教授)を設置し、初会合を開きました。
 初会合で国土交通省側は具体的な拡大範囲として、車両総重量3.5トン以上または最大積載量1トン以上の中小型トラックまで、装着を義務付ける方針を示しました。現在は、車両総重量8トン以上または最大積載量5トン以上のトラックに装着が義務付けられているものを、営業用についてのみ拡大する考えを示したものです。
 これにより、ほとんどの営業用トラックが義務付け対象となることから、関東や近畿のトラック事業者が反発を強め、義務付け範囲拡大を見合わせるよう求めた署名や要望書を運輸局に提出する動きになっています。
 こうした業界の反発を踏まえて、国土交通省は2012(平成24)年1月26日に開いた検討会第2回会合で、具体的な義務付け拡大の素案を提示しました。素案では、2~3年後を目途に中小型から大型も含めて、新車にはデジタル式運行記録計の装着を義務付けるとともに、使用過程車については、新規参入事業者の車両のほか、既存事業者の増車車両についても対象とする経過措置を示し、その他の既存車両については当面適用を見送り、一定の猶予期間後に装着を義務付ける考えを示しました。
 これに対し、トラック運送業界側は厳しい経営環境に直面している業界の実情などを踏まえ、引き続き義務付け範囲拡大を見合わせるよう求めていく方針です。
 一方、国土交通省は2012年3月21日に予定していた第3回検討会を延期しました。

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