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東京都トラック協会の活動

実運送重視の協会運営へ

 東京都トラック協会の新会長に2006(平成18)年5月22日に就任した星野良三会長は、協会運営方針として「実運送重視」を打ち出しました。
 星野会長は「経済があれば物流は無くならない。実運送は実際に人が車を動かし、車と一体となった事業」として、実運送を担うドライバーこそが業界の財産と強調。トラック業界を取り巻く諸問題はすべて「人と車」に係わる問題──例えば運賃問題は実運送そのものに関わり、燃料問題は車の運行に関わり、燃料の質そのものや消費量は環境問題に関わり、労働基準法は運転者に一番関係し、貨物自動車運送事業法はじめ法律は人と車に関係──などとし、法律(貨物自動車運送事業法、労働基準法、道路交通法等)、交通安全、社会保険、駐車問題、労働災害、税制、広報──等、それらに関する協会活動のいずれもが実運送を巡る問題への対応として、協会活動は実運送を中心に行われているとの認識を示しました。
 星野会長は、こうした諸問題にきちっと対応することで社会から"大変優しいトラック(業界)"と評価され、トラック業界が社会との共生を図る愛される業界となり、社会的地位が向上し、最終的には「事業の経営基盤が確立」されるというビジョンを提示しました。

運賃問題への対応

 東京都トラック協会の星野良三会長は、2007(平成19)年1月11日に開催された東ト協の新年理事会で、今年の重点目標として(1)再生産可能な適正運賃の収受で輸送力の確保(2)交通事故を大幅に無くして都民生活を守る──の2大目標を掲げました。再生産可能な適正運賃収受に関しては、「気持ち的には、今年しか適正運賃収受の年はない」とラストチャンスとの認識を示しました。
 それは、これまで運賃問題に関して、東ト協はじめ業界団体の運動や行政庁の支援などの成果(運賃問題に関する環境整備)をトラック業界が役立てる時との考えを示したものです。

経営実態に関するアンケート調査を実施

 東ト協は燃料価格高騰問題への対応の1つとして航空業界や外航海運業界で導入されている「燃料サーチャージ制度(燃料価格変動を別立て運賃として設定する制度)」(10ページ参照)についても06年3月にPRしました。東ト協が開催した軽油価格高騰・経営危機突破大集会での事業者報告の中で、燃料サーチャージ制度と言う表現ではありませんでしたが、実質的な燃料サーチャージ制度の導入を荷主との交渉で認めさせたケースが報告されました。
 こうした活動や協力を踏まえて、東ト協は会員事業者の経営実態と荷主企業への対応状況などを調査する「経営実態に関するアンケート調査」を実施し、06年6月19日に結果発表しました。このアンケート調査は全会員事業者4,189社を対象に実施し(実施時期は2006年3月末に発送、回収締め切り4月20日)、回答は1,678社(回収率は40.1%)と高い回答率を得ました。 アンケート調査結果は、軽油価格値上がり分の運賃転嫁交渉を47.0%の会員が開始し、「これから交渉する予定」12.3%を含めると59.3%と半数以上の事業者が運賃交渉の意向を示しました。
 また、交渉開始時期は05年10月から06年3月までの半年間で67.1%となっています。運賃転嫁の交渉結果は▽ほぼ希望通り3.1%▽一部希望通り33.0%──と、3社に1社以上の36.1%の事業者が成果を上げている結果となりました。

307荷主団体に公正取引を要請

 東京都トラック協会は06年10月6日、軽油価格高騰が続き、トラック運送事業経営が存亡の危機に立っているとして、307荷主団体に公正取引確保を要請する星野良三会長名による文書「荷主の皆様へ」を提出しました。
 要請書では、04年春からの軽油価格の高騰で「この2年で1㍑当たり約5割を超える30円(軽油引取税を除く)の値上げとなり、業界全体では年間5千億円を超えるコスト増」と軽油価格高騰の影響が大きく、これまでの長年にわたる運賃低落でコスト負担増は吸収できず、トラック運送事業の経営はまさに存亡の危機に立たされていると危機感を表明。このままでは、多くの事業者が経営の安定確保ができず、円滑かつ安全な輸送サービスの提供に大きな支障をきたす心配があり、国民のためのトラック輸送サービス維持のため、公正取引確保が今ほど必要とされているときはないと訴えています。

荷主団体要請を個別荷主にも活用

 東京都トラック協会が荷主団体に行った「公正取引の確保」要請について、東ト協は公正取引委員会の了解を得て、会員事業者が個別荷主に対して交渉時の資料として提出できる同趣旨の「荷主各位」あて文書を作成、会員事業者の要望に応じて個別荷主にも提出しました。
 荷主団体への提出だけでは、会員事業者が取り引きしている個別荷主へ、要望の趣旨が伝わりにくかったり、遅れたりするすることに対応したものです。星野良三東ト協会長は、06年12月の理事会あいさつで「2千社の方が提出すると荷主企業に対して相当なインパクト」と、運賃交渉の有力な資料となるとの見方を示しました。なお、個別荷主への提出数(活用希望数)は、07年3月12日現在で417会員から8,117通寄せられています。

環境問題への対応

 東京都トラック協会は、2006(平成18)年度の環境対策の重要な柱として「グリーン・エコプロジェクト」を推進するとともに、自動車NOx・PM法および東京都環境確保条例をはじめ環境条例への対応、低公害車普及促進を進めています。
 東京都環境確保条例への対応では、粒子状物質(PM)減少装置装着補助について東ト協独自の補助と東京都の補助事業に対応してきました。PM減少装置装着補助申請(07年1月31日で申請終了)は、東ト協への申請が予定基数3千基を上回る3,201基(うち小型2,496基)、東ト協環境対策窓口を経由して東京都への申請は2,115基となっています。
 自動車NOx・PM法や低公害車普及促進への対応では、低公害車導入補助を行い、申請数(06年12月15日申請終了)はCNG車479台、ハイブリッド車77台、新長期規制適合車1,050台となっています。

本当に東京の空がきれいになった

 自動車NOx・PM法や東京都環境確保条例への対応の"成果"が、東京都環境局が調査している「浮遊粒子状物質および二酸化窒素に係る環境基準達成状況」でも明らかになってきています。
 06年9月に東京都環境局が発表した「平成17年度大気汚染状況」によると、PMについては初めて都内の全ての測定局で環境基準を達成、特に道路沿道に設置された測定局では昭和48年の観測開始以来、初めて全局で達成したものです。
 石原慎太郎東京都知事はこれまでも東ト協会合でのあいさつで、「東京の空がきれいになった。トラック業界の協力のおかげ」と述べていますが、07年1月のトラック業界新年賀詞交歓会では「東ト協の方が叙勲のお祝いで園遊会に招かれたとき、皇后さまから『大変空気がきれいになりましたね』と言われたという。これは都としても本当に嬉しい」と、改めてトラック業界の努力に感謝の意を表しました。

グリーン・エコプロジェクトをスタート

 グリーン・エコプロジェクトは、燃費データの構築を柱に、会員事業者におけるエコドライブを推進し、▽燃費向上▽交通事故低減▽グリーン経営認証取得▽改正省エネ法対応──など、環境対策に必要な事業をサポートするものです。このプロジェクトは、地球温暖化問題となっているCO2(二酸化炭素)の排出削減のためのデータベース作りに業界先駆けて積極的に取り組むことを通して、環境CSR(企業の社会的責任)から進める経営改善の実践をめざすものです。
 CO2削減は、京都議定書の目標達成や改正省エネ法などから業界にとって大きな課題となっています。しかし、トラック業界にはCO2削減に向けてのデータベースを持っていません。そのため東ト協ではそのデータベース構築に着手したものです。これまでの環境対策が「規制への対応」という、いわば後手の対応であったのに対し、グリーン・エコプロジェクトは、これから大きな問題として浮上するCO2削減に対して業界として先手で対応するものです。
 グリーン・エコプロジェクトは、参加事業者の運転者が燃費管理(燃料消費量管理)を進めることで燃費データベースを構築するとともに、エコドライブ活動を継続的に実践する仕組みや、燃費の向上・
 CO2排出量の削減・整備業務改善を進める社内体制を構築するものですが、そうした活動が交通事故削減にも効果を上げることも同プロジェクト実践の中で現れています。こうした環境保全と事故低減等により経営者、ドライバーの意識改革を進めながら経営改善を図るものです。
 改正省エネ法(6ページ参照)では、一定規模以上の輸送事業者(特定輸送事業者)や荷主企業(特定荷主)にCO2削減計画の策定・報告を求めています。そのため、荷主からCO2削減を問われる可能性もあり、そうした要請に対してもデータベース構築で対応することができるようになります。

事故防止活動

 東京都トラック協会の星野良三会長が2007(平成19)年1月11日の新年理事会で、今年の重点目標の一つに「交通事故を大幅に無くし、都民生活を守る」ことを掲げました。このように東ト協は、トラック業界が社会との共生を図るために、交通事故防止に力を入れて取り組んでいます。

3年間で事故半減を

 星野良三会長は、07年の新年理事会で、「3年間で都内営業用トラックの5万台にドライブレコーダーを装着することで、交通事故が半減できる」と大きな目標を掲げ、そのための有力な手段としてドライブレコーダー装着をあげ、東ト協としてドライブレコーダー装着補助を検討したいとの考えを示しました。星野会長は、自社の車両にドライブレコーダーを装着し、事故を大幅に減少させた実績を背景に、ドライブレコーダー装着に意欲を見せているものです。
 同時に星野会長は、ドライブレコーダーに関して、「交通事故ではとかくトラックのイメージが悪く、同じことでもトラックが悪いと取られがちだ。ドライブレコーダーは映像で、そうした印象批評からドライバーを守ってくれる」と、運転しているドライバーを守ることにも有効との考えを示すとともに、燃費改善にも役立つとしています。

事故防止緊急対策を全会員に直接要請

 東京都トラック協会は07年に入って営業用トラック関与の交通事故が都内で多発傾向にあるため、07年1月18日から"我々トラック業界は交通事故による犠牲者を1名たりとも出さない!"との決意で「交通死亡事故の根絶に向けた事故防止緊急対策」を実施しました。
 東ト協では「緊急対策」を会員事業者一人ひとりに直送しましたが、同時に交通事故絶無に向けたさらなる努力を求める星野会長の"手紙"を同封して目的達成を求めました。「緊急対策」は、『交差点・横断歩道における事故防止対策』を重点推進事項として、(1)横断歩道手前における一時停止作戦(2)ブレーキ足のせ作戦(3)進行方向確認の徹底(4)運転者に対する安全教育の励行(5)プロドライバーとしての自覚を高め、酒気帯び運転・信号無視等悪質違反を絶対にさせないこと(6)運行管理者の効果的な活用──を求めています。

「トラックの日」に本部イベント開催

 東京都トラック協会は、「10月9日のトラックの日」に初めて本部主催のイベント「グットラックフェスティバル2006」を文京区後楽の東京ドームシティ「ラクーア」屋外ステージで開催。オープニングセレモニーからフィナーレまで親子連れやカップルなど、さまざまな観客4,960人(ラクーア調べ)がイベントを楽しみました。また、シンボルマーク「グットラックマーク」を設定し、イメージ浸透やノベルティに活用するなどもしました。
 今回のイベントでは、東京FMラジオとタイアップして事前PRをするなど、メディアを活用して「トラックの日」を積極的にアピール、対外広報活動の役割を展開しました。イベントではトークショーで環境問題や事故防止への活動状況を紹介、また東京トラック業界の状況や災害救援活動などをクイズでやさしく理解できるように工夫するなど、社会との共生を図るトラック業界・協会姿勢を強く示しました。
 東ト協では、トラック業界・協会の交通安全対策、環境保全活動など、さまざまな活動を機会あるごとにPRし、"暮らしを運ぶ緑ナンバートラック"への理解を深めてもらう活動を展開しており、今回の本部主催イベントもその一環です。

運輸安全マネジメントへの対応

 東京都トラック協会は、運輸安全マネジメント(8ページ参照)が2006(平成18)年10月1日から導入されたことに伴い、会員事業者が的確に実施できるよう「運輸安全マネジメント説明会」を06年11月からスタートさせました。当初は支部単位で進め、支部等での開催に出席できなかった会員事業者等のため07年2月および3月、東ト協本部として説明会を開催しました。
 また、会員事業者のための説明補助資料として「手引き」も全会員に送付しています。

駐車規制で活発な要望活動

 東京都トラック協会は、2006(平成18)年6月1日からの改正道交法による放置駐車に対する"確認事務民間委託"スタートに伴う影響を懸念。06年1月には警視庁へ要望書を提出しました。
 また、会員事業者に集荷・配達・荷捌きなど、日常の現場で実感している"問題点=生の声"を東ト協に連絡するよう呼びかけました。

具体的実情を示しての要望活動

 東ト協は、会員事業者が日常の集荷・配達・荷捌きで、駐車場(スペース)確保にどのような苦労をしているのかを具体的に調査しました。その実情をもとに、警視庁交通部および都内86警察署に「違法駐車対策に関するお願いについて」を要望しました。 要望は、駐車スペースの確保に関して「どの地域やどこの通りの何丁目から何丁目までの路線に、どのような問題があるのか」などと「現状と問題点」を示し、要望したものです。
 「現状と問題点」は都内86警察署管内で2,546件(個所)が上げられ、特に民間監視員が導入される12区43警察署管内では2,227件に達しています。

荷主団体や自治体へも要望

 東京都トラック協会は、集荷・配達をはじめ物流への影響を懸念し、荷主の理解も求めるため「駐車対策に関するお願い」を荷主団体に要望しました。要望内容は、(1)駐車・荷捌きスペース確保への協力(2)荷物の引き渡し、受け取り作業への協力(3)ビル内配送では搬出入場所の集約や時間調整──などです。
 また、東ト協は06年5月30日、都内の区市町村の長に「駐車対策に関するお願い」を要望。改正道交法で駐車違反取締り方法が変わり、「集荷・配達用トラックの駐車場所確保が必要になったこと」を住民や商店街等地域の人に周知するよう求めました。さらに、荷捌き専用スペース確保など荷捌き用施設整備も要望しました。

実施後の要望活動

 駐車規制が強化された後も東ト協は、規制強化が都民生活に大きな影響を与えかねないことや、トラック運送事業者が事業遂行に苦慮している現状を理解してもらうため、9月22日に警視庁と東京都に「違法駐車対策に関する要望について」を提出しました。
  要望は、警視庁に対しては(1)駐車規制除外措置の拡大(2)許可申請手続きの標準化・統一化・迅速化や申請に係る負担軽減措置などを求める「駐車許可制度の運用」──の2点。東京都には(1)貨物の集荷・配達用トラック駐車場所の確保等(2)『スムーズ東京21』で設置された荷捌き施設における規制について、「貨物の積み卸しを除く」から「貨物集配中の貨物車を除く」への変更──を要望しました。

災害救助で緊急救援物資輸送を実施

 東京都トラック協会は、輸送の社会的責任を果たすため災害等での緊急救援物資輸送を行っていますが、東ト協各支部でも地元自治体と協定を締結し、緊急物資輸送に当たっています。
 東ト協豊島支部は2006(平成18)年7月、「平成18年7月豪雨」で被害が出た長野県箕輪町へ救援物資を緊急輸送しました。これは、豊島区が、同区と防災協定を結んだ箕輪町への救援物資緊急輸送を東ト協豊島支部に要請したことに応えたものです。
 また、東ト協多摩支部は06年9月1日、広島県呉市に救援物資の飲料水を緊急輸送しました。8月25日に呉市で送水トンネル事故が発生、大規模な断水が生じたため、武蔵野市の要請で同支部が飲料水確保の支援に対応したものです。

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