KIT「運賃指数」が過去最高を更新~運転者不足を背景に上昇圧力強まる
全日本トラック協会と日本貨物運送協同組合連合会がまとめている、求荷求車情報ネットワークWebKITの成約運賃指数によると、2017(平成29)年12月の指数は127で前年同月比6ポイント上昇し、2010(平成22)年の調査開始以来、最高値を記録しました。景気の回復傾向の中で年末にかけての繁忙期を迎えたこと が上昇の要因です。
これまでは、消費税8%への増税前の駆け込み需要で車両不足が顕在化した2014(平成26)年3月の126が過去最高でしたが、これを3年9か月ぶりに更新したものです。その後、年度末繁忙期を迎えた2018(平成30)年3月は126 とこれに次ぐ高い水準となりました。
日通総合研究所の「企業物流短期動向調査」によると、一般トラックの運賃・料金動向指数は、2017年10~12月期がプラス25、2018年1~3月期は同29となり、さらに同年4~6月 期は同32に上昇する見通しとしています。
トラック運送業界は近年、慢性的な運転者不足に陥っており、全ト協の「トラック運送業界の景況感」調査においても不足感が強まっています。その中で、長年の課題である長時間労働の改善が求められ、輸送供給力が不足する傾向が強まっています。これに伴い、WebKITでも求車情報が求荷情報を大幅に上回る状況が続いており、こうした状況を背景に、運賃上昇圧力が強まっています。
大口・多頻度割引最大50%が1年延長
政府は2017(平成29)年度補正予算を編成し、高速道路料金の大口・多頻度割引について最大割引率を40%から50%に拡充するための予算 として107億円を計上しました。これにより 2018(平成30)年度末まで、最大50%割引がさらに1年間延長されることになりました。自動車運送事業者のETC2.0搭載車の利用が対象です。
また2017年度補正予算には、トラック運送業の生産性向上の予算として2億円が計上されました。働き方改革を推進するための予算で、具体的にはテールゲートリフターの導入を補助するものです。前年度より補助率は引き下げられましたが、これによってより多くの事業者に補助できるようにしたものです。
その導入・活用により、荷役作業の負担軽減と荷役時間の短縮などが図られ、トラック運送事業の生産性向上に資するとともに、女性をはじめとした多様な人材確保につながることが期待されています。
高速各社、車限令違反措置を厳格化
高速道路会社6社は2017(平成29)年4月か ら、重量超過などの車両制限令違反に対する処分措置を見直し、大口・多頻度割引の利用停止など処分措置を厳しくしました。
具体的には、措置命令などの発出基準に応じた違反点数区分を見直し、重量超過2倍以上の「即時告発相当」は30点とし、起訴・不起訴にかかわらず、一部割引停止とすることにしました。また違反点数の累積期間については3か月から2年間に延長するとともに、違反点数の累積に応じて「割引停止措置」や「利用停止措置」を適用し、従来より厳しい処分措置を実施することにしました。
こうした処分措置に関して、日本貨物運送協同組合連合会は2017年12月、国土交通省に対 して全日本トラック協会と連名で要望書を提出し、①協同組合への累積点数通知書の内容や送付時期の改善、②特殊車両通行許可を得た車両への対応の改善、③特車許可審査の迅速化および特車ゴールドの包括申請、④国際海上コンテ ナトレーラの特車許可申請手続きの簡素化―などを求めました。
こうした要望の結果、高速道路各社は2018(平成30)年1月、事業協同組合の負担軽減および大口・多頻度割引制度の適切な運用などを目的として、違反点数の通知方法を見直すことを発表しました。
これにより、同年2月から車限令違反者が所属する会社(組合員)へ違反事実を直接連絡することにし、同年10月から車限令違反に係る違反点数通知について、組合員からの同意書を不要とすることにしています。
自賠責保険料が引き下げ
金融庁は2017(平成29)年4月から、自動車損害賠償責任保険の保険料を平均6.9%引き下げました。営業用トラックについては1年契約の場合、積載量2トン超が20.8%の引き下げ、同2トン以下が19.5%の引き下げとなり、全車種中で最も大幅な引き下げとなりました。
1年契約の営業用トラック2トン超の場合は 1万360円、同2トン以下は6,750円安くなり ます。これは、車種別損害率が自家用乗用車の 94.1%に対し、営業用貨物車は80.0%と低いためです。自動ブレーキなど安全技術の普及により、交通事故が減少しているためで、保険料の引き下げは9年ぶりのことです。