
明けましておめでとうございます。会員事業者の皆様をはじめ関係各位には、平素から格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。令和8年の新春を迎え、謹んでご挨拶を申し上げます。
さて、昨年を振り返りますと、2025年の世相を表す漢字の1位が「熊」、2位が「米」、3位が「高」に決定したとおり、熊による人身被害の続出やジャイアントパンダの中国返還、異常気象による不作や備蓄米放出の遅れなどに伴う米の価格高騰、史上初となる日経平均株価の5万円突破、憲政史上初の女性首相である高市早苗内閣総理大臣の誕生など、私たちの暮らしに直結する多くの出来事があった1年でした。
また、2,500万人を超える来場者数を記録した大阪・関西万博の開催や10年ぶりの快挙となった日本人2名のノーベル賞同時受賞をはじめ、東京での世界陸上の開催やアメリカのメジャーリーグにおける日本人選手の活躍など、文化・学術・スポーツの分野で明るい話題がありました。
トラック運送業界では、昨年11月に暫定税率廃止法が成立し、長年の懸案でありました軽油引取税の暫定税率が令和8年4月1日で廃止されることが決定するとともに、軽油引取税の暫定税率の廃止による「運輸事業振興助成交付金」の取り扱いについて適切に対応することが付帯決議に盛り込まれました。
また、昨年6月には、トラックドライバーの適切な賃金の確保とトラック運送業界の質の向上等を目的とした「トラック適正化二法(貨物自動車運送事業法の一部改正及び貨物自動車運送事業の適正化のための体制の整備等の推進に関する法律)」が可決・成立し、「許可の5年更新制の導入」や「適正原価の導入」が法律施行後3年以内を目途として講じられるとともに、「委託次数の制限2回以内の努力義務」や「白トラ利用の禁止」は本年4月1日に施行されることになりました。
さらに、トラック運送業界における情報収集機能の強化を図り、物流産業全体の取引適正化を進める「トラック・物流Gメン」は、昨年10月・11月を「集中監視月間」として、「公正取引委員会と合同パトロール」を実施するとともに、荷主等に対する「働きかけ」「要請」「勧告・公表」を行うため、集中的に情報収集や調査が実施されました。
会員の皆様におかれましては、「長時間の荷待ち」、「契約に基づかない付帯業務」、「コンプライアンスの確保に影響を及ぼす輸送(非合理な到着時間の設定、重量違反等となるような輸送依頼、燃料費等のコスト増加に係る運賃・料金等の不当な据え置き)」などの「違反原因行為」をしている疑いのある荷主・元請事業者がありましたら、「トラック物流・Gメン」または「Gメン調査員」への情報提供をお願いいたします。
この他、適切な価格転嫁と取引適正化の定着を主眼として、昨年5月に「下請法及び下請振興法」が「取適法及び振興法(製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律及び受託中小企業振興法)」へと改正され、「運送委託の対象取引へ追加」、「協議に応じない一方的な代金決定の禁止」、「主務大臣による執行強化」などが本年1月1日に施行されました。
会員の皆様がトラック輸送に関する諸経費を運賃・料金に着実に反映できるよう、東ト協としても全面的にバックアップしてまいります。
トラック運送事業は、生活と経済のライフラインとして、都民生活や産業活動の維持・発展に欠くことのできないものであり、「物流の2024年問題」を契機として、その存在価値と重要性はより一層高まっています。
その一方で、99%以上が中小企業であるトラック運送業界は、慢性的な人手不足に加え、物価の上昇や燃料価格の高止まりにより、かつてないほどの厳しい経営環境に直面しております。
トラック運送業界が大きな転換期を迎えている今、東ト協では「ドライバーファースト」の視点に立ち、ドライバーの処遇改善や教育・健康管理等の支援などを通じて、業界の社会的地位の向上に取り組んでいるところです。
その一環として、今回も燃料費負担の軽減に資する支援を東京都に要請したところ、「東京都運輸事業者向け燃料費高騰緊急対策事業支援金」の交付が決定しました。現在、申請の受付が行われており、1月23日が締め切りとなっておりますので、会員の皆様におかれましては、申請をお願いいたします。
各支部の皆様のご協力のもと、一昨年11月から昨年2月まで実施しました「標準的運賃の届出促進活動」の結果、東ト協の会員による「標準的運賃」の届け出は、昨年2月末時点で95.7%となりました。
「標準的運賃」はいずれ「適正原価」という法的根拠のある形に再編成されますが、それまでの間、標準的運賃は、ドライバーの賃上げと事業継続に必要な原資を獲得するために荷主と交渉する際の極めて有効なツールとして、しばらくの間、存続します。
今後も「標準的運賃」を活用し、適正な運賃・料金が収受できる取引環境の整備を図ってまいります。
トラック運送業界にとって、輸送の安全の確保は極めて重要な課題です。
しかし、昨年の警視庁管内における事業用貨物自動車が関与した死亡事故のうち、東ト協の会員が第一当事者となった死亡事故件数は、残念ながら一昨年を上回ってしまったため、会員の皆様に「歩行者保護と基本的な安全確認を徹底する啓発文書」を発出して、ドライバーの指導強化を求めましたところです。
今回の厳しい結果を重く受け止め、本年は昨年以上に交通事故の防止に向けて、安全教育や健康管理の再徹底を図るとともに、春・秋の全国交通安全運動実施期間中の各種イベントなどを通じて広報・啓発活動に取り組み、トラック輸送の安全のための施策を強力に実施してまいります。
東ト協では、親子で安全と環境を学べる体験型イベントとして、「トラックフェスタTOKYO」を毎年開催しております。
昨年は、安全と環境に加えて、能登半島地震・豪雨災害における被災地支援をテーマに開催し、一昨年を上回る1万4千人を超える都民の皆様に業界の役割や協会の取り組みを広くアピールすることができました。
協賛をいただきました企業・団体並びに会員の皆様に改めて感謝いたしますとともに、本年も9月12日(土)に「トラックフェスタTOKYO2026」を開催いたしますので、引き続きご理解とご協力をお願い申し上げます。
その他、東ト協では、グリーン・エコプロジェクトや、政府が進める「2020年カーボンニュートラル宣言」、SDGs、東京都による「ゼロエミッション東京」の実現といった環境問題につきまして、引き続き取り組んでまいります。
税制や関係法令の改正などにより、トラック運送業界は歴史的な転換期を迎えています。
物流に対する社会の理解が進んだことで運賃水準も上昇傾向にあるなど、業界にはこれまでにない追い風が吹いています。
この好機を逃すことなく、トラックドライバーの待遇改善や業界の社会的地位の向上に繋げていくためには、会員の皆様のご協力が不可欠です。
本年は、「トラック適正化二法への積極的な対応」「協会の将来を見据えた会員基盤の強化」「ドライバーファーストの更なる取り組み」を最重要課題と位置づけ、物流の第一線でトラック輸送に携わっておられる会員の皆様と、それぞれの地域の特性に応じた多様な活動を通じて協会の円滑な運営を支える支部と、協会のかじ取りを担う本部とが三位一体となり、関係行政機関や関係団体と緊密に連携しながら、さまざまな施策を講じてまいります。
結びになりますが、関係各位の一層のご支援・ご指導を賜りますようお願い申し上げますとともに、本年の皆々様のご事業のご隆盛とご健勝・ご多幸を心よりお祈り申し上げ、新年のご挨拶とさせていただきます。
一般社団法人 東京都トラック協会
会長 水野 功