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経営環境

環境税を導入、旧暫定税率はそのまま維持

 政府は2010(平成22)年12月16日、2011(平成23)年度税制改正大綱を閣議決定しました。民主党政権となって2度目の税制改正大綱ですが、2011年度改正に当たっては、復活した民主党の政策調査会に党税調とも言える税制改正プロジェクトチームが設置され、その提言が政府の大綱決定に大きな影響を与えました。焦点となっていた地球温暖化対策税(環境税)についても党プロジェクトチームの提言をほぼ受け入れるかたちで決着し、全ての化石燃料に課税している現行の石油石炭税に、CO2排出量に応じた税率を上乗せする「地球温暖化対策のための課税の特例」を設けるかたちで創設することになりました。税率は、原油および石油製品については1キロリットル当たり760円で、ガソリン・軽油1リットル当たりでは76銭と薄く広く課税する点が特徴です。
 民主党内の根強い反対論に配慮して、導入時期を半年遅らせて2011年10月1日としたほか、税率も段階的に引き上げることにし、ガソリン・軽油の場合で初年度は1リットル当たり25銭、2013(平成25)年度から50銭、2015(平成27)年度以降から76銭へと3年半かけて引き上げられることになっています。
 環境省や全国知事会などは当初、ガソリン・軽油の当分の間税率(旧暫定税率)も環境税に衣替えすることを求めていました。民主党内の検討では、環境税に衣替えしてしまうと税率が恒久化され、暫定税率廃止というマニフェストを実現できなくなってしまうとの判断もあって衣替えは見送りましたが、厳しい財政事情や地球温暖化対策の観点も踏まえ、当分の間税率については2011年度もそのままの水準で維持されることになりました

交付金は継続、法制化方針も

 2011(平成23)年度税制改正大綱では、軽油引取税の当分の間税率(旧暫定税率)を当面継続することに伴い、これと一体の措置である営業用トラック・バスに対する運輸事業振興助成交付金については、国の財源措置である地方交付税措置を含めて継続することとされました。交付金についてはさらに、2010(平成22)年5月の事業仕分けでの指摘や一部地方自治体による交付額の減額問題などを踏まえ、「交付金制度の透明性の向上を図るとともに、交付金基準額の確実な交付を確保するため、法整備等を受け所要の措置を講ずる」と記述され、法制化する方針が示されました。
 法制化は議員立法で行われる見通しで、税制改正大綱閣議決定翌日12月17日の記者会見で片山善博総務相は「党が議員立法というかたちで都道府県に対する要請などを立法化するということなので、通達行政改善の意味では一歩前進だ」と評価しました。
 法制化は、民主党を中心とした各党共同提案のかたちでの国会提出が見込まれていますが、参議院で与党が過半数割れの「ねじれ国会」のなかで、法案の提出と成立の行方が注目されています。

トラック省エネ支援に新支援策18億円

 2011(平成23)年度税制改正大綱で、地球温暖化対策税の導入が決まったことに伴い、税負担が増加する物流・交通の省エネ化のための方策を支援することが明記されました。
 税負担が少額で税の還付にはコストもかかるため、国の予算面で配慮することにしたもので、政府が2010(平成22)年12月24日閣議決定した2011年度予算案には、経済産業省所管のエネルギー対策特別会計で、低炭素型自動車交通推進事業に18億円が計上され、トラック、バス事業者の輸送効率化への取り組みに対し、新たな支援策が設けられることになりました。
 このうち16億円超が振り向けられるトラック輸送分野では、求荷求車システムの導入・活用セミナーやマテリアルハンドリングの活用などにより輸送効率化を図る「貨物自動車運送効率化実証事業」と、CNG車への転換や外部電源を活用したアイドリングストップなど「低炭素型エネルギー活用促進実証事業」、さらにトラック事業協同組合等が行う、複数事業者一体となったエコドライブ活動をサポートする「エコドライブ推進普及啓発事業」に対し、費用の2分の1を補助することになりました。
 地球温暖化対策税の税収がエネルギー対策特別会計に繰り入れられることから、同特別会計からの支出となったもので、これらの補助に当たっては、選定委員会が省エネ効果や政策的意義等の指標に基づいて選定した事業を支援する仕組みとなる予定です。

環境自動車税は先送り

 2011(平成23)年度税制改正議論の過程で、総務省が地方税である自動車税と国税である自動車重量税を一本化する「環境自動車税」構想を打ち出しましたが、民主党内や政府税調内でも異論が相次ぎ、2012(平成24)年度税制改正に議論が先送りされました。
 総務省の提案では、CO2排出量と排気量で税額を決め、負担水準は自動車税と自動車重量税を合わせた税収で中立となるような制度としました。軽自動車については、小型自動車との税格差を縮小するよう、税負担の引き上げを行う考えを打ち出し、導入時期は2012年4月であるものの、納税者への周知と課税準備の都合から、導入の1年程度前に方針を決定する必要があるとして、2011年度税制改正議論の俎上にのせました。
 これに対し、民主党の税制改正プロジェクトチームでは、「議論せず黙殺すべき」などと異論が続出し、政府税調でも経済産業、国土交通、財務各省が先送りを求めたため、税制改正大綱では「車体課税については、エコカー減税の期限到来時までに、地球温暖化対策の観点や国および地方の財政の状況も踏まえつつ、当分の間として適用されている税率の取扱いを含め、簡素化、グリーン化、負担の軽減等を行う方向で抜本的な見直しを検討する」と記述されました。

マニフェスト実現要請行動に700人集結

 全日本トラック協会、全国ハイヤー・タクシー連合会、日本バス協会、全日本運輸産業労働組合連合会、全国交通運輸労働組合総連合の5団体は2010(平成22)年11月24日、民主党マニフェストに沿った自動車関係諸税の見直しを求める「自動車関係諸税マニフェスト実現要請行動」を実施しました。要請行動には全国から約700人が参加し、憲政記念館で要請集会を開いたほか、国会周辺をデモ行進し、議員会館前で座り込みを行いました。
 集会で採択された要請文では、政府が検討中の2011(平成23)年度税制改正案で、軽油引取税の当分の間税率(旧暫定税率)を環境税化して維持、恒久化し、さらに地球温暖化対策税を創設して増税を図ろうとしていることに対し「党のマニフェストにも、納税者の期待にも完全に逆行するもので、到底受け入れられない」と主張し、民主党マニフェストが地球温暖化対策税の創設に際して「特定の産業に過度の負担とならないように留意した制度設計を行う」と明記していたことを指摘して、マニフェストの正しい実現を図るよう強く要望しました。
 要請集会には、民主党国会議員も多数出席。ガンバローコールで気勢を上げた後、参加者らは自動車関係諸税の抜本見直しや軽油引取税の暫定税率廃止を求めて国会周辺をデモ行進しました。

全ト協の交付金事業を事業仕分け

 政府の行政刷新会議は2010(平成22)年5月25日、公益法人を対象とした事業仕分け第2弾後半戦のなかで、全日本トラック協会の交付金事業に対しても仕分け作業を行いました。仕分け人からは交付金制度の複雑さや不透明さを指摘する意見が出され、「見直しを行う(透明性の確保)」と判定されました。
 運輸事業振興助成交付金を原資とする出捐金で行う事業が仕分け対象となりましたが、評価結果では、仕組みの見直しを求められました。仕分けの議論では、営業用トラックと自家用トラックの間に格差を設ける必要性については異論は示されませんでしたが、都道府県トラック協会からの出捐金で行う全ト協事業の透明性確保を求める意見が相次ぎました。総務省副大臣通達に依拠する制度の「建て付け」も論点となり、軽油引取税の税率そのものに営自格差を設けることも提案されました。このほか、トラック協会役員に公務員の再就職者が多い点も問題視されました。

高速道路料金、実質値上げにトラック業界反発

 国土交通省は2010(平成22)年4月9日、当時の前原誠司大臣が記者会見し、高速道路の新たな料金割引を発表しました。車種別に上限料金制を採用したことが特徴で、上限料金は、普通車2,000円、中型・大型車5,000円、特大車1万円などとされ、平日と休日の全時間帯で現金とETCの区別なく適用するとされました。既存の割引制度は原則廃止し、夜間などの時間帯割引や大口多頻度割引も2011(平成23)年3月で廃止する方針が打ち出され、近距離利用は値上げとなる懸念が強まりました。首都高速道路と阪神高速道路についても距離別上限制を導入し、長距離利用の大型車は1,400円から1,800円に値上げとなる内容でした。
 割引原資のおよそ半分を高速道路の新規建設に充当することにしたため、料金の利用者負担が増えることになり、営業用トラックはその9割が値上げになることから、トラック運送業界は強く反発。民主党内からも「無料化を掲げながら値上げとなることをどう説明するのか」などと異論が相次いだため、当時の小沢一郎幹事長が4月21日の政府・民主党首脳会議で当時の鳩山由紀夫総理大臣に見直しを要望し、民主党トラック議員連盟の奥村展三会長らも同月30日に当時の平野博文官房長官に再考を求めました。
 その後、割引財源を建設費に回すための道路整備財政特別措置法(財特法)改正案が国会で審議されないことから、国土交通省は新料金の6月実施を断念し、料金問題は先送りされました。

高速料金、トラックの値上げは回避

 2010(平成22)年12月3日の臨時国会の閉幕に伴い、高速道路料金の割引原資を建設費にも回せるようにする道路整備財政特別措置法改正案は審議されないまま廃案となることが決まりました。これを受けて2011(平成23)年4月以降の新料金を巡る調整が活発化し、同月7日の民主党国土交通部門会議で同党トラック議員連盟が緊急提言を提出。全ての利用者が現状より値上げとならないよう求めるとともに、トラックに対しては上限料金制を採用しないよう要望しました。
 国土交通省は同月9日の同部門会議に見直した料金案を提示し、同月24日には国土交通省と民主党が正式に合意しました。貨物車については、上限制を導入せずに現在の大口多頻度割引、通勤・深夜などの時間帯割引も継続すると明記し、普通車については、激変緩和の観点から土日祝日の上限1,000円を継続するとともに、平日にも上限制を拡大し、終日2,000円とすることで決着しました。
 国土交通省は2011年2月16日、4月からの高速道路料金割引内容を決め、発表しました。NEXCO系および本四高速については、前年末の基本合意に基づき、中型車以上のトラックについては上限制を導入せず、現行の通勤・深夜5割引、平日昼間3割引などの時間帯割引を継続するとともに、大口多頻度割引も存続させます。
 首都高速、阪神高速については、料金圏のない対距離制(普通車500~900円、大型車1,000~1,800円)を導入しますが、統一地方選やその後の議会手続きなどを考慮して、実施時期は2012(平成24)年1月を予定しています。料金圏を撤廃するため、複数の料金圏をまたがって利用する場合には割安になりますが、同一料金圏内を長距離利用する場合には値上げとなるケースも出てきます。同省では、トリップ長が長いトラックに配慮して、物流事業者向け割引を拡充する方針であるほか、首都高速についてはNEXCO系高速道路との乗り継ぎ割引、都心環状から中央環状への迂回利用割引、EV(電気自動車)割引などを実施する予定です。
 このほか、東京湾アクアラインについては、千葉県が費用の一部を負担するかたちで、4月以降も現行の社会実験料金(軽自動車640円、普通車800円、中型車960円、大型車1,320円、特大車2,200円)が継続されます。
 これらの割引制度は、2011年4月から3年間適用されます。割引財源は約2兆円で、割引を継続する場合には3年後に別途財源を確保する必要があります。

民主党にトラック議連誕生

 民主党は2010(平成22)年1月29日、東京・永田町の議員会館内でトラック議員連盟の設立総会を開きました。最高顧問に羽田孜元首相、会長には奥村展三衆議院議員が就き、事務局長には石井章衆議院議員が就任しました。当時の小沢一郎幹事長の肝いりで設立されたもので、設立総会であいさつした奥村会長は「力を合わせて日本の物流をよくしていきたい」と述べ、中西英一郎全日本トラック協会会長は「物流は人体に例えるなら血液であり、血液をうまく流すためには皆さんの力添えが重要だ」と諸課題解決への協力を求めました。
 民主党トラック議員連盟は参加国会議員数が200人弱という党内でも屈指の勢力を誇り、高速道路料金問題、交付金問題など節目節目でその力を発揮しています。

最低車両台数見直しへ 将来ビジョン検討会が中間整理

 国土交通省に設置されたトラック産業の将来ビジョンに関する検討会(座長=野尻俊明流通経済大学法学部教授)は2010(平成22)年7月7日、将来ビジョンに関する中間整理をまとめました。産業活動や国民生活に不可欠なトラック産業について、その経営は大変厳しい状況だとしたうえで、将来のあるべき姿を提示するとともに、規制緩和後の変化を踏まえて克服すべき課題を整理したものです。
 あるべき姿としては、生産性の向上や海外進出などをあげ、生産性向上のためにはマーケティング能力の向上などによる直荷主の確保、事業協同組合などの活用、共同化・協業化の推進などを施策としてあげました。中小企業庁、中小企業基盤整備機構と連携し、新事業展開、人材育成、専門家の派遣などを支援していく方針です。アジアなどへの海外進出については、日本貿易振興機構(ジェトロ)や中小企業基盤整備機構と連携してトラック運送事業者の海外進出を支援していく方針を打ち出しました。
 規制緩和後の変化については、10台以下の小規模事業者が増加し、過当競争の激化と運賃水準の下落により安全・労働面での対応が不十分な事業者が増大していると指摘。法令違反事業者も増大していることから、ワーキンググループ(WG)を設置して新規参入時の最低車両台数と適正運賃収受の取り組みを検討していくことになりました。
 国土交通省は2010年10月13日、トラック産業将来ビジョン検討会に最低車両台数・適正運賃収受ワーキンググループ(野尻俊明座長)を設置し、現在全国一律5台とされている最低車両台数規制の見直しと適正運賃収受に向けた取り組みの検討に着手しました。WGでは、最低車両台数について8,000社を対象としたアンケート調査を実施し、運賃については500社程度を対象とした調査を行っており、これらの調査結果がまとまり次第、具体的な議論を再開する予定です。

ポスト新長期に補助金、予算額77億円

 2010(平成22)年度補正予算の成立を受けて国土交通省は2010年12月9日、環境対応ディーゼルトラックを含む低公害車導入補助金の申請受付を開始しました。予算額は合計約77億円です。
 環境対応ディーゼル車購入補助は、2015(平成27)年燃費基準達成かつポスト新長期規制適合車両が対象で、通常車両との差額の2分の1を目安に、大型車(車両総重量12トンクラス)は60万円、中型車(同8トンクラス)は25万円、小型車(同3.5トンクラス)には10万円を補助します。予算額は70億円で、計約1万5,000台への補助を見込んでいます。買い控えが起きないようにするため、経済対策が閣議決定された2010年10月8日にさかのぼって適用し、2011(平成23)年3月31日までに登録された自動車を補助対象としました。
 CNG車等に対する低公害車導入補助は、2010年度当初予算分10億4,000万円の補助申請受付が終了していたものに7億5,000万円強追加するものです。低公害車導入補助は、地方自治体やトラック協会などとの協調補助が要件となっていますが、補正予算分については協調補助がなくても補助することになりました。
 一方、低公害なトラックに対するエコカー補助は、すでに2009(平成21)年度第1次補正予算で130億円、同第2次補正予算で305億円が措置されるなど、大型予算によるトラック事業支援が続いています。

社保未加入事業者の行政処分急増

 公正な競争の観点から、社会保険等に加入していないトラック運送事業者の存在が問題視され、国土交通省は2008(平成20)年7月1日から新たに未加入事業者を行政処分対象とするなど事業法に基づく措置を強化しましたが、施行後2年目に当たる2009(平成21)年7月1日から2010(平成22)年6月30日まで1年間に行政処分を受けた事業者数は383社となり、前年同期に比べ4倍超に急増したことがわかりました。
 同省が集計したもので、383社のうち、車両停止処分が148社、警告が235社となっていますが、2009年10月から、一部未加入であっても車両停止処分の対象となるなど処分基準を強化したため、今後は車両停止処分が増えると見られています。
 社会保険(健康保険、厚生年金保険)および労働保険(労災保険、雇用保険)に加入していない事業者で、不適正に運送原価を引き下げているとして同省は2008年7月から、新規参入事業者に対しては許可基準および条件に社会保険等への加入を追加したほか、既存未加入事業者に対しては貨物自動車運送事業法の違反行為として運用し、未加入事業者には行政処分を科すこととしました。
 適正化事業実施機関が巡回指導した際に把握した未加入率は、2006(平成18)年度に社会保険が26.7%、労働保険が12.9%でしたが、2009年度にはそれぞれ25.2%、12.0%と若干改善しています。

トラック事業者数が2年連続で減少

 国土交通省がまとめた、2009(平成21)年度末(2010年3月31日)現在のトラック運送事業者数統計によると、全事業者数は前年度比0.3%減の6万2,712社となり、2年連続で減少しました。
 2009年度の廃止・合併等による撤退事業者数は23.5%減の1,598社となり減少に転じましたが、新規参入も23.8%減の1,418社へと減少したため、差し引きで事業者数が減少しました。業種別に見ると、特別積合せが0.3%減の299社、一般が0.3%減の5万7,276社、霊柩が1.3%増の4,480社、特定が7.6%減の657社となっています。
 規模別に見ると、これまで増加傾向にあった車両台数10両以下の小規模事業者数が1.0%減の3万5,161社となり、最低車両台数規制の緩和が始まった1996(平成8)年度以降初めて減少に転じました。事業者数全体に占める10両以下規模の割合は、1996年度に43.2%だったものが2008(平成20)年度には56.5%にまで上昇しましたが、2009年度は56.1%へと減少しました。
 一方、営業用トラックの車両数はこの3年間ほどで約6万台減少しました。国土交通省が毎月まとめている自動車保有車両数統計によると、2010(平成22)年11月末現在の営業用貨物車保有台数(軽自動車、特種用途車除く)は2007(平成19)年12月末現在と比較して6万79台減少(5.3%減)の107万6,550台となりました。特に2008年秋のリーマンショックを受けて、2009年1月以降の減少が顕著ですが、2010年11月は前月比で740台増と2年ぶりに増加に転じており、台数減少に歯止めがかかる可能性もあります。

公取委、優越的地位濫用でガイドライン

 公正取引委員会は2010(平成22)年11月30日、「優越的地位の濫用に関する独占禁止法上の考え方」をまとめ、発表しました。同年1月に施行された改正独占禁止法により、優越的地位の濫用が新たに課徴金納付命令の対象となったことから、優越的地位の濫用規制の考え方を明確化し、法運用の透明性を確保して事業者の予見可能性をより向上させるためにガイドラインとして定めたものです。
 「優越的地位の濫用」とは、取引上の地位が相手方に優越しているものが、相手方に対して、正常な商慣習に照らして不当に商品を購入させたり、金銭を提供させたり、支払遅延、減額、取引対価の一方的決定などを行う行為で、多数の取引の相手方に組織的に不利益を与える場合や不利益の程度が強い場合には公正な競争を阻害していると判断され、課徴金納付命令の対象となります。
 ガイドラインでは、優越的地位の濫用となる行為類型ごとに考え方を示すとともに、想定例や具体例を提示してわかりやすく解説しています。

国会の法案審議が停滞

 2010(平成22)年夏の参議院議員選挙で与党民主党が敗北し、衆参で与野党が逆転する「ねじれ国会」となったことで、国会での法案審議が停滞気味となっています。トラック輸送に影響を与える法案も例外ではなく、海上コンテナの陸上輸送の安全を確保するための法案が2010年12月3日の臨時国会閉幕とともに廃案となったほか、高速道路料金の割引財源を新規建設にも回せるようにする道路整備財政特別措置法改正案は、料金の実質値上げ案に与党内からも反発が出たため廃案となりました。
 一方、日雇い派遣の原則禁止を盛り込んだ労働者派遣法改正案は衆議院厚生労働委員会で継続審議となり、温室効果ガスを2020年までに1990(平成2)年比25%削減、2050年までに同80%削減する目標を盛り込んだ地球温暖化対策基本法案も衆議院環境委員会で継続審議となっています。

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