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交通安全・事故防止

事業用自動車の事故半減へ総合安全プラン2009

 国土交通省は2009(平成21)年3月27日、「事業用自動車総合安全プラン2009」をまとめ、発表しました。今後10年間を「事故削減のための集中期間」と位置づけ、10年後の死者数と人身事故件数を半減させる数値目標を初めて掲げた点が特徴です。トラック、バス、タクシーの事業用自動車の交通事故による死者数を2008(平成20)年の513人から10年後の2018年に250人(中間年の2013年には380人)へと半減させるほか、人身事故件数を同じく5万6,295件から3万件(2013年に4万3,000件)へと減らすことが目標で、飲酒運転については「ゼロ」が数値目標です。
 目標達成のために当面講ずべき施策として、安全体質の確立、コンプライアンスの徹底、飲酒運転の根絶、IT・新技術の活用、道路交通環境の改善といった課題ごとにおよそ50項目からなる具体策をあげ、実施時期も明示しました。安全体質確立では、これまで大手事業者に限られていた安全マネジメントの評価対象を中小規模事業者にも拡大するほか、コンプライアンスの徹底では、社会保険関係法令を含む法令違反に対する行政処分の強化を打ち出しました。飲酒運転根絶では、点呼時のアルコール検知器使用義務付けを明記し、IT・新技術では、ASV技術やドライブレコーダー・デジタル式運行記録計の普及促進をあげています。

行政処分基準を強化

 国土交通省は2009(平成21)年10月1日から、トラック運送事業など自動車運送事業の行政処分基準を強化しました。飲酒運転等に対する処分日車数を初違反の場合で従来の80日車から100日車へ、再違反の場合は240日車から300日車へといずれも1.25倍に強化したほか、社会保険等未加入に対しては、一部未加入の初違反であっても10日車の車両停止処分(従来は警告処分)とするとともに、一部未加入、全部未加入ともに処分量定を1.5倍に厳しくしました。このほか、最低賃金法違反(事業の健全な発展を阻害する競争行為)を新たに処分対象とし、初違反で10~30日車、再違反で30~90日車の車両停止処分としたほか、運転者に対する指導監督記録作成保存義務違反に対する処分基準も創設しました。 このほか、海上コンテナの横転・落下事故が多発したことから、コンテナ落下防止措置未実施に対する処分を初違反でも20日車の車両停止とするほか、再違反は3倍に強化。処分逃れ対策として、処分前に車両を他の営業所に移動したり、他社に事業譲渡した場合でも追跡して行政処分を行えるようにしました。
 これらの処分強化に対しては、パブリックコメントに寄せられた意見で、「悪質違反の処分は、現行量定で十分効果は発揮されている」「社会保険等未加入による処分は間違っている」といった異論もありました。

運転者の事故歴把握を義務付け

 国土交通省は2009(平成21)年10月1日、運転者に対する指導監督指針(告示)を改正し、新たに雇い入れた運転者の過去の事故歴を把握することを事業者に義務付けました。事故歴は、自動車安全運転センターが交付する無事故・無違反証明書や運転記録証明書等により把握し、事故を起こしていた場合には、特別な指導と適性診断を受けさせる必要があります。事故歴は過去3年間に遡って把握し、事業用自動車によるものに限らないとしています。また、貨物自動車運送事業輸送安全規則(省令)を改正し、運転者に対する指導監督を実施した際には、その内容の記録と保存(3年間)を義務付けました。
 同時に改正した自動車事故報告規則(省令)では、速報すべき事故として、▽転覆、転落、火災を起こし、又は鉄道車両と衝突したもの▽2人以上の死者を生じたもの▽5人以上の重傷者を生じたもの▽自動車に積載された危険物が大量漏えいしたもの??を追加しました。

アルコール検知器を義務付け

 国土交通省は2010(平成22)年1月22日、自動車運送事業者に対してアルコール検知器を使用した運転者の点呼実施を義務付けることを内容とした貨物自動車運送事業輸送安全規則(省令)改正案をまとめ、意見募集を開始しました。出庫、帰庫時の点呼で、運転者の酒気帯びの有無について、運転者からの報告に加え、目視やアルコール検知器の使用により確認し、その内容を記録することも義務付けるという内容です。運転者が出先にいるなど対面以外の方法で点呼を行う場合も、運転者にアルコール検知器を携帯させて酒気帯びの有無を確認し、記録することを義務付けます。事業者は、営業所ごとに検知器を備え、常時有効に保持することが求められます。同省では2010年3月に省令を公布し、1年間の周知期間を経て2011(平成23)年3月に施行する予定です。
 事業用自動車の飲酒運転取締り件数は、2008(平成20)年に287件発生するなど依然として憂慮すべき状況ですが、点呼者の判断によるため、酒気を帯びた運転者の乗務を止められなかった事案が発生しています。このため、事業用自動車総合安全プラン2009でアルコール検知器の義務付けが打ち出されていました。
 アルコール検知器を使用しないと点呼不十分として事業者は行政処分の対象となり、警告~車両停止20日車程度の処分が科され、飲酒とわかっていて乗務させた場合には、初回違反でも100日車の車両停止処分と運行管理者資格者証の返納命令が科されます。

トラック版安全プラン2009を策定

 全日本トラック協会は2009(平成21)年11月5日、「トラック事業における総合安全プラン2009」を策定しました。国の「事業用自動車総合安全プラン2009」に対応するため、営業用トラックについての事故削減数値目標を定め、その達成のために取り組むべき対策をまとめたものです。国の計画が10年後の死者数と人身事故件数半減をめざしていることを受けて、トラック版の安全プランでも2008年に450人だった死者数を2018年までに220人以下とし、2008年に2万8,838件だった人身事故件数を2018年までに1万5,000件とすることをめざします。飲酒運転はゼロが目標です。
 目標達成に向けた対策としては、安全マネジメント講習会の実施による運輸安全マネジメントの普及と浸透のほか、スピードリミッターに特化した不正改造排除活動を継続的に実施し、点呼時のアルコール検知器使用義務付けを徹底するとしています。新技術の活用では、ドライブレコーダーやデジタルタコグラフなどEMS関連機器の普及促進のため、継続的に導入助成制度を実施するとしています。

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