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経営環境

原油高で燃料高騰続く

 原油高を背景に、2006(平成18)年もトラック輸送燃料である軽油の高騰が続きました。全ト協の調査によると、1月に85.8円だったローリー価格は9月には97.6円まで高騰し、その後秋以降は原油相場が下落したため、安定してはいますが、12月の軽油価格はローリーで90.8円と、前年同月と比べると5.8円高で、2003年度平均と比べると27.0円高となっています。
 こうした燃料価格の高騰は、トラック運送事業に深刻な打撃を与えています。日通総研が2006年12月にまとめたレポートによると、軽油およびガソリン価格の上昇で、トラック運送事業1社平均の営業利益率は3.1%も悪化し、業界全体で大きな赤字を出すと指摘しています。
 とくに保有台数が少ない小規模事業者ほど大きく落ち込むことになり、影響は深刻です。環境対策、安全対策などコストアップ要因が目白押しのなか、今後ドライバー不足が顕在化することも懸念されており、同研究所のレポートは「トラック運送事業者の経営は四面楚歌の状況にある」と指摘しています。

運輸関係6団体、国交相に窮状訴え

 中西英一郎全ト協会長を始めとする運輸関係業界の6団体代表は2006年9月4日、北側一雄国土交通大臣(当時)を訪ね、燃料高騰の深刻な影響を訴えるとともに、運賃転嫁に向けた支援を要請しました。中西全ト協会長は「運賃転嫁が足踏みするなか、燃料価格はその後もうなぎ上りの勢いで、8月にはさらに大幅な値上げ通告があるなど、業界は深刻な経営危機に直面し、状況はさらに悪化している。
 国民に安全、安心な輸送サービスを提供するためには、原価の上昇に見合った円滑な価格転嫁が是非とも必要で、環境作りに支援、指導をお願いしたい」と運賃転嫁への環境作りを要請しました。
 これを受けた国土交通省では翌9月5日、安富正文事務次官が日本経団連に出向き、「この状態を放置すると、安全、環境、サービス向上への投資が十分なされず、事故の増加や労働環境の悪化、環境への悪影響や利用者利便の低下が懸念される」と述べて、軽油高騰に対する荷主企業の理解を求めました。安富次官は同6日に日本商工会議所を訪れ、同様の要請を行いました。

全ト協が燃料サーチャージ制度創設

 全日本トラック協会は2006年3月1日、燃料価格の高騰によるコスト上昇分を荷主に転嫁するためのトラック運送業向け燃料サーチャージ制度を創設しました。輸送距離と燃費、燃料価格上昇額からサーチャージ額を算出する算出式を例示したもので、実際に事業者が制度を導入するか否か、また額の算出は個々の事業者の判断によります。
 基準となる燃料価格より一定額以上上昇した場合にはサーチャージを増額改定できますが、逆に燃料価格が下落した場合には下落幅に応じて減額改定し、燃料価格が沈静化した場合には廃止するという制度です。

運賃一部転嫁、4割に迫る

 全日本トラック協会の軽油価格高騰に伴う運賃転嫁についての実態調査によると、2006年11月調査で、主たる荷主に対し「運賃値上げ交渉をした」と答えた事業者が21.6%、「交渉している」との回答が47.2%で、合わせて68.8%となり、7割近い事業者が実際に値上げ交渉を行っていることがわかりました。
 また、軽油価格の高騰分のコストを荷主に転嫁できているかどうかを聞いたところ、「ほぼ転嫁できている」が2.0%、「一部転嫁できている」は36.9%で、合わせると38.9%となり、4割弱の事業者が何らかの転嫁ができたと答えました。
 2005年7月調査では、荷主と「交渉している」と答えた事業者が3割弱、何らかの「転嫁ができている」事業者が1割弱だったことを考えると、国土交通省の働きかけなどが奏功して値上げ交渉と価格転嫁が着実に進みつつあるといえます。
 ただ、一方でなお「まったく転嫁できない」と答えた事業者が59.9%と6割弱あり、今後も引き続き粘り強く荷主の理解を得ていく必要があります。

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